2019年9月のインド・マレーシアの旅、デリー&グルガオン編のDay3&4です。4日目はインドを出発する日だったので、3日目とまとめて1つの記事としたいと思います。今回の旅行記の各記事は出発編のページからご覧ください。

Vivo駅へ行く

観察会3日目は早く起きたので、集合の前にホテルから1駅先のメトロの駅であるSector 53-54駅へ行きました。この駅はVivoがネーミングライツを購入しているため、駅舎の色がVivoのテーマカラーのブルーに塗られていて、Vivoの名前が前面に出るような駅になっていました。ちなみにこの駅のすぐ横にVivoのインド支社が入居するビルがありました。

Vivo駅のすぐそばで走っていた乗り合いオートリキシャを撮った写真ですが、いったい何人乗っているのでしょうか…ベトナムで見かける家族4人が乗っているスーパーカブ1を思い起こしました。

IIT Delhiのインキュベーション施設を見学する

Vivo駅へ行った後は観察会メンバーで集合し、インキュベーション施設を見学するべく、IIT(インド工科大学) Delhiへと向かいました。このインキュベーション施設の見学は田中さんのアテンドによるものでした。ありがとうございました!また、学位記授与式2があったために遅れての参加となった湯村さんともここで合流しました。

到着した後はまだインキュベーション施設のアポイントメントまで時間があったので、構内をウロウロしていました。すると「知るカフェ」のデリー店を見つけました。知るカフェは求人のために大学生との接点を増やしたい企業が店頭広告やコップ等での広告のスポンサーとなることで、学生が無料または低価格でサービスを受けられるカフェです。IIT Delhiをはじめとする各地のインド工科大学にはインドの頭脳の最高峰が集まるということもあり、日本企業が熱い視線を送っているのだということが垣間見えたのでした。

その後、さらに近くの売店でチョコレートアイスを買って食べてしまいました。きちんとコーンに盛ってもらえましたし、結構おいしかったです。

今回は4階と2階を見学させていただきました。3階にはバイオ系学部向けの計算機センターが入居しているようでした。

4階の入り口にはこんな感じの理系ダジャレとでもいいましょうか、いかにもな雰囲気のポスターが張ってあったりしました。

4階にはバイオ系の実験ができるエリアを案内してもらいました。写真のスプレーはこのインキュベーション施設から生まれたスタートアップであるClenstaが発売する水のいらないボディシャンプーです。この他、顕微鏡の一種であるホログラフィック顕微鏡のデモも見せていただきました。

その後は2階の部屋に入居している4つのスタートアップを見学させてもらいました。最初に見学したのは電気自動車などに使われるリチウムイオンバッテリーの保護回路基板を自前で開発し、安全なバッテリーパックを提供するというスタートアップでした。

次に見学したのはUNESCOなどが測量した遺跡の3Dデータを作るスタートアップです。実物は破損している遺跡を3Dデータ上では写真などを参考にして修復して、デジタル教材や博物館の資料として納入するような業務をしているとのことでした。我々の見学中も現場の写真と照らし合わせながら3Dモデリングソフトでディテールを直している風景が見られました。ちなみに上の写真の一番左は「デジタル・ガンジー」とのことです。なんともインドならではという雰囲気のあるスタートアップでした。

こちらは新しいタイプの松葉杖を作るスタートアップです。設置部分がバネのようになっていて、滑りにくくなっているとのことでした。

最後に訪問したのは捨てられる藁を使って食器を作るスタートアップです。このタイプの深皿の他にも、何種類かのお皿の試作品を見せてもらいました。

一通り見学を終えた後はインキュベーション施設のすぐ裏にある学内食堂で一旦休憩しました。マンゴースムージーを頼んだらご覧の通りいろいろとトッピングをされました。この色とりどりのグミを久々に食べた気がします。

全体としてカッティング・エッジという感じの最先端を行くハイテクベンチャーという雰囲気はあまりありませんでしたが、インド国内の課題をきちんと解決できれば13億人の市場があるわけですから、国内の課題をきちんと解決する策を提供するという方向性のスタートアップも成立するのだな、と感心しました。

ネパールカレーを味わう

IIT Delhiを出た後はネパールカレーのお店に行きました。なかなか凝った内装で、店内に仏教国ネパールらしくマニ車が飾られていました。

そしてこちらはネパールカレーのお店ということで、インドカレーにはないポークカレーと小籠包のようなモモを食べました。ポークカレーといいモモといい、インドカレーにはアウェー感(?)を感じる東アジア文化圏の我々としてはなかなかホーム感を感じる味わいでした。

ちなみにここでご飯を食べている時に11月のMaker Faire Shenzhenの渡航予定を高須さんに話したところ、翌日の工場見学もせっかくだから行こうよ!と説得されて航空券を取り直したのでした。3

サイエンスセンターに行く

ネパールカレーを食べた後は電気街・ネループレイスを再び調査した後、こちらのサイエンスセンターに行きました。

インドの先史時代や恐竜の展示などから、ご覧の通り宇宙開発など、幅広いテーマが扱われている科学博物館でした。

ところどころ、展示のデザインや電子的なギミックのある展示などに古さを感じたりもするのですが、それはそれで味があるなあと思ったのでした。

パンジャーブカレー再び

サイエンスセンター見学の後は再びグルガオンに戻り、田中さんおすすめのレストランで田中さんの同僚、お知り合いの方と一緒に晩ごはんを食べました。グルガオンの中には上の写真のような整備されたレストラン街もあったりするのでした。

一瀬さんのBlogによるとこちらのお店もパンジャーブ料理のレストランということです。振り返ってみるとご飯を食べながらビールを飲んだのはこのレストランだけでした。キングフィッシャーの瓶に”FOR SALE IN HARYANA ONLY”とあったのは各州で規制や税制がまちまち(モディ首相が州首相を務めていたグジャラート州は禁酒州だったりします!)なためなのだろうか、とちょっと思ったのでした。

ちなみにここからホテルに戻る際、Uberを捕まえようと少し歩いていたらGoogleの支社を見つけました。グルガオンでもこのあたりは繁華街であると同時にIT企業が多数立地するエリアのようでした。

ホテルに戻った後、バルコニーから(確か)デリー方面を撮ったのがこちらの写真です。奥に映るグルガオン中心部の高層ビルと繁華街と手前の道路以外は未整備なエリアのコントラストが、選ばれたものだけが住む先進都市と周囲の荒廃した住宅街…というような、SF映画のディストピアのような雰囲気でした。実際は繁華街にオートリキシャでスイスイ行けるので、単にまだまだ開発中なだけでディストピアというわけではないのですけどね。

超巨大モール・アンビエンスモール

観察会4日目、いよいよ最終日ですが、この日はチェックアウトしておみやげ探しと見学を兼ねてグルガオンの超巨大モールであるアンビエンスモールへと向かいました。どのくらい巨大かというと、端から端までで1km弱あり、売り場面積では船橋のららぽーとより上4というレベルです。アンビエンスモールへはオートリキシャで向かいましたが、道中で上の写真にある通りデング熱へ対抗していこうという呼びかけの広告を見かけました。蚊が媒介する病気として東南アジアではよく見かけるデング熱ですが、同じく暑いインドでも問題になっているようです。また、広告の手前にはEV化されたオートリキシャも写っています。

しばらくオートリキシャに揺られるとアンビエンスモールに到着です。ご覧の通り、ピカピカの高級ショッピングモールです。入場の際にセキュリティチェックもありますし、インドとは思えないおしゃれなショッピングモールでした。

吹き抜けにはおしゃれなディスプレイがありますし、店舗もXiaomiショップもあればベネトンもあり、スターバックスもあるといった具合に、先進国のモールにも引けを取らないラインナップでした。よく見るとスタバは看板の右下に”A TATA Alliance”とあり、インドの財閥であるタタ・グループと合弁で事業を展開しているようでした。

一方でエレベーターのボタンにざっくりとした修理が施されていたり、施設内の広場にはか・な・り怪しい乗り物が置いてあったりと、いろいろと追いついていないな…と思うところもあるのでした。一通り見学した後はモール内のスーパーに行き、お土産を買ったのでした。

一通り見学したところでお昼になったので、モールのフードコートでこの旅最後のドーサを食べました。ドーサはまた食べたいのですが、なかなか日本では見かけないですね…

ボリウッドミュージカル劇場!キングタム・オブ・ドリームス

さて、ニコ技グルガオン観察会の最後を飾るのはグルガオンにある常設のボリウッドミュージカル施設である「キングタム・オブ・ドリームス」であります。ここは一般のインドツアーでも有名なスポットで、ボリウッドミュージカルを専用劇場で観劇できるテーマパークであります。建物の雰囲気からしてなかなか気合が入っていました。ここでの観劇の途中で抜け出さないと帰りのフライトに間に合わないということが分かっていたので、アンビエンスモールから一旦ホテルに戻り、荷物を回収してから向かいました。キングタム・オブ・ドリームスの荷物預かり所はスーツケースも預かってくれましたので、空港から直でも安心して行くことができるかと思います。

劇場が開くまでの間は施設内のフードコートに行っていました。天井が青空でまるでヴィーナスフォートです。インド内の各地域の料理が提供されていましたが、すでにお昼ごはんは食べてしまっていたのでアイスクリームだけにしました。

劇場のロビーと内部はこんな感じでこちらもかなり豪華な作りです。座席は場所によってお値段が違いますが、ゆとりのある座席配置でした。肝心のミュージカル”Zangoora”はある国の生まれたばかりの王子様が両親を失い、ジプシーの夫婦に託されたところから始まり、大きく育った(元)王子であるZangooraが将軍と対峙していくというようなストーリーです。全編ヒンドゥー語での上演ですが、日本語や英語のガイドの貸し出しもあります。今回は残念ながら前半が終わったところでフライトのため空港へ移動することになりましたが、やはりボリウッドミュージカル、ダンスも豊富で見ごたえがありました。

日本へ戻る

Zangooraの前半が終わったところで同じ便で帰国する一瀬さん、いのうちさんと一緒に劇場を抜け、Uberで空港へと向かいました。この日はMaker Faire TaipeiのTシャツを着ていたため、出国のセキュリティチェックの際に「お前東京行きなのになんで台北なんだ!」とスタッフのおじさんにツッコミを入れられました。至極まっとうなツッコミであります。

そして例によってラウンジ飯です。最後までカレーです。そしてケーキが銀色でした。なんというか期待を裏切らずインドっぽい(?)のでした。ラウンジで提供されていたBIRAというビールは田中さんによるとデリーの地場のビールだそうです。

その他、なぜかフォー(ブン?)もあり、食べたのでした。きちんとパクチー入りです。

また、飲み物にはバターミルクもありました。ターリーとセットで何回か出てきたりもしたのですが、最後の最後まで慣れなかったです…

その後出発の時間が近づいたところで搭乗ゲートの前まで行ったところ、こちらの像がお見送りをしてくれました。最後の最後まで裏切らないインドなのでした。

帰りは予約通りエコノミークラスでしたが、ありがたいことに非常口前の座席で足元は広々でした。乗ってしばらくすると機内食が出たのですが、さすがインド、おかずがチキンティッカでした。なかなかおいしかったです。それとセットのバターがちょっとかわいらしいデザインでした。インドのペコちゃんといったところでしょうか?

ぐっすりと寝て起きると今度は朝食がサーブされてきました。朝食は日本風の小さいお弁当でした。そして飛行機は朝7時過ぎに東京・成田空港へと戻ってきたのでした。到着後はいのうちさんと一瀬さんに挨拶をして別れ、次の目的地であるクアラルンプールへ向けて、到着ロビーのある1階から出発ロビーのある3階へと移動したのでした。

以上、2019年9月のインド・マレーシアの旅、デリー&グルガオン編Day3&4でした。今回の観察会の間は主催の高須さん、IIT Delhiの見学アテンドを始め、色々と現地在住者として奔走してくださった田中さん、JETROおよび電子情報技術省のアテンドをしてくださった伊藤先生5をはじめ、他の参加者の方々にも大変お世話になりました。それぞれバックグラウンドの違う人が集まって色々考える楽しさを味わえた観察会でした。

次回は2019年インド・マレーシアの旅、いよいよ最後の目的地、マレーシア・クアラルンプール編です。お楽しみに!

 

  1. 実際はカブではなく、Dreamという125ccクラスのバイクだったりするんですけどね。
  2. 博士号取得おめでとうございます!
  3. キャンセル可のチケットで取っていたのでできた芸当です…
  4. 約16万7000平方メートル vs. 約10万7000平方メートル
  5. ちなみに伊藤先生は最近、この観察会の内容も含む新興国に関するを中公新書から出版されました!
公開日:2020/12/30