私がコーチ(といっても運営との連絡とか引率が中心ですが)を務めているACM-ICPC(ACM大学対抗プログラミングコンテスト)のチーム “nocow”がタイで開催されるACM-ICPCアジア地区ナコーンパトム大会に参加した際の旅行記です.

旅費等の助成はあったのですが,実際に競技する選手に回し,私はせっかくなので一度乗ってみたかった中国東方航空を使い上海経由で行く,ということにしました.ざっくりとした旅程は以下のとおりです.

日付 場所
12月18日-19日 上海(羽田空港発-虹橋空港着)
12月19日-20日 バンコク(浦東空港発-スワンナプーム空港着)
12月20日-23日 ナコーンパトム(ICPC会場,バンコクから陸路で移動)
12月23日-24日 バンコク(スワンナプーム空港発-浦東空港乗継-成田空港着)

そんなわけで2017年12月の旅行記は上海編・バンコク編・ICPC編の3編でお送りしたいと思います.まずは上海編からです.

0日目:ICPCつくば大会

11月に引き続き,出発の前日まで別の場所に出かけていました.先程述べたようにICPCのコーチをしているので,国内で開催されたアジア地区大会であるつくば大会にも行っていました.エクスカーションはJAXAの筑波宇宙センターでした.管制センターも見ることが出来ました!

上海航空便に乗る

今回は13時30分に羽田発という常識的な時間の便1なので,写真の通り出国してまったりしていました.

最初に中国東方航空,と書きましたが,実際には復路の上海-成田以外は中国東方航空子会社の上海航空の運行でした.前回の香港エクスプレスと打って変わって今回はフルサービスキャリアなのでエコノミーでもシートピッチがそこそこ広く,ついうっかり写真まで撮ってしまいました.

さて,ここまでは良かったのですが,座席の横を見てみるとなんと肘掛けの先端部が破損していました.幸先のいい(コンテンツ力的な意味で)スタートでした.

フルサービスのキャリアなので当然機内食が出ます.中国のキャリアなので機内食が中華料理で,機内食としてはなかなか美味しかったです.青島ビールがぬるいという噂も聞いていたのですが,まあまあ冷たかったという印象です.

その他には特にトラブルもなく飛行機は上海虹橋空港に到着しました.強いて言えば外国人の中国への入出国には入出国カードが必要なのですが,乗客の大半は中国人なのと,私が中国人っぽく見える2こともあってか,機内での入出国カードの配布時に一瞬スルーされかけるというイベントがありました.ちなみに香港→深センの時は入国と出国のカードがひとつながりになっているものを入出境施設でもらって書く,というスタイルでしたが,今回は入国側だけが配られました.これが後々バタバタする原因になったりするのでした.

さて,入国して空港を出るとそこにはいきなり野良犬がいました.深センの犬に比べるとだいぶ元気そうです.2

空港のタクシーターミナルが混んでいて,地下鉄で行こうかとも思ったのですが乗り継ぎが必要な場所に宿を取ってしまったのでここでもdidiに登場願いました.didiだといろいろなメーカーの車に乗れるのがちょっと面白いところです.特に中国ではBYDの電気自動車がそれなりに普及しているため,何度も乗っていると割と新しい電気自動車に当たることがあります.フロントパネルの画面が大きかったりと,なかなか見ていて楽しいです.

さて,宿ですが,今回は上海では1泊ということと,偽iPhone分解記事執筆のためにそれなりに作業するということもあり,たまには贅沢するかと1泊8400円といつもなら絶対泊まらないようなホテルにしました.そばにあった日航ホテル上海が1万円弱だったので,世間的にはまあまあ普通の良さげなホテルになるかと思うのですが,ベッドの大きさ,机の広さ,そしてシャワールームに湯船があることにビビってしまいました.

SIMを買いに行く&Mobikeに乗ってみる

実は今回せっかく上海に立ち寄るので,銀行口座を作ってみようかと日本で下準備をしていたのでした.銀行口座があるとWeChat PayやAlipay3に気軽にチャージできるようになるので便利なのです.

まず銀行口座を作るには中国本土の電話番号が必要なので,まずはチャイナユニコムの店舗に行くことにしました.地下鉄に乗って行くわけですが,宿から地下鉄の駅まで少し距離があったので,せっかくだからと同じく日本で登録しておいたシェアサイクルサービスのMobikeに乗って駅まで行ったのでした.日本でもドコモのシェアサイクルに乗っているので似たような感じですが,所定の場所以外でも乗り捨てしていいのはマナーの問題との兼ね合いこそあれ,やはり便利だという印象を受けました.

さて,チャイナユニコムの店舗で通話付き(=電話番号付き)のSIMカードがほしいと英語でお願いしたところ,英語がわかる店員さんに電話で繋いでもらい,一通り要件を話したあとに応対した店員さんが指示を受けてSIMカードを用意するという不思議な状況になりました.が,しばらくして最初に応対してくれた店員さんがそこそこ日本語が喋れることが判明しました.最初から日本語で喋っておいてもよかったのではないかと思うレベルの流暢さでした.ともあれ,無事にSIMカードを入手することができました.

謎の地下鉄駅エリア

チャイナユニコムの店舗に行ったりするのに地下鉄を使ったのですが,地下鉄の駅にはいろいろなものが置いてありました.

上の写真は傘シェアリングステーションです.ネット上で話題になっているのを見たことがある気がします.この他にも同じくネットで見たことがあるオレンジジュースをオレンジから絞る自販機も見ました.

その他にも,何故か古臭いUFOキャッチャーが置いてあったりしました.なんかあれですよね,温泉旅館のゲームコーナーとかにこんな感じの筐体ありますよね.

沙県小吃に行ってみる

初日の晩ごはんは中華大衆食堂の代名詞らしい「沙県小吃」へ行きました.沙県小吃は福建省沙県の出身者により中国全土に展開されている食堂で,私の友人の中国からの留学生氏曰く「学校帰りとかに寄って何か食べていく感じ」とのことでした.

初めて行った海外がベトナム・ハノイで,大学でインターンをしていた関係で学生街の食堂に通っていた私としては,ローカル感あふれる食堂の安いご飯は気になるところなので,今回挑戦してみました.

今回は排骨飯と葱油拌麺を頼んでみました.排骨飯は付け合せの野菜も含め醤油系の味付けで,私の大好きなローカル食堂グルメ感があり良かったのですが,葱油拌麺の方は今ひとつ味がよく分かりませんでした.テーブル上の辛いソースをかけてみたりもしたのですが,このソースがタバスコ系のすこし酸っぱいソースで,どうも私には今ひとつでした.沙県小吃は結構お店ごとにムラがあるという話も聞きますし,私の食べ方が悪かったのかもしれないので,また機会を見てリベンジしたいと思います.

夜の上海を歩く

今回は2日目の夕方には上海を発ってしまうということもあり,観光は夕方~夜がメインでした.

上の写真はぶらぶらしていたら発見したラッピングビルです.おしゃれはおしゃれですが,こんなハリボテをして一体何のお店なのか,と思ったらなんのことはないスーパーマーケットのカルフールでした.

その後,例によって例のごとくdidiを使って南京路歩行街まで行きました.南京路歩行街は旧租界エリアである外灘(バンド)にほど近いショッピングエリアです.

歩行街の始点からすぐのところのデパートにはApple Storeがありました.土地があるからなのか日本のApple Storeより贅沢なレイアウトな気がしました.

上のフロアへ行くとZoffがあったりしました.

その他,ぶらぶらしていて最近日本にも進出したメイソウも発見しました.

南京路歩行街を一通り散策した後は外灘へと向かいました.黄浦江を挟んだ向かい側の浦東新区の東方明珠電視塔とのコントラストが不思議な光景です.

先程も書きましたが,外灘はアヘン戦争の結果清が英国と締結した南京条約を始めとする条約により各国が設置した租界が存在したエリアです.現在でも黄浦江沿いには租界時代の西洋風な建築物が残り,不思議な華やかさを醸し出しています.香港もそうですが,実際に歴史の舞台に行くと,歴史の勉強をもう一度したくなりますね…2

黄浦江沿いは遊歩道になっていて,浦東新区のきらびやかな建物を眺められるようになっていました.そこそこ長い遊歩道となっているのですが,途中で広州から来たという日本語が達者なおじさんに声をかけられました.警戒しつつもわりと長いこと雑談しながら散歩していたのですが,最後には飲みに行こうと誘われました.もちろんこういうのは断らなければいけないので断ったのですが,あんなに気の長い客引きをするのがメジャーなんでしょうか…?

ちなみに一眼レフを取り出して写真を撮っていたせいなのか親切そうな顔にみえたのかは定かではありませんが,中国人の観光客の一団に写真撮影をお願いされて,適当に撮ってあげました.最後までずっと中国語で話しかけられていたような記憶があるのですが,まあ観光地でカメラモードのスマホ渡されたら写真を撮るしかないですよね.

その後,Mobikeで上海の街を走って宿を目指した4のですが,20分ほど乗ったところで意外と宿が遠いことに気がついたのでおとなしくdidiを拾い宿へ戻ったのでした.

上海の賽格電子市場へ行く

さて,2日目は朝食をホテルで食べて,その後偽iPhoneの分解をしてから,深センにある賽格グループの上海賽格電子市場へ向かいました.本当は宝山路だったり,徐家匯といったメジャーな電脳街にも行きたかったのですが,諸々で時間がなく,日本語の情報がほとんど無い上海賽格電子市場だけはとりあえず行くことにしました.

詳しい話は世界の電気街からに書きましたが,科技京城というビルの低層エリアが全部部品店のカウンターやオフィスになっていました.1つの建物内の部品店率というか,フロア面積という意味では華強北と肩を並べるレベルだと思いました.

上海賽格電子市場を出て,近くを散策していたら,バイクにつながれていた柴犬っぽい犬を見かけました.お留守番中だったのでしょうか?

銀行口座を作る

上海賽格電子市場の周辺を一通り散策した後は,前日に用意した電話番号を使って銀行口座の開設にチャレンジしました.

年々中国での外国人の銀行口座開設が難しくなっているということでしたが,中国工商銀行は比較的容易に開設できるということだったので,今回は念には念を入れて,中国工商銀行かつ,外国人が口座を開設しに来そうな浦東新区の大きい支店へ行きました.

事前に用意していたのは以下の3つです.

  • パスポート
  • 中国本土の電話番号(現地で調達,e-Senderというアプリを使う手もあります)
  • マイナンバー(カード提出は要求されないので番号だけメモっていけばOK)

この3つを用意して銀行に行き,インフォメーションで英語で口座を開設したい旨を伝えました.大きい支店に行く作戦が当たったのかは定かではありませんが,インフォメーションのお姉さんは英語がペラペラで,日本でもあるようなレシートに整理番号が印刷される機械から券を取って待つようにと案内してくれました.

しかしここで銀行の常,かなり待たされたのです.15分は待ったかというタイミングで窓口に呼び出され,銀行口座を作りたい旨を伝えます.窓口のお姉さんもまた英語がペラペラで,結局中国語を一言も話さずに銀行口座を開設することができました.

口座開設のための書類は基本的に英語で書いて大丈夫で,住所についても宿の住所で問題ないとのことでした.この書類に納税地における納税者番号としてマイナンバーを記入する必要があるのです.書類はその場で書かされるため,地味に時間がかかります.その後窓口のお姉さんがその情報を入力し,インターネットバンキングのための手続きに移ります.

インターネットバンキングのための手続きではSMS認証が行われるので,ここで中国本土の電話番号が必要になります.インターネットバンキングの手続きだけなく,最初の口座開設のための手続きもそうなのですが,窓口の机にはタッチパネル端末が備えられていて,サイン等はその端末にするようになっていました.

色々と細かい説明やインターネットバンキング用のワンタイムパッドの登録など,時間はかなりかかったのですが,最終的に無事に銀行口座を開設することができました.

完全に余談ですが,サインや規約への同意をするのに使った端末に,最後に「行員のサービス態度を評価してください」と5種類のニコちゃんマーク(不可~優,みたいなやつです)が出たのですが,ちゃっかり行員さんが「これは一番端(優)押してね」と言ってきたのがちょっとかわいく,面白かったです.オール英語で応対して頂いたので,言われなくとも優を押すのですが,この手の評価システムはイミグレにもあって,面白いシステムだなとも思うのでした.日本で導入しても恥ずかしがって押す人は少なそうです.

トランスラピッドで浦東空港へ

銀行口座の開設に時間がかかってしまったのと,その後におすすめされていた海底撈という火鍋店に行こうと思っていたのですが,didiで指定して行ってみたら閉店していたなどのアクシデントに見舞われ,結構ドタバタしてしまいました.上海への到着は虹橋空港でしたが,出発は浦東空港だったので,今回は宿で荷物を回収した後,didiで上海トランスラピッドの龍陽路駅へ向かいました.

実は銀行周辺から宿に荷物を取りに戻った際,何故か今まで使っていたクレジットカードでの運賃決済ができなくなり,とりあえずWeChat Payで支払っていたのですが,龍陽路駅で降りた後の決済も同様にできず,また工商銀行では入金はしてこなかった(街中のATMでできるだろうと思っていたら,街中のはキャッシュディスペンサーで引き出ししかできないタイプが大半であることに気が付きました…)ので,WeChat Payにチャージすることもできず,結局タイに着いてから別のカードを登録して決済することになったというアクシデントもありました.

そんなわけで乗車前にはバタバタしてしまいましたが,チケットを買って無事上海トランスラピッドに乗車することができました.上海トランスラピッドは写真の通りリニアモーターカーなので,鉄道のようなレールがありません.

しかし,50元と運賃が高いこともあってか,車内はガラガラでした.今回は最高速度が約300km/hの時間帯に乗車したので,新幹線よりも速い乗り物,というわけではありませんでしたが,どちらかというと龍陽路駅を出てすぐにすごい勢いで加速することと,車両端部の荷物置き場が心配になるレベルのバンクを付けて疾走する点のインパクトが大きかったです.

日本の新幹線と違い,駅以外の場所では車両側面に当たるエリアに壁はなく,窓からはそのまま外の風景しか見えないという状況で300km/hを出している上,10度くらいバンクがついているんじゃないかという雰囲気で走るので,そのままガイドから外れて飛んでいってしまうんじゃないかと思ってしまいました.

実際は当然そんなわけもなく,数分で上海浦東空港に到着しました.ここでもATMを探したのですが,預け入れのできるATMを見つけることが出来ませんでした.トホホ…

飛行機の出発の時間も迫ってきていたので,急いでチェックインしてイミグレへと進みました.イミグレでパスポートを提出すると,審査官が日本語で「出国カード書きました?」と一言.そうです,いつもは入出国セットで書いていたのですっかり忘れていたのでした.よく見たらイミグレの列に並ぶ直前のところで出国カードを配っていたのですが,例によって例のごとく不要だろうと思われたのか私はもらっていなかったのでした.仕方ないので出国カードを受け取り,必要事項を記入して再度並び直したのでした.

急いで出国した結果,ちょっとご飯を食べるくらいの時間はあったので,ローストダックの定食を食べてから飛行機に搭乗しました.

以上,2017年12月の上海バンコクの旅,上海編でした.機内での出来事とその後は次のバンコク編で書きたいと思います.お楽しみに!

 

  1. 香港エクスプレスの早朝便は朝6時35分羽田発!
  2. パッと見分けろと言われるとまあ難しいですが,深センやこの後の上海で中国語で普通に話しかけられたりするので,まあ中国人っぽく見えるんでしょうね.
  3. Alipayは外国人が使う場合銀行口座が2つないとあまり実用には向きません(身分証明書類が1つだけだと累計1000元までしか使えない)
  4. シェアサイクルはライトが無いので夜間乗る予定のある方はクララオンラインの家本さんのBlogにあるように何か対策をしたほうがよさそうです.
公開日:2018/02/11 最終更新日:2021/08/14