2024年1月の東南アジア旅行記、Part5はシェムリアップ滞在を終えてバンコクに向かうところから書いていきたいと思います。
国境が開くのを待つ
Part4の最後の最後で飛び乗ったバスは西へとひたすら走り、午前3時16分、カンボジア・タイ国境のカンボジア側の街、ポイペトの車庫に到着しました。ポイペトの国境は深夜は閉鎖されていて、朝6時まで開かないためここで一旦休憩、というわけです。
ちなみにポイペトはカジノの街として有名です。カンボジアはカジノを含むギャンブルが合法である一方、タイは長らく大半のギャンブルが禁止されていたため、ポイペトには国境を越えて遊びに来るタイ人を狙ったカジノが多数存在します。これらは24時間営業なので、車庫の周りには煌々と輝く建物や、午前3時にも関わらず営業している屋台が並んでいました。
なお、2024年の10月にタイ政府は一部のギャンブルを時間帯の規制付きで合法化しました。これは統合型リゾートのようなカジノ合法化を見据えてのものと言われています。集客のためにバンコク~ポイペト間の無料のシャトルバスを運行していたりするくらいにタイ側の需要に依存しているこれらのカジノが、本当にバンコクにカジノができた時にどうなるのかはちょっと気になるところです。
暇つぶしにカジノに行こうかちょっと悩んだのですが、うっかり置いて行かれるのも嫌だし、眠いこともありバスの中で仮眠していました。その後国境が開く前にバスの車掌さんからこちらのタイの入出国カードが配られました。以前は空路でタイに入国する場合も書く必要があった(2014年の訪問時は書かされたのでした)のですが、今は空路の場合免除となっているので、ちょっと珍しいかもしれません。2023年のGWにラオスからタイに入った時や、8月にマレーシアからタイに入った時にも書いているので、個人的にはあんまり珍しくないのですが…
そして国境が開く6時になるとバスから降ろされ、この札を首から下げて国境へと徒歩で向かっていったのでした。本当にVIPなのか、ファストパスの役割を果たしていたのかは分かりませんが、迷子防止の効果はあるんでしょうね…
こんな感じで待ち構えていたトゥクトゥクや車、他のツアー会社の旅行者などがごちゃごちゃと国境へ向かっていく流れに乗って、私も国境へと歩いていきました。カンボジア側の国境検問所に着いたのは6時4分、そこを抜けてタイ側・アランヤプラテートの国境検問所を通り抜けたのが6時43分でした。国境が開いた直後で少し混んだりはするものの、1時間はかからないで通り抜けられたということになります。
タイ側はさすがに国境周辺の整備もしっかりしていて、ラオス・タイの国境に続いて国力の差を感じました。この建物はコンビニやトイレなど、いろいろ揃ったサービスエリアのようなショッピングモールのようでした。もっとも、朝だったのでコンビニとトイレしか使いませんでしたが…
ショッピングモールの向かいにあるバス会社のオフィス兼待合室に到着すると、朝ごはんの配布がありました。何種類かチョイスがありましたが、私はタイ風ビーフン炒めのパッタイをチョイスしました。こういうお弁当でもしっかりタイっぽい味なのはさすがですね。
バス会社のオフィスの並びにはローカル感溢れる市場もありました。普通の食堂のほかに、(食べるための)虫などを売るお店もありました。
バス会社の待合室にはバンコクでのバス停の案内がありました。最初がラーマ9世通り、次がフアランポーン駅、最後がカオサン通りということでした。今回はバンコク滞在は一瞬でホテルは取っておらず、バスを降りたらサイアム駅周辺に向かうつもりでした。2個目、3個目のバス停だとサイアム駅から見て西に行きすぎてしまうので、最初のラーマ9世通りで降ろしてもらうことにしました。
ちなみにこのバスの待合室で「日本人ですか?」と声を掛けられました。インド出身で日本で働いているエンジニアの方が実は同じバスに乗っていて、私を見かけて声をかけてくれたのでした。お互いどういうルートで移動してきたかを話しながら、バスが国境を通り抜けてくるのを待ちました。
再び出発
2019年にシンガポール~マレーシアのバスでの国境越えの際に運悪くかなり時間がかかってしまい大変な目に遭ったことがあるので、今回はできるだけ素早く移動しようと心掛けたのですが、肝心のバスがかなりゆっくりやってきたのであまり急ぐ必要はなかったような気がします。待合室でのんびり待った後、8時5分にようやくバスはバンコクに向けて再度出発しました。
2時間ほど走ったころ、20分ほどのトイレ休憩ということでロードサイドのサービスエリアのようなところに停車しました。本当に20分で発車することはまあないだろうなぁと思ったのですが、この予想は大的中したのでした。
ちなみにトイレにはどこか見覚えのある眼鏡をかけたお医者さん風の人形が募金を募っていました。一体誰なんでしょう…?
サービスエリア風な雰囲気だけあって、ガソリンスタンド、カフェ(タイの地場チェーンであるCafe Amazon)、ローカル食堂と色々揃っていました。10時台と中途半端な時間だったので、特に何も食べませんでしたがこういう食堂の雰囲気は見ているだけでも楽しいですよね。
バスは結局30分ほど休憩してから出発し、さらに2時間弱走ったところで下車しました。自分の思っていたラーマ9世通りはもっと都心寄りだったのですが、スワンナプーム空港よりは西側、アソークよりは東側の、フアマーク駅そばで降ろされたのでした。ちょっと戻るようにはなりますが、サイアム周辺に行くには次のフアランポーン駅周辺で降ろしてもらったほうが便利かもしれません。
バンコクに到着
当時はフアマーク駅から空港鉄道(ARL)で市街地に出るという案を思いつかなかったので、バスを降りた地点でGrabタクシーを呼び市街地へと向かいました。手前には古めかしい赤バス1が走ってはいるものの、やはりバンコクは東南アジアでもぶっちぎりの大都会だなあと思わずにはいられませんでした。
アマリンプラザにあるJCBのカードラウンジ2で荷物を預かってもらい身軽になった後はお昼ごはんを探しに毎度おなじみのセントラルワールドへとやってきました。いつの間にか焼肉ライクができていたりしてびっくりしつつも、一瞬とはいえせっかくのタイ滞在、それっぽいものを食べようということでフードコートへと向かったのでした。
というわけでフードコートで定番中の定番、カオマンガイをオーダーしました。今回は揚げ鶏と蒸し鶏のハーフ&ハーフです。シンプルですがカオマンガイを食べるとタイに来たなぁという感じがしますね。
バンモーへ
お昼ご飯を食べたところで、バンコクの電子部品街であるバンモーに向かいました。何度も訪問している電子部品街ですが、2023年の8月に訪問した際は午後5時を過ぎていたために中を見ることができなかったのでした。
今回は昼間の訪問ということでバンモーの電子部品街ビル・バンモープラザもばっちり営業していました。
細かい電子部品に空圧機器など、様々な部品を売るお店が連なっている様子は健在でした。
2023年4月のMaker Faire Rangsitの際のバンコク訪問の記事にも書いたのですが、以前はお店がいくつも入っていた2階はシャッター通りと化していました。この時、階段のところにタイ語の張り紙を発見したのでGoogle翻訳で確認してみると、2階の店舗はすべて1階に移転済、1階にあった通信機器のお店は閉じて3階の修理センターのみ営業中、という内容でした。残念ではありますが徐々に店舗数が減ってきているので集約したというところなのかと思います。
張り紙の通り、3階ではこちらの通信機器の修理センターだけがひっそりと営業していました。
相変わらずバンモーはオーディオ関連機器の取り扱いが多かったのでした。こういうのはきっと車に載せてガンガン鳴らす用なんでしょうね。
バンモーにはバンモープラザ、バンモースクエアという電子部品街ビルのほかに、いくつか単体で営業しているお店もあります。そういうお店は健在でした。店内のLEDサインのサンプルがまぶしいです。
ヤワラーを歩く
バンモーを歩いた後はそのまま徒歩でフアランポーン駅方面へと向かい、中華街のヤワラーへとやってきました。やはりこのエリアの古い中華風の雰囲気とタイのカルチャーがミックスされた感じは見ていて楽しいです。
2023年8月の訪問時にもお店のネオンの写真を撮ったツバメの巣とフカヒレを扱うお店の通りにも行きました。今回は道にせり出している看板を撮ってみました。「魚翅」の文字の書きっぷりがこれまたいいですね。
もちろんヤワラー通りの写真も撮りました。暗くなってからのヤワラー通りもいいですが、夕日に照らされる看板というのもまた味わい深いと思います。
歩いているとカニが売っているのを発見しました。プーパッポンカリーなんかに使うワタリガニでしょうか?
そしてタイの定番、コンビニのそばをうろうろするワンちゃんも目撃しました。この子は首輪をつけているのでもしかすると奥の屋台のご主人の飼い犬かもしれませんね。
ホーチミンシティへ戻る
ヤワラーを散策した後はJCBラウンジに戻って荷物を回収し、ホーチミンシティへ戻るフライトの出るドンムアン空港へと向かいました。例によって東南アジア近距離線の定番・エアアジアで移動です。そこそこチェックインの列が長かったのですが、出発時間が近づいていたこともあり、私の乗るフライトの便名を掲げた係員さんが回ってきたので声をかけ、係員さんに従って列をスキップして手続きをすることになったのでした。
そんなわけであまり時間はなかったのですが、そういえばタイに来たのにタイのビールを飲んでいないじゃないかということに気が付き、急いでラウンジでチャーンビールを飲みました。
ビールを飲んでしばらくすると搭乗時間になりました。バスで飛行機のそばまで向かい、タラップで乗り込んでいきます。
2時間弱のフライトでベトナム・ホーチミンシティのタンソンニャット空港に戻ってきました。1月1日に着いた時とは大違いの大混雑ですが、こっちの方がいつものタンソンニャット空港という感じで安心しますね。
ホテルに到着した後はフォーと333ビールで晩ごはんです。さすがに朝早くから起きていたこともあり、疲れていたのでフォーを食べた後はホテルで爆睡してしまったのでした。
朝のホーチミンシティを歩く
ホーチミンシティに戻ってきてから泊まったホテルは朝食のサービスがなかったので、翌朝は朝食を求めてぶらぶらと散歩しました。朝からやっているお店がいっぱいあるのはベトナムのありがたいところです。街角のフォー屋さんで具だくさんのフォーを食べた後は再び街を散策しました。
1月1日は正面で記念写真を撮っている人々を見かけたオペラハウスの前には、いつの間にか自動車メーカーのボルボのイベント会場が設営されていました。
1月1日にも探していたのですが、自分へのお土産ということで北部の名物3、バッチャン焼のマグカップを探しに再びベンタイン市場にも行きました。市場は朝から賑やかでした。
屋台のそばでは全力でおこぼれを狙っているワンちゃんもいました。こうやってきちんと待つあたり、いつもちょっとおこぼれをもらっているのでしょうか?
ベトナムの屋台に並ぶ食品群、この熱帯でどうやって保存しているんだと不思議に思うこともあるのですが、それはさておきショーケースに並ぶあれこれは鮮やかでついつい眺めてしまいます。
ベトナムでEVタクシーに乗ってみる
ホテルからベンタイン市場まで歩いた後、空港に向かう前に試しておきたかったEVタクシーに乗ってみました。2023年10月の訪問などでもちらほら見かけていた、地場資本であるヴィングループ出資の自動車会社、ヴィンファストの電気自動車を使った”XANH SM TAXI”というタクシーです。このタクシー会社自体もヴィングループの経営で、すべてヴィングループのEVでタクシーを運行しているとのことです。ヴィンファストのEV自体はXANH SMタクシーに限らず、ちらほらベトナムの街中で見かけてはいたのですが、Grabタクシーなどでは遭遇したことがなく、ヴィンファストのEVを体験するためにも一度XANH SMタクシーに乗ってみようと考えていたのでした。
専用の配車アプリをスマートフォンにインストールしてユーザー登録をすれば、特に難しいことはなくタクシーを呼ぶことができます。肝心の車両ですが、内装は商用車のようなシンプルさで、インパネも写真の通り、コンパクトな画面だけの構成です。しかしさすがはEVだけあって、比較的走行音は静かでした。
ドキドキの遅延
EVタクシーでホテルに戻った後、チェックアウトのために荷物をまとめていたところ、スマホにキャセイパシフィック航空からのメッセージが入ってきました。私が乗るホーチミンシティ~香港便が35分遅延するとのメッセージでした。
行きはJALの直行便でホーチミンシティまで来たのですが、帰りは安いチケットが出ていたこともあり、キャセイパシフィック航空でホーチミンシティ~香港・香港~羽田と乗り継ぐルートにしていました。元々乗り継ぎ時間が1時間5分しかなかったのですが、2023年8月に香港空港での短時間での乗り継ぎは経験していたこともあり、なんとかなるだろうと踏んでいました。しかし元々1時間5分の乗り継ぎ時間のところ、35分遅れとなると乗り継ぎ時間が30分しかないということになります。
さすがにこれは無理だろうと思ったのですが、もうとにかく空港に行くしかないなと考え、とりあえずスーツケースからバックパックに服を少し移してからチェックアウトしました。その後、呼んだGrabタクシーの画面がどう見てもOLED(有機EL)ではなさそうなのに”OLED”と書いてあるのが気になりつつも、ひとまず空港に向かったのでした。
空港に着いた後は、チェックインカウンターで「この乗り継ぎは絶対に間に合わないのでは?」と聞いてみたものの、大丈夫だからとりあえず香港行きに乗ってね!と返されて、どうなるやらと思いつつベトナムの出国手続きを済ませたのでした。
ラウンジで時間をつぶしたりもしたのですが、いかんせん遅延していることもあり、様子が分からないのも嫌なので定刻になったあたりで搭乗ゲート周辺へと向かいました。ゲートへの道中、こちらのビールをごり押しする感じの看板を見かけました。このテイスト、ビール好きとしては笑ってしまいます。ちなみに”Soup of The Day: BEER”というのはソウルの明洞でも見たことがあります。何か元ネタがあるのでしょうか?
さらにこちらはバーガーキングの看板なのですが、日本語の改行がなかなかおしい感じです。変な位置での改行は海外の日本語あるあるではありますが、「る」を1行目の右側に入れられるだけの余裕がありそうなだけに、不思議さが増しています…
その後、搭乗ゲートの前で待ってはみたものの、遅延後の搭乗時間になっても搭乗が始まらず、いよいよこれはダメだろうなと思いつつさらに待ちました。結局、飛行機は当初の出発時刻から55分遅れで動き出したのでした。
以上、2024年1月の東南アジア旅行記、Part5でした。もはやネタバレの感がありますが、次回Part6にて今回の旅行記は完結の予定です。お楽しみに!