旅行…というとちょっと違う気もするのですが、2025年2月のヨーロッパ旅行に続いて、3月にお仕事でアメリカ合衆国・シカゴに1週間ほど行ったときの旅行記を簡単に書いておこうと思います。昼間はもちろんお仕事だったのですが、朝夕やフライトまでの待ち時間などで結構色々なところを見て回ることができたのでした。
インダストリアルな雰囲気を味わう
今回はお仕事だったので自分でホテルを取ったわけではないのですが、宿泊地はシカゴのダウンタウン地区でした。空港からUberでホテルまで移動して、一息ついてから外に出てみると、道路の上を走るがっちりとした鉄骨の骨組みが目に入りました。周りもビルだらけですし、自然とのんびりした雰囲気が売り1のカナダ・バンクーバーからやってくるとなんともインダストリアルでかつ都会だなぁ~!と思ってしまったのでした。東京23区内と比べたらそんなに改めて都会だなぁ、なんて思わないと思うのですけどね。
このがっちりとした鉄骨の骨組みは何なのかというと、ダウンタウン地区を走る都市鉄道のための高架線路なのでした。1800年代の終わりに、周辺を走る複数の路線がダウンタウン地区内の駅を共有するために作られた環状線で、ループと呼ばれているそうです。今回はタイミングがなくループ内を走る電車には乗ることができませんでしたが、乗ったら乗ったでまた味がありそうな気がするので、どこかで再訪してトライしてみたいと思っています。
ミレニアム・パーク周辺まで行ってみる
なぜか私は旅先だとかなり早起きしてしまいます。今回も多分に漏れず早起きしてしまったので、散歩がてらホテルからミレニアム・パーク周辺まで歩いて行ってみました。ミレニアム・パークは五大湖の一つ、ミシガン湖に面したエリアにある公園です。上の写真はミレニアム・パークのお隣にあるシカゴ美術館です。美術館は帰りのフライトの前に見学することができたので、後で触れようと思います。
美術館の入り口の前には狛犬よろしく二頭のライオン像が鎮座していました。
美術館のあたりから北側にちょっと歩くとミレニアム・パークに到着です。ミレニアム・パークの名前を知らなくとも、この彫刻の写真を見たことがある方はいるかもしれません。ミレニアム・パークのシンボル的存在のこちらの彫刻はアニッシュ・カプーアによる「クラウド・ゲート(雲の門)」という彫刻です。アニッシュ・カプーアの作品は2019年にシンガポール・ナショナルギャラリーでも見ています。
写真の通り、巨大な豆のような物体の表面が鏡面仕上げになっていて、周囲の風景を映し出しているという彫刻です。まだ朝8時台でしたが、記念写真を撮っている人が多数いました。
別の日の夜にもぶらぶら歩いてクラウド・ゲートまで行ってみました。朝の写真はミシガン湖側から撮りましたが、ダウンタウンに面している側から写真を撮るとご覧の通りビル群がばっちり映るのでした。
ミレニアム・パークまでの道中にはアメリカの小売店チェーンのターゲットの店舗もありました。2017年にロサンゼルスに行ったときに何度かターゲットには行ったことがあったので、ちょっと懐かしいなあと思ったのでした。カナダには店舗がないのですよね。ちなみに見ての通りビルの2階部分までは細かな装飾が施されていました。調べてみたところ、このサリヴァン・センターという建物はシカゴの有名な歴史的建造物の一つのようでした。シカゴは1871年に発生した大火事(シカゴ大火)からの復興の過程で、世界各地の建築家が競ってビルを建てたために個性的な建物があちこちにある独特の街並みになったという歴史があります。
サリヴァン・センターの近くにはこちらのビルもありました。JPモルガン・チェースが入居するチェース・タワーなのですが、見てすぐに私は「こんな感じのビルって新宿になかったっけ?」と思ったのでした。慌ててGoogleで検索してみると、やはり新宿の損保ジャパン本社ビルとそっくりな見た目なのでした。実はこちらのチェース・タワーがオリジナルで、このビルにインスピレーションを得て建てられたのが損保ジャパン本社ビル(チェース・タワーの7年後に完成)、ということのようです。いやはや、なかなかのそっくりさんです。
最初に都市鉄道としてループを紹介しましたが、シカゴのダウンタウン地区には地下鉄も通っているのでした。のんびり歩いていたら地下鉄(“Subway”)の入り口の隣にサンドイッチ屋さんのSubwayがあったのでつい写真を撮ってしまいました。サンドイッチ屋さんの方のSubwayは狙って出店したのか、気になるところです。
公共交通の話が続きますが、シカゴ市内を走るシカゴ交通局のバスは白地に青と赤の線というカラーリングで、私の出身地の川崎鶴見臨港バスとカラーリングが似ているなあとなんとなく思ったのでした。
Amazon Goへ行ってみる
毎日早起きしてミレニアム・パークまで散歩するのもなんか違うよなぁと思いながらGoogleマップを見ていると、ホテルの近くにAmazonの無人コンビニであるAmazon Goがあるのを見つけました。実はカメラ画像を確認している「中の人」がいるのだ、というようなニュースも流れた後だったりしたのですが、行ったことが無かったので物は試しと行ってみることにしました。
オフィスビルの1階の一角がAmazon Goの店舗になっていました。日本のオフィス街のコンビニのような雰囲気です。入り口にはフラッパーゲートがあり、USのAmazonのアプリで表示したQRコードか、クレジットカードをタップすることで店舗の中に入ることができる仕組みでした。
品揃えは結構幅広く、お菓子、飲み物、デリ(お惣菜)類など、ちょっとしたスーパーのような感じでした。2枚目の写真の奥にちょっと見えているフェンスで囲われているエリアはアルコール類のコーナーです。さすがにアルコールは有人販売になるのか、コーナーの手前にあるベルを押して人間を呼ばなければいけないようでした。そうなってくると日本のコンビニとあんまり変わらないような…とも思わなくはないですが、アメリカの治安でもワンオペで回せるようになるというのは利点なのでしょうね。
頭上には結構な数のカメラが付いていました。本体の左右に二つ窓がありますが、それぞれちょっと見た目が違いました。カメラと何かの発光部の組み合わせなのでしょうか…?(その割には窓の向いている方向が各々違うような感じでしたが)
デリのコーナーにパック寿司があったのでよせばいいのに朝ごはんとして買ってきてしまいました。バンクーバーでまぐろ(“Tuna”)というといわゆるびんちょうまぐろ(“Albacore tuna”)が出てきがちなのですが、このパック寿司のまぐろはきちんと赤身のまぐろ(“Ahi tuna”)でした。肝心のお味ですが、ネタはいいけれどもシャリがギュッと固くなってしまっているという、海外スシあるあるな感じでした。ネタは海外スシとしてはかなり良かっただけに、惜しいところです。
マグニフィセントマイルを歩く
バンクーバーへ戻る日は夕方のフライトまでかなり時間があったので、同僚おすすめのシカゴの目抜き通りであるマグニフィセントマイルにも行きました。このあたりもダウンタウン地区と同様、シカゴ大火からの復興の過程でビル群の建設が進んだエリアです。ダウンタウン地区と比べると、より高層のビルが密集しているのが特徴です。
このあたりは遊歩道があったり、シカゴ川が流れていたりと、オフィス街とのんびりした雰囲気が絶妙に混ざり合っている独特のエリアでした。完全に余談ですが2、この出張からバンクーバーに戻ったあと、高熱を含む明らかにインフルエンザだろうという症状が出てかなり大変でした。今振り返ってみると、このあたりを歩いている時にはもう大分体調が悪くなっていたな…と思うのでした。このときは出張の疲れがたまっていただけかなと思っていたんですけどね…
一つ前の写真にもちょっとだけ写っていますが、この辺りには現アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏のトランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワーもありました。なかなかの規模かつ独特の見た目のビルです。
その他にもスターバックスの世界に6つしかないフラッグシップ店舗の一つ、”Starbucks Reserve Roastery”のシカゴ店にも行きました。ここもマグニフィセントマイルの並びにあります。ちなみに残りの5店舗はシアトル、ニューヨーク、上海、東京、ミラノにあるそうです。
マグニフィセントマイルに限らず、シカゴの街中を歩いている時に時折見かけたのがこちらの「銃の持ち込み禁止」シールです。建物の入り口のそばによく貼ってありました。銃が合法の国ならではの光景ですよね。
ウィリスタワーへ行く
シカゴのランドマークといえばこちらのウィリスタワーも外すことはできません。ウィリスタワーは1973年から1998年にマレーシア・クアラルンプールのペトロナスツインタワーに抜かれるまでの間、世界一の高さのビルだった高層ビルです。その後も2013年にワン・ワールドトレードセンターが完成するまでの間は北米で一番高いビルでした。このビルは地上110階建てのうち、103階の部分に展望デッキがあります。ラッキーなことに仕事終わりにサクッとこの展望デッキに行くことができたのでした。
地上1階部分でシカゴの発展の歴史や名物などを紹介する展示を見た後に、エレベータで103階の展望デッキまで上がると、ご覧の通りの壮麗な眺めが広がっていました。写真左側は海…ではなく、先ほども紹介したミシガン湖です。
超高層ビルの展望台はただでさえ怖くてうかつに下を見られないのですが、ここ、ウィリスタワーの展望台は”The Ledge”というタワーからはみ出すように設置されたガラス張りの撮影ブースが名物となっています。1分ごとに交代で撮影、というシステムになっているのですが、怖くて1分耐えられない人もいるんじゃないだろうか…と思いながら体験しました。ちなみにこのブースは建設当初は存在せず、2009年に後付けしたというからさらにびっくりです。
なかなか面白い展望デッキだったなぁと思いながら地上階に戻ってくると、エントランスの近くに「寿司さん」というレストランがありました。「○○さん」というのは海外のみなさんにとってはやっぱり日本っぽさを感じる要素なのでしょうか?
ちなみに私のホテルの部屋はウィリスタワーが真ん前にばっちり見える部屋でした。同僚は何にも見えない部屋だったそうなのでこれはラッキーでした。ちなみにビルの頂上部分が緑色に光っているのはちょうど聖パトリックの日だったためだと思います。
インターナショナルなマクドナルドに行ってみる
ファーストフードチェーンのマクドナルドは実は本社がシカゴにあり、本社の下の店舗では海外の店舗のメニューが食べられると同僚が教えてくれたため、晩ごはんを食べた後にみんなでマクドナルドまで行ってみることにしました。ちなみにこの訪問時は3月でしたがシカゴは寒く、吹雪いたりして3いました。そんなわけでマクドナルド本社前含め、あちこちにこんな感じの落雪・落氷注意の看板が出ていました。
さすがに本社ビルだからか、赤いカラーの看板はなく、シックな黒基調の建物に控えめにゴールデンアーチの看板が掲げられていたのでした。
店内に入ると世界地図を背にしたオーダー端末が並んでいました。日本からのメニューはスパイシーガーリック黒胡椒チキンナゲットでした。ドーナッツっぽいメニューがあったりと、各国ごとにいろいろなオリジナルメニューがあるんだな…と思いました。なにかトライしてみたかったところではあるのですが、晩ごはんを食べた直後でお腹いっぱいだったので結局何も食べずに撤退したのでした。
ちなみにドア越しにしか見られませんでしたが、本社ということで研修施設のハンバーガー大学の受付もありました。
シカゴ美術館に行く
マグニフィセントマイルを歩いた後、空港に行く前に最後にシカゴ美術館にも行きました。もうこの時には明らかに体調がおかしくフラフラになっていましたが、美術館に行かなかったとして空港に行くには早すぎるし、せっかくならばということで気合でざざっと回ったのでした。最初に見学したのはアジアの美術のコーナーです。こちらはミャンマーの仏像です。東南アジアのいろいろな国で仏像を見ているせいか、最近は東南アジアのどの辺のエリアの仏像か、見るとなんとなくわかるようになってきました。
こちらはカンボジアで発見された獅子像です。ミャンマーからカンボジアのあたりまでの獅子像はもちろん勇壮な雰囲気もあるのですが、どこかかわいさがあるような気もします。
古代の日本の芸術品もいくつか展示されていました。埴輪は埴輪で独特のかわいさがありますよね。
ちょっと変わってエジプトのミイラなんかも展示がありました。ここまで来ると美術館というよりは博物館なのでは?とちょっと思ったのでした。
もちろんアメリカ三大美術館と言われるだけあって西洋美術も充実しています。特に印象派の絵画のコレクションが有名です。こちらはモネの「睡蓮」です。
こちらはマネの「団扇と婦人」です。会場で見た時も思ったのですが、この絵はパリ・オルセー美術館の蔵だったよな…と思い調べたところ、どうやらこの時はシカゴ美術館に貸し出されていたということのようでした。ラッキーでしたね!
ちなみにシカゴ美術館はかなり広く、フラフラの状態ではどこを見たんだっけ…とちょっと混乱したりもしましたが、写真のような吹き抜けの場所もあり、余裕のある造りになっていました。
現代アートは一番奥の新しい建物にまとめて展示されていました。ベタなところですが1枚目はアンディ・ウォーホルの自画像、2枚目はマルセル・デュシャンの”Hat Rack”です。デュシャンのレディメイドの作品は2018年にパリのポンピドゥーセンターでレプリカを見て以来で、本物(?)を見たのはこれが初めてでした。
食べたものを振り返る
さて、最後に滞在中に食べたものをまとめて振り返ってみたいと思います。いつもの一人旅と違い出張だったので、何人かの同僚と一緒にいろいろ頼んで食べるということができたのでした。上の写真は到着日に行ったバーベキューレストラン”Green Street Smoked Meat“のグリルの写真です。巨大なオーブンの中で肉が載った鉄板がぐるぐる回っているというビジュアルが実に強烈でした。
個人的にはバーベキューと聞くと屋外で炭火で肉を焼いて食べるやつ、というイメージが先行してしまいがちなのですが、テキサス風のバーベキューはブリスケットなどの肉を薪でしっかりスモークして焼くものだそうです。普通に焼くと固くなりがちなブリスケットがジューシーかつ香りもよく仕上がっていて、とても美味しかったです。ちなみに到着日に行きそびれた同僚の誘いで、滞在中にもう一度このお店を訪れて2度も本格バーベキューを堪能することになったのでした。美味しかったのでいいんですけどね。
シカゴ名物のディープディッシュピザももちろん食べに行きました。こちらの”Giordano’s“は有名なお店の一つです。ネオンサイン(たぶんLEDではなくて本物!)が目を引きます。
専用の台に乗ったディープディッシュピザはなかなかの見応え、そして食べてみてさすがに味わい&迫力でした。ちなみにおつまみに頼んだチーズ揚げもめちゃくちゃ美味しかったです。
こちらはパキスタン出身の同僚のおじさんが経営しているレストラン”Bundoo Khan“に行ったときの写真です。完全に同僚にお任せでオーダーしてもらったのですが、チーズナンに始まりパキスタン風カレーのカラヒ4までどれも激うまでした。アメリカンなバーベキューもいいのですが、南アジアとはいえやはりアジアの味はやはりアジア人の私にはしっくりくるものなのだろうか…と一人考えながら食べていたのでした。滞在中のご飯は基本的においしいものばかりだったのですが、個人的なベストはここでしたね。
こちらも会社の方におすすめされて行ってみた”Billy Goat Tavern“というレストランです。空港含めシカゴに何店舗かあるチェーンで、一番の目玉メニューはチーズバーガーのようです。(チーズバーガーの解説ページがちょっと面白いです。)
しかし会社の方のおすすめはチーズバーガーではなく、豪快にリブアイステーキを挟んだサンドイッチなのでした。ステーキをバンズに挟むっていうのはどういうことなんだ、と思ったのですが、これがなかなか肉汁をバンズが吸っていておいしかったり、よく叩いて伸ばしてあるステーキも意外と食べやすかったりと、インパクトだけではなくきちんとおいしいサンドイッチでした。
最終日にはアメリカでラーメンを食べてみよう!ということで、こちらの「拉麺さん」というお店にも訪問しました。ウィリスタワーの「寿司さん」に続いての「○○さん」シリーズです。
ちょっと早めのお昼だったので空いていましたが、入ってみると日本のラーメン屋さんというよりはちょっとおしゃれなバーレストランという感じのお店でした。
メニューにはなんとラーメン初心者(?)のための用語集(本当に”Karaage”とか単語が書いてありそれについての説明が並んでいました)まで付いているという、なかなか面白いお店でした。とんこつラーメンをオーダーしたのですが、日本人にとっては正直物足りない(というかとんこつを感じない…)味噌ラーメンという感じでした。ちなみにチャーシューも到着日に食べたようなバーベキュー系のテイストで、ここはアメリカナイズされたラーメン屋さんなのだな…と納得させられた(?)のでした。
空港へ向かう
そんなこんなでフラフラになりながらシカゴ美術館を見学した後は空港へと向かいました。行きは会社の他のメンバーと一緒のフライトだったのでUberを使いましたが、帰りは一人ということで地下鉄で空港へと向かいました。フラフラだったのでUberでも良かったような気も今更していますが、郊外区間は高架を走ったりしていてそれなりに景色も眺められたので、まあいいかと思っています。
なんとか空港に着いたのはいいのですが、空港の中もまた広く、ひたすら歩かされたのでした。それもそのはず、シカゴ・オヘア国際空港はユナイテッド航空の本拠地で過去には世界一忙しい空港としてギネスブックにも乗っていたことのある超巨大空港なのでした。行きのエアカナダ便はイマドキの映画が見られる機内エンタメ端末が付いていたのですが、帰りのユナイテッド便はテレビ放送が見られる端末が付いているやや古めかしい機材で、こういうのもあるのか…一周回って新鮮だな…と考えながらバンクーバーへと戻っていったのでした。
以上、2025年3月のシカゴ旅行記でした。次回は2025年4月の中南米旅行記の予定です。お楽しみに!