2023年8月の東南アジア旅行記、バンコク~クアラルンプールのPart1に続いてペナン編・Part2です。ペナンは初訪問だったのですが、フライトの遅延だったり寝台列車のスケジュールだったりで割と短めの訪問となりました。
まずは晩ごはん
Part1の最後に書いた通り、クアラルンプールからペナンへのフライトが派手に遅延してしまい、到着はすっかり夜になってしまいました。何はともあれ、空港のあるペナン島南部から、ホテルのある世界遺産地区・ジョージタウンへとタクシーで移動しました。ちなみにペナンは半導体の後工程の工場が多数あることで有名でもあります。空港からホテルまでの道中の車窓からはルネサス、AMD、Infineonなど各社の工場が見えました。
ホテルにチェックインした後は晩ごはんに出かけました。会社にペナンに駐在していたことがある方がいたので、その方に聞いたおすすめのバクテー屋さんに行ってみることにしました。
というわけでマレーシア風バクテーに炊き込みご飯、野菜と中華揚げパンのセットを食べました。バクテー(肉骨茶)は薬膳と豚のスペアリブなどを煮込んだ料理ですが、透明な塩味ベースのスープにニンニク、コショウなどで仕上げたシンガポール風と、より漢方っぽさが強い醤油ベースのスープのマレーシア風があります。私はどちらかというとシンガポール風のバクテーの方が好きだったのですが、ここのマレーシア風バクテーはなかなかおいしく、炊き込みご飯と合わせてすいすい食べられました。
ちなみにお店は大盛況だったこともあり、一人で訪ねた私は会計のおじさんが座っているテーブルに通されました。日本人が一人で来るのは珍しいのか、どこから来たのか、誰かに紹介してもらって来たのか(やはり日系企業の駐在員御用達だそうです)など、あれこれ英語で聞かれたのでした。しかしいかにもなマレー訛りの英語で、語尾に”~Nah!”と付いていて、おお、これは小説「深夜特急」で見たやつだ…!と一人感動していたのでした。
そして東南アジアや香港ではおなじみのキンキンのレモンティーももちろんあります。渋めの紅茶とレモンの風味がバクテーの脂っぽさのリフレッシュにちょうどいいのでした。
私が帰る頃にもこちらのバクテー屋さんを含んだ小さなホーカーセンター(フードコート)は変わらず賑わっていました。
夜のペナンをぶらぶらする
バクテーを食べてからホテルに戻って、ホテルのコンセントにスマートフォンの充電器が刺さらないことに気が付きました。マレーシアは旧イギリス領ということもあり、イギリスや旧イギリス領である香港などで使われているBFタイプと呼ばれる規格のコンセントが主に使われています。そのため、北米や日本で使われているAタイプのプラグは直接刺さりません。いつもなら私も変換プラグを持ち歩いているのですが、今回はAタイプが使われているタイにしか行くつもりがなかったこともあり、変換プラグを持ってきていませんでした。そんなわけで、散歩がてら変換プラグを売っていそうなところを探して歩きました。
歩いていると「深夜食堂」というお店がありました。同名の漫画やドラマが日本国外でもブレイクしているという話は聞いたことがあるので、おそらくそれらをリスペクト(?)したお店なんでしょうね…
さらに歩いていると「ホンギャプ 鴻業行有限公司」という看板を見つけました。カタカナの字体のヘタウマ感がいいですね。この記事を書くにあたりGoogle Mapで調べてみたところ、どうやらお土産物屋さんのようですね。
いくらか歩きまわってコンビニで無事に変換プラグをゲットしたので、ついでにタイガービールも買って帰りました。マレーシアはお国柄もあってレストランにお酒が置いてなかったりするのですよね…
ナシカンダーへ
翌朝は朝ごはん探しからスタートです。昨日のバクテーに引き続き、会社の方のおすすめに従ってレストランに行ったのですが、コロナ禍の影響なのか朝の飲茶の営業をやめてしまったとのことで、再度ホテルでもらったガイドマップを参考にジョージタウン中心部を歩いてご飯を探すことにしました。
というわけで向かったのがLine Clear Nasi Kandarです。Nasi Kandar(ナシカンダー)というのはご飯とカレーなどを一皿にドカッと盛ってくれる定食屋さんのことです。朝からガツンとした一皿になってしまいましたが、チキンもオクラもかなり美味しかったです。特にオクラのカレーというのは個人的には新発見でした。
ジョージタウンを歩く
ナシカンダーでカレーを食べた後はジョージタウンの世界遺産の街並みを見て歩きました。まずはナシカンダーのあるJalan Penang、つまりペナン通りからスタートです。洋風な雰囲気とそこはかとない南国感のミックスがいいですね。
歩いて行くと天后宮が見えてきました。天后宮というのは中国の航海の女神である媽祖を祭る道教寺院です。ペナン含め、マレーシアは昔に中国沿岸部から海を渡ってやってきた中華系の人々が多いため、天后宮のような中国文化を感じる建物も多く見られます。
マラッカでも名物となっていますが、ペナンにも三輪の自転車タクシー、トライショーが残っています。シンガポールやマレーシアで見られる1階が店舗、2階が住居というショップハウスが連なる街並みとトライショーの組み合わせは味がありますね。
ジョージタウンの街を歩いていると、ストリートアートも多数目にします。こちらは金細工職人の職人組合の建物の横の壁です。窓を利用したアートになっています。
その他にもビビッドな色遣いのものから、壁と調和するようにさりげなく描かれたアートまでいろいろな作品を見つけることができました。
こちらは壁に描かれた絵のように見えますが、すべて金属のフレームを曲げて作られています。このタイプの作品は街のあちこちにあり、街ぐるみのプロジェクトのようでした。
そしてこちらはペナンのストリートアートの中でも最も有名であろう自転車に乗る子供のアートです。自転車は本物でそこに乗る子供が壁に描かれています。さすがにここは有名なだけあって、写真撮影のための人だかりができていました。
こちらはペナン・プラナカン・マンションという建物です。プラナカンというのは中国からマレー半島に移民してきた人々の子孫を指す言葉で、この建物はそのようなプラナカンの方が所有していたお屋敷になります。きれいなエメラルドグリーンが映える建物です。
この中心にドームのある建物はカピタン・クリン・モスクです。中国系の文化もあればイスラム教文化もあるのがマレーシアの面白いところです。インド系のイスラム商人が創設したモスクということもあり、インド風の様式がミックスされています。
こちらはヤップ・コンシーという建物です。華僑の葉(ヤップ)氏の一族を祀る寺院になります。ペナンにはこのような一族専用の寺院がいくつかあります。
こちらは消防署です。鮮やかな赤と白が生える建物です。消防カラーといえばその通りなのですが、周りの建物もビビッドな建物が多いので、街になじんでいました。
ペナンにはリトルインディアもあります。もちろんサリーを売るお店やカレーなどインド料理のレストランもあるのですが、素焼きの器を売るお店があったのがまた面白かったです。インドでは素焼きのカップでチャイを飲み、飲み終わったらそれを地面に叩きつけて割ると聞いたことがあるのですが、ペナンにもそのような文化があるのでしょうか?
街中を歩いているとネコちゃんにも遭遇しました。見事な茶トラの3匹です。兄弟でしょうか?3匹とも堂々と構えていました。
こちらはワンちゃんです。何枚か写真を撮っていたらかっこよく撮ってくれよな!と言わんばかりにカメラ目線をくれました。
電子部品店を覗く
街歩きの最後に、ジョージタウンの電子部品店を訪問しました。この写真の「東信零件公司」です。
中はずらっと商品が並んでいます。Arduinoなどの周辺機器に使うようなブレイクアウトボードは手に取れる形で陳列されていて、カウンターの奥には細かい部品が入った引き出し棚が置いてあるというスタイルです。マレーシアの電子部品店はこういうスタイルのところが多い気がします。
フェリーターミナルへ
電子部品店を調査したところで、そろそろフェリーに乗ってペナン島対岸のバターワースへと向かうことにしました。ペナン島とバターワースの間には橋が2本通っているので、タクシーでバターワースに向かうこともできます。しかし、ジョージタウンのエリアからは橋が少し遠く、バターワースのマレーシア鉄道の駅までかなり遠回りになってしまいます。また、香港訪問時のスターフェリーや福岡から韓国に向かった時のクイーンビートルのようにフェリーに乗るというのも面白いと考え、フェリーで行くことにしたのでした。
最初にタクシーで降りたところからフェリーターミナルが移転していて、炎天下の中ヘロヘロになりながら徒歩で移動するといったトラブルもありましたが、無事にフェリーターミナルに到着することができました。
チケットを買って待合ロビーに入るとちょうど前のフェリーの乗船が終わったところだったのでちょっと待たされましたが、スマホを充電しながら20分ほど待っていると乗船が始まりました。ご覧の通り結構混雑しています。
待合ロビーから船までの通路から見える風景はザ・南国の海という感じでした。暑かったですが、この日は晴れていてとても海の青が映える眺めでした。
そしていよいよ乗船です。人が乗る前にまずバイクがこの道を通って乗船していきました。バイクもかなりの数乗っていたので、このフェリーは地元の人の交通手段としてもかなり活用されているようです。
一通り乗客が乗り終わると出航です。15分ほどの船旅ですが、暑い中吹く海風が涼しくなかなか風情のある船旅でした。
バターワースからイベント参加
実はこの日はオンラインイベント「分解のススメ#17」に登壇する予定があり、ちょうど船に乗ったあたりでイベントが始まっていたのでした。バターワース側に到着した後、フェリーターミナルのすぐそばにあるマレー鉄道のバターワース駅併設の商業施設のベンチに陣取り、自分の発表をしたのでした。こんなところからオンラインイベントに出たのはこれが(今のところ)最初で最後です。
パダンブサールへ
分解のススメの発表が終わったところで、バターワース駅の券売機でマレーシア・タイ国境の駅、パダンブサール行きの切符を買いました。窓口などに行かず、端末でサッと切符が買えるのは便利ですね。
ちなみにバターワース駅はこんな感じの駅です。日本の鉄道駅からするとだいぶこぢんまりとしています。改札を通ってしまうと売店がなく、駅ビルからこの改札までの間にある売店で飲み物などを調達しないといけないのが要注意ポイントです。
バターワース駅の時刻表はこんな感じです。”PDG.BESAR”と書かれているのがパダンブサール行き列車です。日本の通勤電車とは比較にならないですが、こうしてみると結構本数があることが分かります。
次の電車まで1時間あったので、駅ビルに一度戻ってお昼ご飯を食べることにしました。2食連続になってしまいましたがまたしてもナシカンダーでご飯です。こちらもオクラカレーが入っているのですが、特筆すべきは右側のイカカレーです。ホタルイカよりは少し大きいくらいのイカの胴体が丸ごとカレーに入っています。さすが海沿いの街という感じの海鮮カレーでした。
ナシカンダーでご飯を食べたりして時間をつぶした後、改札を通ってプラットフォームへと降りて行きました。今回乗るのはこちらのKTMコミューターというバターワース発の近距離路線です。クアラルンプールのKLセントラル駅からバターワースを経由してパダンブサールまで直通する特急列車もあるのですが、今回はたまたまこれが一番早く来る電車だったこともあり、こちらに乗ることにしました。
近距離路線なのでご覧の通りロングシートです。窓が割れているような気がしますが、気にしてはいけません…以前もバトゥ洞窟からの帰りに、窓が割れているのを見たことがあるので、よくあることなのかもしれません。
クアラルンプールからバターワースまでの間には観光地のイポーなどがあるため、それなりに混むようですが、ここから先のパダンブサールまでの間はそこまで混んでおらず、2時間弱の車中では座って過ごすことができました。
以上、2023年8月の東南アジア旅行記、Part2・ペナン編でした。ペナンは街並みが世界文化遺産に指定されていることもあり、街歩きをしているだけでもかなり見応えのある街でした。次回Part3はパダンブサールからバンコクに戻る完結編です。お楽しみに!