お知らせ:この記事はJLCPCBの提供でお送りしています。

タイトルの通りなのですが、中国の基板製造業者であるJLCPCBさんとコラボすることになりました。NT深圳コミュニティの高須@tksさんから、JLCPCBを使った事例をブログ等に書いてくれる方を探しているという話があり、何の気なしに「JLCPCBよく使ってますよー」と言ったところ、なかなかの深圳速度1で話がまとまりましてスポンサードいただけることになってしまいました。

JLCPCBを選ぶ理由

と、いうわけで、まずは私がJLCPCBをよく使っている理由を紹介したいと思います。スポンサードしていただいてはいますが、できるだけ正直に書いていこうと思います。

1. 部品実装まで依頼する場合オーダーが楽&到着が早い

JLCPCBを使う理由はいくつかあるのですが、個人的な一押しポイントは部品実装込みの注文フローの簡単さと早さです。

上に基板製造と部品実装を一般的なオンライン基板製造業者に頼む場合と、JLCPCBに頼む場合の流れを描いてみました。一般的な基板製造業者でも基板の製造に関してはオンラインで見積もりから発注まで完結することが多いのですが、部品実装になるとメールで部品(BOM)リストのやり取りをしたり、基板注文後に部品調達の見積もりが行われて別途部品代を支払うというようなプロセスを踏むことが多いです。

一方、JLCPCBでは実装可能な部品がJLCPCBの在庫品に限られるという制約は付きますが、オンラインで基板製造だけでなく、部品実装の見積もり・支払いまで完結することができます。そのため、特に問題が発生しなければWebサイト上の注文フォームの操作だけで発注を完結させることができます。個人的には最初に情報を入力しておけば製造完了までメールのやり取りをしなくて済むのはかなり便利だと思っています。また、実装部品もJLCPCBがすでに在庫しているものを使うので、BOMリストを提出した後に部品の調達が始まるシステムに比べて、基板が完成して手元に届くまでの時間が少し短いように思います。

JLCPCBのシステムの最大の弱点は先に書いた通り「実装可能な部品はJLCPCBの在庫品に限られる」ことなのですが、中国の部品通販サイトであるLCSCと同じグループであることもあってか在庫品はかなり豊富で、JLCPCBの在庫品縛りで基板を設計しても(ジャンルによるでしょうが)そこまで制約を感じることはないかなと思います。また、汎用のICやトランジスタなどでは中国系のメーカーをできるだけチョイスする(例えばトランジスタなら2Nxxxxではなく中国系のセカンドソースが多いSxxxx系を選ぶなど)といった工夫をするとコストも抑えられます。

また、すべての部品をJLCPCBの在庫品から選ばなくとも、基板上の一部の部品だけを実装してもらうことももちろん可能です。私も手付けでは何個もやる気にならない1005(1.0mm x 0.5mm)サイズのチップ抵抗・コンデンサ類だけ実装をお願いしたことが何度かあります。手間の観点だけではなく、自分で手はんだする前提であればできない詰め詰めの部品実装パターンを使えることもよい点です。

2.ビューワー類が便利

地味なポイントではあるのですが、JLCPCBのオンラインビューワーは結構便利だと思います。アップロードした基板データをオンラインでチェックできる機能は各社提供していますが、3Dでぐりぐり回せたりする点と、部品実装時の状態も2DのCGで確認できる点はとても便利だと思います。特に後者の部品実装時の状態の確認は部品実装の見積もりまでWebサイト上で完結することのメリットといえます。部品の実装位置・向きを確認してから注文できるので、うっかり変な向きで部品実装を依頼してしまっているのではないか…という不安感が軽減されると思っています。

JLCPCBで作ったもの

さて、次に実際にこれまでJLCPCBで作ったものをいくつか紹介したいと思います。

ESP32オーディオプラットフォーム

製作記事化できていないですが、ESP32でシンセサイザー等々を作って遊ぶのに最適なオーディオとMIDIの入出力を備えたプラットフォームを試作する際にJLCPCBを使いました。左側の箱のフロントパネルと底板もJLCPCBで作った基板になっています。右側の基板は表面実装部品の多くをJLCPCBの部品実装サービスで実装してもらいました。この基板を作った当時は足があるUSB-CのコネクタなどはJLCPCBの部品実装サービスの対象外だったので基板到着後に手で実装していましたが、現在はUSB-Cのコネクタ類も部品実装サービスの対応部品になっているので、さらに多くの部品をJLCPCB側で実装してもらえる状態になっていると思います。

このESP32オーディオプラットフォーム基板は何度か改版しているため、動画に出ているものはちょっと古いバージョンのものですが、FM音源を実装して遊んだりしています。

最近(2022年1月)作ったこのボイスチェンジャーメガホンのボイスチェンジャー処理もこのオーディオプラットフォーム基板を活用して実装しています。

真空管アンプ

こちらは記事化していますが、サブスピーカーを鳴らすために作った真空管アンプのメイン基板もJLCPCBで製造していただきました。このときは足つきの部品が多いこともあり、基板の製造のみお願いし、部品実装はこちらで行いました。

フルカラーLEDバー

深圳に行ったときに買ったフルカラーLEDテープを活用するべく作ったフルカラーLEDバーの制御基板もJLCPCBで製造していただきました。

次回予告

今回はスポンサードしていただくことになったJLCPCBの便利なポイントと、実際に私がこれまでJLCPCBで製作した基板を紹介しました。

現在JLCPCBでは日本のユーザー向けに総額$34のクーポンを配布中なので、興味を持たれた方はぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

さて、次回以降ですが、現在私が製作しているFPGA(iCE40シリーズ)とESP32を組み合わせたオーディオプラットフォームをプリント基板化していく過程を紹介しようと思います。現在は写真の通り、各種ブレイクアウトボードをユニバーサル基板上で組み合わせた状態になっていますが、もっとコンパクトにまとめて使いやすくしたいと思っています。また、最近開始された3Dプリントサービスの体験記も追い追い書いていければと思っています。それでは次回をお楽しみに!

  1. もともとは中国・広東省深圳市が開発され始めた当初の驚異的なビル建設スピードを形容する語で、現在では広く深圳のスピーディーな意思決定や製造速度を形容する語となっています。
公開日:2022/03/07 最終更新日:2022/05/03