2024年のゴールデンウィークのアジア周遊旅行記、今回は完結編のPart5ということで、駆け足で滞在した香港とマカオについて書いていきたいと思います。

蘭桂坊へ行く

Part4の最後で乗った飛行機でクアラルンプールから香港国際空港に到着した後は、またしても夜遅くだったためエアポートエクスプレスで香港市街地へと向かいました。香港だといつもは九龍半島側の佐敦~旺角あたりに泊まるのですが、今回は翌日に上環からのフェリーでマカオに行く予定だったこともあり、趣向を変えて香港島側の中環に泊まったのでした。なかなかおしゃれなフロントのホテルだったのですが、中環のきつい坂の途中にあるホテルで、荷物が重い時はちょっとしんどいだろうなぁという印象を受けました。まあ、香港にしてはかなり安めだったので文句は言えません。

機内食を食べていたこともあってあまりお腹が空いていなかったのですが、せっかく中環に泊まっているのだし、行ってみて何かあればちょっと食べようかなと思い蘭桂坊へと向かいました。上の写真は道中に見かけたネオンサインです。香港はまだまだLEDでない本物のネオンサインが残っています。英語でも”PAWN SHOP”と書いてありますが、「押」というのは日本でいうところの「質」の意味で使われています。

この時はもう0時前になっていたので、さすがの蘭桂坊もちょっと人通りがまばらになっていました。とはいえ、1月の訪問時が賑やかすぎただけで、十分人はいるような気もしますが…

朝の香港島を歩く

翌朝はいつも通り朝ごはんを探しがてら写真を撮りつつ散歩に出かけました。今回は珍しく香港島側に泊まっていたので、主に中環のエリアを歩きました。このFCCというのはアメリカ連邦通信委員会1…ではなくて、外国特派員クラブ(Foreign Correspondents’ Club)だそうです。たまたまいいアングルでタクシーがカットインしてきた一枚です。

この日は雨がパラつく空模様でしたが、この時はスコールというほど激しい雨は降っていなかったので、気にせず散歩を続けて朝ごはんを探しました。

しばらく歩いたところでフィリピン発のフライドチキンチェーン、ジョリビーの店舗を見つけました。各国で見かけてはいるのですが、2019年に本拠地であるフィリピンのマニラで食べて以来食べていなかったのでした。当分本拠地フィリピンに行くこともないだろう2から、ここで久々に食べておこうと考えました。

そんなわけでド定番のスパゲッティとチキンのセットをオーダーです。この甘めのスパゲッティ、たまに食べるとおいしいですね。箱に”sweet”と堂々と書いてあるのがまたなんともいえません。

しかし香港にいるのにジョリビーだけというのもなあと思い、また少し歩いて通りかかった茶餐庁に入って車仔麺も食べてしまったのでした。もちろんミルクティー付きです。

ちなみにこのお店はなぜかお店の中の装飾にワンちゃんが登場していました。オーナーの好みでしょうか。おめでたい単語とワンちゃんを組み合わせた飾りが売られているというのがまた面白いです。

ポッティンジャーストリートへ行く

朝ごはんを食べた後は一部の(?)人にはちょっと有名な観光スポットになっているポッティンジャーストリート(Pottinger Street)へ行きました。ここは石畳の坂と左右の道にせり出すような勢いの店舗という組み合わせがなかなか見応えがあるのですが、それ以上にTM NETWORKの”Get Wild”のMVのロケ地ということで有名なのでした。さすがに当時に比べて道路にせり出す看板などは減っていますし、風景は変わっていますが、それでもなかなか雰囲気のある通りでした。

ポッティンジャーストリートから中環の駅の方へと歩いていると、吉野家のこちらの看板を見かけました。サッとスキャンしてオーダーできる、という意味なのだとは思いますが「秒掃の落単」というのはなんだか単位を落としそうな大学生には刺さるコピーという気がします。

ミニバスの写真を撮っていたら偶然バスが隣を通り過ぎたのですが、行先表示が「車長訓練中」となっていました。”Professional Bus Captain in the making”という英訳もいいですね。

駆け足で電気街調査

バスの写真を撮った後はホテルをチェックアウトする前に電気街調査に出かけようと思い、中環からMTR(地下鉄)に乗ってシャムスイポーまで向かったのですが、シャムスイポーにたどり着いたところでホテルのチェックアウト時間を1時間遅く勘違いしていることに気が付きました。駅には着いたもののすぐ戻らないと間に合わないということで、泣く泣くシャムスイポーの調査は諦めてホテルへととんぼ返りしたのでした。

チェックアウトした後もう一度シャムスイポーへ行くのはさすがにタイムロスも大きいということで、せめて中環から近いこちらだけでも見ようということで、湾仔の湾仔電脳城へとやってきました。

1月の訪問時は朝早く訪問したため、閉まっているお店も多かったのですがこの日はお昼前かつ土曜日の訪問だったのでそれなりに賑わっていました。PCやタブレットなどが売られている電脳街は各地にありますが、最新の製品へのキャッチアップ度でいうと香港は比較的上位(早くキャッチアップしている)に入る気がします。

中環のビル群を眺める

マカオ行きのフェリーは午後1時発だったので、湾仔電脳城を見学した後にちょっとだけ時間が余りました。ここから九龍半島側に行ってあれこれするほどの時間でもないので、フェリーターミナルのある上環の方に向かいがてら中環エリアの高層ビルを眺めることにしました。こちらは金鐘駅のあたりだったと思いますが、ビルに巨大なMTRのロゴが付いていました。調べてみると特にここが本社というわけでもないようで、ちょっと不思議です。

このBlogでも何度も取り上げている中環の変わった形のビル、リッポーセンターの写真も撮りました。今回はエントランスホールに入ってみたのですが、なかなか高級感のある造りでした。

そしてこちらは2023年5月の香港訪問時にはまだ外装を工事していた、ザハ・ハディドアーキテクツ設計のThe Hendersonです。この時はもう外装は完成していたのですが、中にはまだ入れないようでした。遠目から見た時にはまた変わった形の建物が建つんだな…としか思わなかったのですが、ペデストリアンデッキが通れるようになっていたので近くまで行ってみるとなかなかSF映画のような雰囲気があり、これはすごい…と思ったのでした。

最後に中国銀行香港ビルの写真を撮って撤収です。この周辺の有名なビルとしてはこちらも外せません。

船でマカオへ

ビルの写真を撮った後は一駅だけですがMTRに乗って上環まで行き、マカオ行きのフェリーターミナルのある信徳中心へと向かいました。

信徳中心にはフードコートなどもあるのですが、出発時刻までそんなに時間もなかったので特に寄り道せずに出境審査場へと向かいました。ちなみに香港とマカオは珠江の河口の東岸と西岸に位置していて、この2都市と中国大陸側の珠海市の3都市を結ぶ港珠澳大橋が2018年に開通しています。展示会のお仕事で2019年にマカオを訪問した際にはこの橋を走る路線バスで香港とマカオの間を往復しました。

ただ、せっかくならばもう一度くらいフェリーでマカオへ行っておこうと思い、今回はあえてフェリーをチョイスしたのでした。ちなみこの路線のフェリーに最後に乗ったのは2017年でした。香港の市街地からバスでマカオに行こうとすると結構時間がかかるので、市街地の上環からマカオまで1時間ほどで移動できるフェリーにもそれなりに競争力があるような気がしますが、香港国際空港からマカオへの移動ではバスもかなり便利なので、今後フェリーの立ち位置がどう変わっていくのかちょっと気になるところです。

香港の出境審査場を通ったところでしばらく待って、フェリーに乗り込みました。今回の旅行では最初の香港到着時のスターフェリー、バターワースからペナン島へのフェリー、そしてマカオ行きのフェリーと3回目の船旅になります。

世界遺産を眺める

フェリーを降りてからは一旦ホテルにチェックインし、そこからバスでマカオの世界遺産・セナド広場へと向かいました。しかしバスを降りるといきなりご覧の通りの大混雑です。香港やマカオ自体は連休シーズンではないのですが、香港やマカオへのアクセスが(地理的にもビザなどの制約観点でも)比較的良い中国大陸3は労働節の連休中だったので、このように混んでいたのだと思います。

ちなみにセナド広場の「セナド」はポルトガル語で「上院」という意味だそうです。この広場の目の前に議会があるのでそういう名前なんですね。

マカオの中心部観光はセナド広場をスタート地点にしてきたの方に通りを進んでいき、セントポール教会跡とモンテの砦を見る、というのが一つの定番ルートです。2016年にマカオを初めて訪問した際などにもこのルートは観光していますが、他の大多数の人々の流れに沿って久々にこのルートを歩いてみることにしました。

細い路地を差し掛かったあたりには鉄道グッズを扱うお店でしょうか、「成田駅」というお店がありました。うっかり間違えて気が付かないうちに帰国(?)してしまったのかと思いました。

そして道中ではこちら、マカオ名物のエッグタルトもいただきました。まあ香港の名物でもあるのですけどね。ポルトガル式のマカオ風と英国式の香港風があったりするらしいですが、まあおいしいので細かいことは気にしません。

しかし本当にこの時は人が多かったのでした。丘の上のセントポール教会跡にたどり着いてもこの通りの人の数です。人の多さという意味でこれはこれで見物する価値があったかもしれません…

モンテの砦の方に歩いて行こうかとも思ったのですが、あまりの人の多さに嫌気がさしたので、近くの適当な出口(そう、この時は人が多すぎて通行方向が制限されていたのでした)から脇の通りに出てしまいました。

しかし脇の通りは通りで、ポルトガル風のおしゃれな建物ではないのですが、やや古いアパート群がなかなかの迫力を醸し出していました。香港ほどは背が高くないアパートが多い印象です。香港ほど高層に建て替えるだけの需要圧力がなかったからこそ古めかしい雰囲気のアパートがみちみちに詰まって建ったまま残っていているのでしょうね。

早めの晩ごはん

脇の通りを少しぶらぶらしていると、マレーシアで遭遇したようなかなり激しいスコールが降ってきました。なんだかんだでお昼ご飯を食べていなかったりもしたので、午後5時とちょっと早めでしたが近くのレストランで晩ごはんを食べつつ雨宿りすることにしました。

ふらっと入ったのはこちらの「亜倫餐庁」です。香港の茶餐庁とはまたちょっと違うテイストの内装がいいですね。ポルトガルには行ったことがないですが、きっとポルトガルとか南欧のテイストなんでしょうね。

そして食べたのはこちらの料理です。名前を忘れてしまったのですがスペアリブにチーズを掛けたものをトマトソースに浸してオーブンで焼いた料理です。なかなか大人のお子様ランチといった感じのわんぱくな味わいでした。

夜のマカオを歩く

晩ごはんを食べた後は雨を避けつつカジノに行ったりしながら(今回は大して負けもせず勝ちもせずでした)街を歩いていました。こちらは道中見かけた「必勝押」です。「押」が「質」の意味であることはこの記事の前半で説明しましたが、質屋に駆け込んでいる時点で必勝も何もないような気がするのは私だけでしょうか…(ゲン担ぎなんでしょうけどね)

マカオにはカジノは多数ありますが、やはりマカオのカジノといえばここ、グランドリスボアは外せません。一体どうしたらこんな形状のビルを建てようと思うのか、いつ見ても不思議な建物です。そしてこの日は曇りだったこともあり上部にもやがかかったようになっていて、より一層悪の秘密組織のラスボスがいそうな感じ4が増していました。

ちなみにグランドリスボアのカジノフロアの手前にはマカオのカジノ王・スタンレーホーの胸像が置いてあります。スタンレーホーはグランドリスボア、ホテルリスボアに加えて、先ほど乗っていたフェリーの香港側のターミナルである信徳中心の整備も行い、マカオのカジノシティとしての振興に尽くした人物です。

新しめのグランドリスボアに対して、隣にあるリスボアホテルは1970年代に建てられた初期のカジノホテルです。古いことは古いのですが、こちらはこちらでクラシックな豪華絢爛さがあり、見に行くだけでもちょっと面白いのでした。

しかしさすがはカジノの街、マカオには質屋が多いのでした。正直なところ質屋に頼ってまでカジノに行かないほうがいい気がしますが…

旧宗主国がポルトガルなだけあって、マカオの通りの標識は中国語とポルトガル語の併記なのでした。この陶器の標識は標識でおしゃれですよね。

マカオのカジノ事業はマカオの中国返還前は先ほど紹介したスタンレーホー率いるSTDM5社が独占していましたが、マカオの中国返還後はウィンリゾートやシンガポールのマリーナベイサンズでも有名なラスベガス・サンズ、MGMなどの参入もあり様々な企業のカジノが存在する状態になっています。外資系の大きいカジノはラスベガスだったりシンガポールだったりと似たような雰囲気ですが、小さい地場系のホテル併設カジノは血眼のおじさんたちがたばこをモクモクさせながら勝負していたりして、うかつに覗けないなあという雰囲気のところもあったりするのでした。

リスボアホテルとグランドリスボアの全景をそれぞれ撮ってみました。リスボアホテルは奥の看板がある側(カジノの入り口側)から撮るといかにもカジノという雰囲気なのですが、ホテルのエントランス側から撮るとさすがにちょっとおとなしめな見た目ですね。

グランドリスボアの周辺を歩きまわった後は、グランドリスボアとマカオの古い街並みを同時に写しこめないかと思い、グランドリスボアから少し距離を取るように歩いて行きました。しかし意外とマカオは小高い丘が多く、意外といい感じに両方が写りこむスポットはないのでした。ただ、カジノエリアをちょっと離れると一気に独特の味のある街並みになるのはマカオの面白いところです。丘が多いので階段状になっている場所が多いのも、香港の中環などのエリアと同じように独特な風景を作り出すのに一役買っているような気がします。

さらにフラフラ歩いていたらこちらの看板を見かけました。私はたばこは吸わないのですが、「無煙限酒促健康」のキャッチフレーズは耳が痛いですね…

グランドリスボアはともかく、カジノは結構昔ながらのネオンと電球でギラギラしているところも多いのですが、今どきのネオン風LEDで作られた結構手の込んだ電飾看板を見かけたので写真を撮ったのでした。マカオの夜景もいずれLEDにどんどん変わっていくのでしょうね…

香港に戻る

マカオも1泊だけの滞在ということで、翌朝は早々にホテルをチェックアウトして香港へと向かいました。11時に出発するフライトで日本に戻る予定だったので、先ほど紹介した港珠澳大橋を走る路線バスで香港国際空港へ直行です。

港珠澳大橋は橋の両端に入出境審査施設があり、香港側の施設の入り口のところでバスを降りることになります。ここではPart1で取得したe-Channelが使えるので、スムーズに香港に入ることができました。

香港に入境後の場所には一般の路線バスのバスターミナルがあります。案内板のこの表示に従っていくと、空港行きのバスのバス停があるのでそこからバスに乗り込み、10分ほどで空港に到着です。

先ほど香港に入ったばかりですが、チェックインを済ませた後は早々に香港を出境して搭乗ゲートへと向かいます。今回は行きと同じく大湾区航空で成田に戻るので、キャセイパシフィックのラウンジはお預けです。

早起きしたこともあり機内では熟睡していたためあっという間に成田空港に到着しました。成田空港からはスカイライナーで自宅へ向かったのですが、大荷物のインバウンド観光客が多すぎて発車ベルが鳴っても人が乗りきらなかったりと、マカオに続いてなかなかの観光客の多さ(マカオでは自分も観光客だったんですけどね)にびっくりしたのでした。

以上、2024年のゴールデンウィークのアジア周遊旅行記、Part5でした。次回は5月から6月にかけていわゆるSFC修行のために怒涛のように訪問したシンガポールとマレーシアの旅行記の予定です。お楽しみに!

  1. アメリカの放送通信関連の行政機関
  2. 実はこの旅行の直前にカナダに赴任しないか?という打診があり、当面東南アジア方面は行きにくくなるぞとなんとなく考えていたのでした
  3. 特別行政区でないエリアの中国、という意味です
  4. 私が勝手にそう言っているだけです!
  5. Sociedade de Turismo e Diversões de Macau
公開日:2025/01/23