2023年5月の香港&深圳旅行記、香港編に続いて深圳編です。香港から深圳への移動は別途「特区旅游ビザで深圳に行ってみた」に書いていますので、そちらもご覧ください!

出発前に朝ごはん

香港編にも書いた通り、入出境審査場の事務所が開くのに合わせて深圳に行くことにしていました。8時に太子駅を出るバスに乗って、9時に開く事務所でビザの手続きをする計画です。ビザの手続きにどのくらい時間がかかるかもはっきりしていなかったので、先に朝ごはんを食べておこうと考えました。

というわけでまたまた茶餐庁です。ミルクティーと並んで香港の定番、同じく濃く煮出した紅茶に砂糖とレモンをどばっと入れたレモンティーです。紅茶の渋みとレモンの酸味、砂糖の甘さが日本のレモンティーとはまた違ったバランスで調和しています。そしてご飯の方はポークチョップをインスタント麺の上にドカンと乗せたラーメンです。ワイルドです!

茶餐庁からホテルに戻る道中、エッグタルトを売っているベーカリーを発見したのでつい買ってしまいました。甘くてサクサクでおいしいですよね。

まずは華強北へ

太子駅からバスに乗り、「特区旅游ビザで深圳に行ってみた」に書いた紆余曲折を経ながら無事に深圳に入ることができました。最後に深圳に行ったのが2019年だったので、実に3年ぶりということになります。

皇崗口岸駅から地下鉄に乗り、華強北駅に移動しました。2019年の時もそうでしたが、深圳側は入出境審査場から地下鉄だけで移動できるので便利です。

この時はあいにくの雨模様でしたが、無事に3年ぶりの電気街を目にすることができました。

華強北の中央通りはかなり幅広の遊歩道として整備されていて、毎回何かしら新たな設備などが設置されていて発見があるのでした。今回は華強北ガイドマップという趣の看板が設置されていました。特に2枚目は”特種兵”向けマップになっています。特種兵というのは、カツカツのスケジュールで睡眠時間を削り、ひたすら歩き…と行ったような特殊部隊の訓練のごとき旅行をする人を指す単語です。日本語だと弾丸(限界?)旅行勢、といったところでしょうか。ちょうどこの時期、中国の若者の間で特種兵式旅行が流行っているというニュースが流れていたので、その流行に沿った看板ということなのだと思います。しかし、私が言うのもなんですが弾丸で華強北を観光するのはまあまあ物好きだと思います。果たして看板を掲げるほど特種兵はいるのでしょうか…?

2019年のMaker Faire Shenzhen訪問時にあっという間に設置されていてびっくりした社会主義核心価値観オブジェも健在でした。

遊歩道を眺めた後は電気街調査に移りました。残念ながら今回はフルに深圳に滞在するのは日曜日1日だけということで、店休日のお店も多かったですが、それでもやはり小さいお店がぎっしり並んでいるところは壮観です。

毎度おなじみの華強電子世界も各フロアをぐるっと見て回りました。この吹き抜けはいつ見てもインパクト大です。

ちなみに、華強電子世界の北側、外のエスカレーターで2階に上がったところの入口周辺だったと思うのですが、この時は改装中でふさがれているエリアもありました。

華強電子世界も、賽格電子市場もいずれも日曜日ということでお休みのお店も多かったですが、相変わらずのごちゃごちゃ感は十分体験できました。

ちなみに電気街の端に、「外売電動車臨時停放区」なるエリアができていました。外売というのはいわゆるフードデリバリーのことです。出前の人の電動バイク専用の臨時停車場といったところでしょうか。日本以上にフードデリバリーが盛んな中国らしい光景です。

ウイグル料理を食べる

一通り華強北をぶらぶらしたところで、事前にお会いしましょうと連絡していたM5Stackの村谷さん(@murayahk)と合流して、最近の華強北情報を教えてもらい、その後村谷さんおすすめのウイグル料理レストランへ行きました。

外から見えるところで肉を串に刺していたりと、なかなか見栄えも意識しているレストランという印象でした。

そして串刺しにしているところを見た羊肉串がやってきました。これが激ウマでした。串がなかなかワイルドです。

その他の料理もまたどれも羊肉のうま味にあふれるおいしい料理でした。ウイグルや中国東北部などでは日常的に羊が食べられているだけあって、本当に羊肉の使いこなしがうまいです。

そしてこちら、ラグマンも食べました。トマト系の具材を太めの小麦麺にかけて食べる料理です。ご覧の通りうどんのような雰囲気の料理ですが、これがまたおいしいのでした。ウイグルのラグマン、日本のうどん、2022年の11月に行ったベトナムのカオラウと、アジアと言えども結構離れているところに似たような食文化があるのは面白いですね。

華強北博物館へ行く

お昼ご飯を食べた後は再び華強北に戻り、2020年に新しくできた華強北博物館に行きました。世界広しと言えど電気街をテーマにした博物館は珍しいのではないでしょうか。

華強北博物館は電気街の遊歩道の中ほど、現代之窓商業広場の5階にあります。当時は事前にWeChatでの入場予約が必要でした。しかしさすがは電気街の博物館、受付までゲーミング仕様です。

さて、2020年オープンということもあってかなかなかインスタ映えを意識した感じのエントランス周辺になっていました。

しかし、中に入っていくときちんと(?)華強北の成立についての歴史に関する展示がされていました。広東省の軍が管理していた工場が70年代末に政府の軍民転換政策を受け深圳に移転し、華強電子工業として民生機器の生産を開始したところから華強北の歴史が始まります。さらに華強電子工業は日本の三洋電機と合弁を組んで華強三洋を設立し、三洋電機向けの製品の製造を担当していき、改革開放政策初期の深圳を支えていたのでした。

さらに、改革開放政策を推し進めるために政府は国有企業に深圳への投資を指示し、それに対応して国有企業が続々と華強北の周辺にビルを建設していったのでした。この時は別のホテルに泊まっていたのですが、安いわりにきれいで広いので時折泊まっていた北方大酒店が入っている北方大厦はこの時に第五機械工業部(兵器工業部)が建てた建物だということが書いてありました。以前から北方大酒店が政府系の北方集団の傘下企業だというのは知っていたのですが、こんな歴史があるとは知りませんでした。

もしかすると習う人は社会科等で習うのかもしれませんが、中国の初期の外国資本導入による国内製造業の形態を示した「三来一補」についても説明がありました。外国から資金のほかに材料を提供してもらい製品を製造する来料加工、資金のほかにサンプル品や設計情報、技術を提供してもらい製品を製造する来様加工、そして部品と設備、技術を提供してもらい製品の組み立てを行う来料装配、この3つを合わせて「三来」と呼ぶわけです。最後の「一補」は、設備と技術を製品代金の代わりに提供してもらい、製品を製造する「補償貿易」を指します。

往時の企業ロゴを並べたコーナーやLEDによる電光表示など、出口に近いところは再びインスタ映えな雰囲気になっていました。フォトジェニックな雰囲気も、まじめな解説もどちらも面白いので、華強北博物館は個人的には結構おすすめです。

サイバーパンクな深圳文和友へ行く

さて、華強北博物館を出た後に向かったのは同じく前回の訪問時にはまだなかったスポット、深圳文和友です。こちらはサイバーパンクな雰囲気をテーマにしたテーマパーク系フードコート、といったところでしょうか。中国国内に何か所かあり、深圳にも進出して行列ができているという噂を聞いていました。

整理券を取って並ぶ必要があるという話を聞いていたのですが、行ってみるとすんなり入ることができました。どうもブームが去ってある程度客足が落ち着いていたようです。そしてご覧の通り、映画「ブレードランナー」を彷彿とされるようなサイバーパンクな世界が広がっていました。なるほどこれは面白い…

上の写真の通り、いろいろな電飾がぶら下げられている吹き抜けエリアの1階がメインのフードコートになっていて、上の方のフロアには雑貨店やレストラン、あるいはインスタ映え写真を撮るためのエリアなどがあるという感じでした。写真だとお伝え出来ないところなのですが、1階のフードコートに臭豆腐のお店があるので、臭豆腐のニオイにある程度耐性がないとここに滞在するのは厳しいかもしれない…と思ったのでした。

上の方は結構ガラガラで、しばらく写真を撮ったりしながらぐるぐると歩き回っていました。

万象天地へ

さて、深圳文和友を見学した後はファーウェイとシャオミの旗艦店がある万象天地へ向かいました。ここはたびたび訪問しているので、今回も定点観察で行ってみようというわけです。

もろもろの制裁の影響などで日本では久しく見なくなったファーウェイの新しいスマホですが、中国ではしっかりと販売されていました。

興味深かったのはファーウェイと自動車製造会社のセレスグループの合弁によるブランド”AITO”の車が展示されていたことです。通信機器メーカーが車まで…とこの時は思ったのですが、いまやシャオミもEVを売っているので、まあ時代の流れだったんでしょうね…

もちろんシャオミの旗艦店にも行きました。正面にはXiaomi 13 Ultraの広告が出ていました。

この時は折り畳みスマホが気になっていたので、実物をチェックしました。さすがにお値段もそれなりなので、見るだけでしたが…

予想外の発見だったのはこちらのXiaomi Civi 2です。自撮りにフォーカスしたスマートフォンということで、フロントのカメラが2眼になっているそうです。日本では発売されていないモデルですが、なかなか面白いコンセプトの機種です。

電気街ふたたび

万象天地からは地下鉄で華強北まで戻ってきました。日曜の夕方ということであまり開いているお店はありませんでしたが、華強北の地下電気街も少しだけ見て回りました。地下にも電気街があるのはさすがです。

この日は雨模様だったので、華強北随一の高層ビルである賽格広場ビルの上の方は雲に隠れていました。最上階にラスボスがいそうな雰囲気です。

2019年に見かけた、シャオミ系列の店舗用端末メーカーのSUNMIのショールームは相変わらず同じ位置にありました。日本でもSUNMIの端末やそのOEMっぽい端末をちらほら見るようになってきましたね。

そして夜の華強北で驚いたのがこちらの賽格広場前の横断歩道です。そもそもここは以前は交通量が多いためか横断歩道がなく、近くの地下道を通って横断するのが常だった場所です。しかし、ポイントはそこではなく横断歩道の端に埋め込まれたライトです。赤信号の時は赤に、青信号の時は緑色に点灯します。この頃は中国でも歩きスマホが問題になっていたので、おそらく歩きスマホで下を見ている人がうっかり赤信号の時に車道に飛び出さないようにということで設置されたのだと思います。技術で解決していくスタイル、さすがは深圳です。

蘭州牛肉麺を食べる

さて、そうこうしているうちに夜になったので晩ごはんを食べることにしました。よく考えたらお昼もハラールご飯だったのですが、中国に来たら食べようと考えていたものの一つであった蘭州牛肉麺を食べることにしました。さっぱりしているのですが、牛のうま味があって日本のラーメンとはまた違ったおいしさがあります。今回入った蘭州牛肉麺のお店は羊肉串もメニューにあったので、お昼に引き続き羊肉も堪能し、ホテルへと戻ったのでした。

電気街みたび

翌朝は帰国日でしたが、昼間のフライトだったので朝ごはんを食べて最後に電気街をぐるっと見てから空港へ移動することにしました。朝ごはんはこれまた毎回食べている腸粉です。いつも行っているお店で買ったのですが、ここはほぼ持ち帰り専門で営業しているので、タッパーに入った腸粉をホテルに持ち帰って、別添えのタレをかけて食べました。この手の持ち帰りグルメが安くて充実しているのは中国のいいところですよね。

この日は前日に回っていなかった国際電子城、改め国際安防電子城から調査を始めました。ここは「深センで買った700円アクションカムをバラしてみる」で分解したアクションカムを買ったところです。前日に村谷さんから改装して取扱品目も変わってしまったとは聞いていたのですが、どうなったかを確認しに来たのでした。

ある程度覚悟はしていたのですが、内装がかなりきれいになっていて、「安防」の名前の通り防犯カメラなどの機器を扱うお店が並ぶようになっていました。取付金具もご覧の通りのラインアップです。いろいろあるんですね…

せっかく華強北に来たんだしお土産がてら何かガジェットを一つくらい買おうと考え、賽格通信市場の中にあったお店で12in1のUSB-Cハブを買いました。HDMIにUSB、Ethernetなどいろいろ付いているハブです。スケルトンなのが面白いと思い購入しました。見た目もさることながら、USB-CしかないノートPCを使っている時に活用しているので、いい買い物でした。

香港空港へ

電気街をぐるっと見て回ったところでそろそろ香港空港へと向かう時間になりました。深圳→香港の移動も「特区旅游ビザで深圳に行ってみた」に書いていますが、こちらは特に手続きもないので、空港行きのバスの出発こそ待たされたものの特にトラブルなくすんなり香港空港に到着しました。

帰りはJAL便だったのでチェックイン後はキャセイパシフィックのラウンジに入って一休みです。ラウンジで飲んだこちらのHONG KONG BEERも香港のクラフトビールの一つです。これも結構おいしいのでした。

ちなみにこの時は搭乗ゲートに顔認証が導入されていました。出境手続きのところで撮影された顔写真と乗客の顔を搭乗ゲートで照合することで、搭乗ゲートではパスポートや搭乗券を出さずに搭乗に進めるようになっていました。顔認証式の搭乗ゲートの試行は各地でされていますが、私はこの時の体験が初めてでした。なかなかスムーズな搭乗体験になるので、ぜひ広まってほしいと思いました。

無事飛行機に搭乗した後は機内で映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を見つつ、帰国したのでした。

以上、2023年5月の香港&深圳旅行記でした。駆け足でしたが香港も深圳もエッセンスは味わえたのではないかと思います。次回は2023年7月の台湾旅行記の予定です。お楽しみに!

 

公開日:2024/11/25