さて,2018年2月EUの旅,フランクフルト編の次はケルン編です.ケルンは2月20日から22日の3日間滞在しました.滞在日数が少し長いので,フランクフルト編に比べると長いです.
世界遺産の大聖堂の街・ケルン
フランクフルト中央駅からICEに乗り,およそ1時間でケルンメッセ駅に到着しました.ケルンメッセ駅はケルン中央駅から見てライン川を挟んだ向こう側にある駅です.駅間には後で触れるホーエンツォレルン橋が架かっており,1kmほどなので歩いて移動することもできるのですが,今回はスーツケースもあったので,ケルンメッセ駅で在来線(Sバーン)に乗り換えてケルン中央駅に向かいました.
ケルン中央駅に到着したのはまだ午前中だったので,直接宿泊先には行かず,まずはコインロッカーにスーツケースを預けようと駅の中をうろうろしていたところ,お金を入れると鉄道模型を運転できるコーナーが設置されているのを発見しました.運転している人は最後まで見かけませんでしたが,駅ナカにこういう施設があるのはちょっと面白いですね.
結局の所,ケルン中央駅にあったのはコインロッカーではなく,全自動の荷物預けマシーンでした.こういうマシーンが動く所ってちょっとワクワクしてしまうのは私だけではないはず.このときはワクワクするだけでしたが,後にこのマシーンに慌てさせられる羽目に…
全自動荷物預けマシーンでスーツケースを預け,ケルン中央駅の外に出ると,いきなり世界遺産・ケルン大聖堂がお出迎えしてくれます.世界遺産の大聖堂ということで,それなりに大きいのだろうと想像していましたが,想像以上の迫力で思わず声を上げてしまいました.上の写真のように近づいて見てみるときめ細やかな彫刻にも圧倒されてしまいました.
最終日の朝に教会内部を参拝したところ比較的空いていた上,光の差し方も良い感じでまたしても圧倒されてしまいました.言い方が雑かもしれませんが,宗教建築の採算度外視の作りは信仰心のなし得る業だとしみじみと感じますね…
彫刻だけでなくステンドグラスもきめ細やかなものでした.この旅行中はケルン大聖堂に限らず,キリスト教の知識があるとステンドグラスや絵画の中の物語や登場人物が分かりより楽しめるのだろうなあ…と思うことが多々ありました.
ケルン大聖堂は南塔のてっぺんまで行くことができます.せっかくだしと私も行ってみることにしたのですが,中の螺旋階段は写真の通り窮屈で,すれ違うのには苦労しました.この旅行では教会などの展望台に行くためにかなりの数の階段を上りましたが,ケルン大聖堂は格別の大変さで,降りてきたら足がガクガクになっていました…
展望台まで上るのは格別に大変ですが,景色も格別でした.落下防止ネットがあるので写真はネットが映り込みにくいスマホでの撮影のため,そこまで画質もよくないですが,ケルン大聖堂周辺は建築物の高さ制限が敷かれていることもあり,抜群の見晴らしでした.見えている川はライン川ですね.
また,塔の最上部にも細かな装飾がしてあり,風景に引けをとらない見応えでした.規則的なパターンがびっしりと並んでいるあたりはマレーシア・KLで見たモスクに通ずるものを感じました.
美術館を回る
正直な所芸術にはそこまで明るくない1私ですが,旅行先の観光名所とあらば行くしかなかろうとミーハー感丸出しでこの旅行ではいくつか美術館を回りました.ケルンではルートヴィヒ美術館とヴァルラフ・リヒャルツ美術館に行きました.
ルートヴィヒ美術館
ルートヴィヒ美術館はケルン大聖堂のすぐそばにある美術館で,モダンアートを中心とした美術館です.上の写真にポスターが写っている通り,私が訪問した際にはポップアート画家であるジェームス・ローゼンクイストの企画展が行われていました.
入館し,ローゼンクイストの企画展のゾーンを一通り観覧し終わって順路通り進むと,急にそれまでの(比較的)わかりやすいポップアートから一転して難解な絵や陶芸品が並んでいる部屋にたどり着きました.いったいこのわかりにくい1絵は何なのだろう…と思ってしまいました.が,しかし,絵のキャプションを見てみるとどれも”Pablo Picasso”の文字が.あーそういうことなのですかーと己の不明を恥じたのでした…1後から調べて知りましたが,ルートヴィヒ美術館はパブロ・ピカソ作品の収蔵点数がヨーロッパでも最大級であることで有名とのことでした.
こちらはロイ・リキテンスタインの”M-Maybe”です.リキテンスタインは漫画の手法を持ち込んだ作品で有名ですね.この他にもアンディ・ウォーホルの作品など,わかりやすい(?)作品もたくさんあり,楽しめました.
ヴァルラフ・リヒャルツ美術館
ヴァルラフ・リヒャルツ美術館はケルン大聖堂から少し歩いて,商業エリアに近いところまで行ったところにあります.ヴァルラフ・リヒャルツ美術館は先程のルートヴィヒ美術館の母体となった美術館で,ルートヴィヒ美術館よりも古い中世~近代の作品を中心に収蔵している美術館です.実際に中世の宗教画なども多く,ケルン大聖堂のステンドグラスと並んでもう少しキリスト教の知識があれば…と思ったスポットでした.
そんなヴァルラフ・リヒャルツ美術館で見た作品の中で,このジャン・オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラールの”The Master and Marguerite”が印象的でした.
この銀の球の描写はおよそ18世紀の技術じゃないな…と,画家の狂気を感じてしまいました.CGなら分かりますが,描き込まれ方がすさまじく,本当に金属球があるかのような質感でした.
サービスアパートに泊まってみる
ケルンには2泊,しかもフランクフルトからの到着が午前中でブリュッセルへの出発がお昼過ぎと比較的スケジュールに余裕があったこともあり,ケルン中央駅すぐそばではなく少し外れたケルン西駅そばの安い1サービスアパートに泊まってみました.
ルートヴィヒ美術館を見てから,チェックイン時間を過ぎたしと荷物を回収して行ってみるも管理人さんはおらず,入口に書いてあった電話番号に電話をしてチェックインしたい旨を伝え,管理人さんが来るのを待ちました.管理人の方による宿泊中のプラン確認の折,「テレビはオプションだけど必要?あんた(ドイツ語わからないだろうし)いらないわよねアハハ」と大阪のおばちゃん顔負けの勢いで言われたのが大変印象的でした.
部屋の中は上の写真の通り想像以上に広く,二人用だったか…全く確認してなかった…と若干苦笑いしながらも一人で過ごしました.この旅で一番広い,いやこの前後のしばらくの旅行を含めても最も広い宿でした.
広さと落ち着いた感じのインテリアもさることながら,このサービスアパートの直ぐそばにスーパーのREWEがあったのも結構助かりました.ケルン滞在も2日目になってくると,ドイツの塩辛い肉・芋・ザワークラウトの三重攻撃に飽き始めていて,惣菜コーナーへ行ってサラダを買い,ビタミンとあっさり成分を補給したいという気持ちになってきていたのでした.ドイツの料理は手を変え品を変え,塩・肉・芋!という感じだということをこの旅行でまじまじと味わったのでした.
そしてよせばいいのに現地のよくわからない「スシ」を買って食べてしまうのでした.初海外のハノイでもトライしていたりしますが,こちらはかっぱ巻き以外は食べても正体すらわからないという惨敗に終わりました.醤油も鯉の形の醤油差しに入っていて安心したのもつかの間,大豆の醤油ではあるのでしょうけど中国醤油なのか,こちらもなにか違う…と感じてしまったのでした.
そして塩!肉!とか言っていたにもかかわらず懲りずに生ハムも買って食べていたのでした.日本で食べるよりは本格的な生ハムが安く手に入ったように思います.
ケルシュビールとメット
先程も言ったようにドイツの食文化といえば肉!芋!ザワークラウト!という感じですが,忘れてはいけないのがビールであります.2泊の間,どちらの日もケルシュビールを味わうためにビアハウスへと向かいました.
こちらは初日に行ったケルン大聖堂そばのビアハウスでの写真.この写真のように,ビールは200mlの小さいグラス(シュタンゲ:Stange)に注がれてサーブされます.少ないじゃないか!というビール党の皆様,ご安心ください.
店員さんはお客さんのビールの残量に常に目を光らせており,シュタンゲを入れた専用の容器(クランツ:Kranz)を持ってホールを動き回り,隙あらばおかわりをサーブしようとしてきます.恐ろしい「わんこビール」状態であります.
何杯飲んだかは写真のようにコースターに引かれた線の本数でカウントされます.おかわりが不要な場合は写真のようにコップの上にコースターを置くルールとのことでした.本当にわんこそばみたいですね…
ちなみに2日目に行ったビアハウスはペフゲン・ケルシュと呼ばれる無濾過のビールを売りにしているお店でした.ペフゲン・ケルシュは生産量が少ないこともあり,現地ケルンでしか飲めない貴重なビールとのことでした.
そして1日目のビアハウスではやはりソーセージと芋の組み合わせでした.が,ビール飲みながらだとやっぱりこれがぴったり合うんですよね…
そしてこちらは2日目のお店で一番安いCold Dishを頼んだら出てきたドイツ名物「メット」であります.メットは豚の生ひき肉を塩などで味付けしたもので,一般にパンに塗られた状態でサーブされ,写真のように玉ねぎが盛り付けられることも多いようです.豚の生ひき肉ということでこのような料理があることは知っていて少し警戒していましたが,うっかりと頼んでしまいました.が,恐る恐る食べてみるとこれがとてもとても美味しいのでした.簡単に言ってしまえば味はネギトロなので,多くの日本人には(豚肉を生食することへの抵抗感はさておき)すんなり受け入れられるのではないでしょうか.翌朝当たってやしないかと戦々恐々でしたが,この旅行では特に食あたりもなく無事に過ごすことができました.1
チョコレートミュージアム
ケルンのライン川のほとりにはリンツがサポートしているチョコレートミュージアムがあります.展示はチョコレートの原料であるカカオについてやその歴史,チョコレート製造のプロセスなどについてのものとなっていました.上の写真は金色のカカオをかたどったチョコレートファウンテンです.見ての通り,係員の方がこのファウンテンの前で作業をしているのですが…
なんとこの係員の方からチョコレートファウンテンでチョコをかけたばかりのウエハースを無料で1いただくことができるのです.試食は食べ物系の博物館の醍醐味ですね!
チョコレートの生産設備は模型が展示されているだけでなく,コンパクトな生産ラインが実際に稼働していて見学することができました.
さらに,チョコレートアトリエと称して,上の写真のような注文表にチェックを入れていくことでカスタムメイドのリンツの板チョコレートを作ってもらうサービスもありました.ちょっと時間はかかりますが,話題になりますしお土産には最適だと思います.1
ケルン市ナチス記録センター
当時の記録を眺めるとどうやらTwitterには書いていなかったようですが,ナチスドイツ時代のゲシュタポ(秘密警察)のケルン支局であった建物を保存したケルン市ナチス記録センターにも行きました.
地下の独房や投獄されていた人々の生涯に関する記述などがあり,当時の様子を現代に伝える施設となっていました.私が訪問した際も小学生くらいの集団が校外学習なのでしょうか,ガイドの方と一緒に回っていました.
ホーエンツォレルン橋の南京錠
記事冒頭でも触れましたが,ケルンメッセ駅とケルン中央駅の間を流れるライン川に架かる橋がホーエンツォレルン橋です.この橋は愛の南京錠と呼ばれる,カップルが2人の名前を書いた南京錠をフェンスに取り付け,鍵を川に投げ捨てるという儀式の対象になっていて,ご覧の通り線路と歩道を隔てるフェンスが大変なことになっています.
周辺には南京錠を売る屋台のようなお店も出ており,市民の足を支える鉄道橋でありながらちょっとした観光スポットとなっていました.ここまでびっしりついていると壮観ですよね…
Thalysで国境越え
最終日は早々にチェックアウトを済ませ,ケルン中央駅の全自動荷物預けマシーンに再度荷物を預けて街に繰り出しました.写真はREWEで買った生ハムだけでは朝ごはんが足らず,中央駅の駅ナカのお店で買ったカリーヴルストという現地のB級グルメ的存在(?)の食べ物です.見ての通りぶつ切りのソーセージにカレーソースとカレー粉をかけたものと(カッチカチの)パンを一緒に食べる食べ物です.結局カレー味なので塩辛く,ここでも塩辛いんかーい!と思った記憶があります.
その後,最初に書いたようにケルン大聖堂の拝観と展望台を見学し,最後にケルンのお土産を購入するべく商業エリアに出向きました.元祖オーデコロン1の4711のショップや,レゴショップやシュタイフ(テディベアのメーカーですね),家電量販店のMediaMarktなどを散策し,ふらっと入ったH&Mで少し服を買ったりしました.1
その後ケルン中央駅に戻り,全自動荷物預けマシーンから荷物を取り出そうとしてアクシデントが起きました.この荷物預けマシーンは荷物を取り出す際に保管料を支払う必要があるのですが,ちょうどよい硬貨がなく,さらに手持ちの5ユーロを両替機が受け付けてくれず四苦八苦してしまいました.
その後なんとか両替を済ませ,Thalysに乗ることができました.
Thalysは車両も内装も赤を基調としたデザインになっていて,大変オシャレでした.ケルン中央駅からブリュッセル南駅への旅は約2時間ほどでしたが,これが私にとって鉄路での初めての国境越えとなりました.2
以上,2018年EUの旅・ケルン編でした.次はブリュッセル編です.お楽しみに!
- 一応音楽は人並みに…と思ってはいますが
- 陸路に範囲を広げると2016年に中越国境をバスで越えています.