2018年GW珠江デルタの旅、広州編の次は深圳編です。深圳編と言いながら、マカオと香港にも行っています。

北方大酒店に泊まる

深圳北駅から地下鉄を乗り継ぎ、華強路駅そばまでやってきました。華強北に来たことのある方なら、賽格電子市場の通りを挟んだ向かい側、このやたらと縦長のスマートフォン風ディスプレイはよく知っているのではないでしょうか。このディスプレイが付いているビルが今回泊まる北方大酒店(ノリンコホテル)です。ノリンコって一体何だ、としばらく謎だったのですが、後日中国国有かつ最大の兵器メーカー、中国北方工業公司の略称だと知りました。ノリンコホテルは中国北方工業公司のグループ企業が運営しているようです。兵器からホテルまでって幅広いですね…

これまでは深圳周辺では1泊3000円前後のホテルに泊まっていましたが、北方大酒店は交通の便がよいこともあり1泊6000円程度です。その代わりかなり部屋は広く、内装も良い雰囲気です。ダブルサイズベッドの部屋を予約していたのですが、空きがないとのことで一人旅ですがツインルームに案内されてしまいました。まあ別に十分ベッドは広かったので特に問題はないのですが…

ご覧の通り、ホテルの外に出ると目の前がHQ-Mart(華強電子世界)とSEG(賽格電子市場)という好立地です。北方大酒店を始め、華強路駅周辺はこれらの電子部品ビルから見て、道路(深南中路)を挟んだ向かい側に比較的リーズナブルなホテルがいくつかあり、朝から開いているファストフード店やコンビニもあるのでなかなか便利です。このときはまだ深南中路を渡るためには地下道を通る必要がありましたが、2019年末には深南中路に横断歩道もできたので、より利便性が上がりました。

日帰りのつもりでマカオに行く

さて、ホテルに付いた時点で2時近くになっていて、さてどこへ行こうかと考えたのですが、面白半分で深圳からフェリーでマカオに行ってみよう!と思い立ちました。

マカオは2016年2017年と行っていますが、いずれも香港・上環のフェリーターミナルとの往復で行っていました。実はマカオのフェリーターミナルへは香港路線に比べると少ないですが、深圳・蛇口港からの路線も就航しています。カジノに行くついでに(?)せっかくなので一度深圳からマカオに行ってみようと思い、蛇口港から高速船に乗ってマカオに行きました。ちなみに蛇口港は2016年の香港から深圳への深圳への移動でも使っていますが、2017年に蛇口港の旅客ターミナルは移転しているため、初めての新しい蛇口港見学にもなりました。

基本的にお目当てはカジノだったこともありスマホとお財布、パスポートくらいの身軽な装備で行ってしまったため、マカオの写真が殆どありませんでした。(カジノは写真撮影禁止ですからね…)この写真は翌2019年に出張で行った際に撮影したグランドリスボアホテルです。マカオと言えばやっぱりここですよね。

深圳行き最終便を逃す

さて、セナド広場を冷やかしたあとグランドリスボアのカジノでダラダラとルーレットや大小をしていたところ、21時の深圳・蛇口港行き最終フェリーを逃してしまいました。時間的には21時より前にフェリーターミナルに着いたのですが、窓口の方に聞いたらもう売り切れとのことでした。2016年も香港への戻りの便に乗るのにすごく待たされたので、夜便でマカオから各地へ帰る人は多いのでしょうね。

さて、深圳行きのフェリーがなくなったと聞いて、どうやって深圳に戻るか考えねばなりません。そもそも、マカオ・香港・深圳間はなぜわざわざフェリーで移動する必要があるのでしょうか。まずはそこから説明していきましょう。

上記は珠江デルタエリアにおいて、珠江を渡るための主な交通手段を記載した地図です。(CorquantによるCC-BY 3.0ライセンスの地図を編集したものです。)

見ての通り、珠江の河口のエリアには全く橋がないのです。2018年10月には香港・マカオ・珠海市を結ぶ港珠澳大橋が開通し、ついに珠江の河口エリアを陸上交通で移動する手段ができましたが、それまでは上環フェリーターミナル-マカオアウターハーバーフェリーターミナルを中心とした、ジェット船などによる海上交通によって河口の両岸を行き来する必要があったわけです。

さて、この旅行は2018年4月~5月のものなので、港珠澳大橋はまだ開通していませんでした。したがってマカオから深圳への直通フェリーがなくなった今、選択肢は

  1. 陸路で虎門大橋まで迂回して帰る
  2. マカオの隣の珠海市に移動して深圳行きフェリーがないか探す
  3. 香港までフェリーで移動してそこから陸路で帰る

の大きく3つが考えられました。しかしご覧の通り虎門大橋はかなり遠く、それこそほぼ広州まで戻るルートになってしまいます。そして中国語がスラスラ話せるわけでもないので、1.のための各種チケットを入手して間違いなく乗って移動するのはなかなか難しそうでした。2.も残念ながら最終便は同じく21時だということが判明し、3.で移動することにしました。しかし3.の香港行きフェリーは例によって例のごとく、かなり遅い時間の便しか残っておらず、またしても待ちぼうけを食らったのでした…

長らく待たされて、22時半ごろ発の上環行きフェリーに搭乗しました。搭乗口からは上記で説明した港珠澳大橋が見えました。次にマカオに来るときはきっとバスで来ることになるのだろうな…と思っていたら、翌年出張でマカオに行くことになり本当にバスで行くことになりました。

1時間ちょっとでフェリーは香港・上環フェリーターミナルに到着しました。午前0時が目前に迫っていたので急いでMTRに乗り、フェリーの待ち時間で調べていた越境バス(香港・深圳ボーダーまで行くバス)の発着地点の近くの尖沙咀まで移動しました。尖沙咀からネイザンロードを歩いてバスの発着地点へ向かうまでに晩御飯としてビッグマックを食べました。夜のネイザンロードを歩くとあらかじめ分かっていればカメラも持ってきたのに、と思いつつ、事前にそんなことが分かってたまるか!と思いながら歩いていました。

尖沙咀駅から北へネイザンロードを歩き、柯士甸道(Austin Rd.)とネイザンロードがクロスするところで西に進むとBP International Houseが見えてきます。ここを通り過ぎた裏手にバスの発着場があります。

BP International Houseを過ぎたところにはこのような看板もあるため、BP International Houseを目印に移動すれば迷うことはないかと思います。

そして香港・深圳のボーダーの中でも24時間開いている皇崗(ファンガン)口岸行きのチケットを買い、バスに乗りました。日付はすでに変わり1時半を過ぎていましたが、バスの通常座席がそこそこ埋まっている程度の混み具合でした。バスは1時40分ごろに出発し、夜の高速道路をひたはしり30分弱で皇崗口岸に到着しました。ここで一度バスを降り、香港側のイミグレを通過し再度バスに乗ります。程なくして中国側のイミグレに着くので、再び降りて入境手続きを行います。無事に中国側のイミグレを通過したころには午前3時前になっていました。そこからは白タクの勧誘をかわしながら正規のタクシーを捕まえ、北方大酒店(中国語で発音したら一発で通じてとても嬉しかったのをよく覚えています!)まで戻りました。

大芬油画村へ行く

マカオから戻ってきてゆっくり寝た後は深圳市の北東にある大芬油画村に行きました。大芬油画村は香港から移住してきた画商がこの地で複製画の製造を始めたのがきっかけとなり、複製画職人や画家が集積してできた絵画産業の村です。今や電子・ハイテク産業ばかりが注目されがちですが、大芬油画村も香港の後背地としての深圳を物語る一つの側面といえます。

油画村には複製・オリジナル・パロディなど様々な絵画を扱う画廊がひしめいています。絵画にそこまで詳しくなくとも見て十分に楽しめるかと思います。

歩いているとこのように路上で絵を描いている場面によく出くわしました。ホテルのインテリアとして飾ってあるような絵画の多くはこの大芬で描かれているそうです。

このように路上に書画が並べられており、このゾーンは1枚いくら、と値段が書かれた札が挟まっている光景もよく見ました。まさに量産品としての絵画という感じでしたが、華強北とは全く違う光景でとても興味深く見学できました。2019年に大芬油画村はリニューアルしたようなのでまた行ってみたいところです。

羅湖周辺を歩く

その後、大芬油画村から華強北エリアに戻る道中で羅湖駅周辺に行きました。こちらの写真は中国国鉄の深圳駅です。国鉄は深圳駅、地下鉄の駅とボーダーの名前は羅湖、となっています。なお、この「深圳」の文字は鄧小平の揮毫だそうです。

羅湖周辺をぶらぶらする中で、フラっと駅前の羅湖商業城に寄りました。羅湖は香港との最大のボーダーでもあり、この羅湖商業城は深圳の主力産品が繊維製品だった時代の名残か、繊維製品の店舗が多く、どう考えてもアウトなブランド?品が並べられていたりするのが見どころであります。福田区や南山区にはないインチキくささがあるんですよね…

中は吹き抜けになっています。「布城」とあることからも繊維関連のお店が多いことがわかります。

その後2016年にも訪問した徳興茶葉世界を再訪し、お土産のお茶を少し買いました。中国茶の本格的なお茶屋さんで試飲をさせてもらうのは体験としても面白いので、深圳の電気街以外での地味なおすすめスポットだったりもします。ちなみにここでの茶葉購入時には上海で作った銀行口座と連携させたWeChat Payを使って支払いをしました。銀行口座連携前はPocketChange等で入金する必要がありあまり高いものを買うときには使えなかったのですが、銀行口座と連携させたことで比較的自由に使えるようになりました。

海底撈火鍋に行く

さて、羅湖をブラブラしていたらお昼を過ぎてしまったので、海底撈火鍋に行ってみることにしました。海底撈火鍋は火鍋のチェーン店で、日本の新宿店には行ったことがあったのですが、中国では行ったことがなかったので、ここで行ってみようと思ったのでした。検索したところ羅湖駅から華強路駅に戻る途中、一つ手前の科学館駅そばのショッピングモールに店舗があるとのことだったので、初めて科学館駅で降りてみました。上の写真は科学館駅のEnterキーをかたどったベンチです。面白い!

科学館駅を出て少し歩くとこのCITY MALLが見えてきます。海底撈火鍋はこの中にありました。

海底撈火鍋では2種類のスープを選んで火鍋を食べました。手前がトマト、左奥が麻辣スープです。

火鍋を満喫して海底撈火鍋を出ると、利用客限定でルーレットを回すことができるキャンペーンを開催しているのでぜひ参加してください!と言われ、小さいルーレットを回したのですが、どうもルーレットのストッパーの調子が悪いようで、何回か回してもルーレットの出目と出目の間の中途半端なところで止まってしまいました。更に何回か試すと3等だったか4等だったかがめでたく当たり、上の写真のような紙袋をもらいました。

なんと中身はドラゴンフルーツがごろっと1個入っているという、なかなか日本の飲食店のキャンペーンでは考えられないものでした。ドラゴンフルーツって包丁がないと食べられないのでは…と心配になりましたが、ネットで検索すると手で皮をむく方法があると分かり、ホテルに戻ってから無事食べることができました。ドラゴンフルーツがおみやげになるとはさすが南国です。

電気街を歩く

さて、ドラゴンフルーツも食べて一休みしたところで、華強北に繰り出しました。LCCで深圳に行くときはいつもスーツケースなしですが、今回はフルサービスキャリアで来ているのでスーツケースがあり、重量にも余裕があるのでいつもなら買う気にならない電源装置を購入しました。Amazonで同じ機種を買うよりもそこそこ安く買うことができたと思います。

700円アクションカムを購入した国際電子城にも行きました。このときもアクションカムを購入しました。

こちらは翌日の撮影ですが、広州編でも触れたように当時はビットコインのマイニングが流行っていて、華強北にもASIC1によるビットコインの採掘を行うASICマイナーを扱う店舗がありました。

高新園の万象新天地へ行く

電気街をぶらついたあとは高新園(High-Tech Park)のショッピングモール、万象新天地へ行きました。2017年の訪問時も行ったXiaomiの旗艦店があるショッピングモールです。Xiaomiの旗艦店そばのユニクロは週刊少年ジャンプとのコラボTを大々的に展開していました。

そしてXiaomiの旗艦店では4月26日に発売されたばかりのミニドローン「米兔遥控小飞机」を購入する事ができました。正直なところ売り切れているかな…と思っていたのですが、バッチリ在庫があり、無事購入することができました。なお、このミニドローンは「シャオミのミニドローンを分解する」で分解し、搭載部品を調査しています。

白石洲で晩ごはん

万象新天地から一駅戻り、白石洲駅で降りて毎度おなじみの白石洲美食街(城?)に来ました。残念ながら白石洲美食街は再開発のため2020年6月に全店舗が立ち退いてしまったとのことです。今後代わりになる場所を探したいところです。

美食街の店舗”Bionic Brew”でビールを買い、向かい側の東北料理(だったかな)のお店で羊肉串を買って晩御飯としました。オープンエアの中で冷たいビールと羊肉串、なかなかよいです。

深南大道を訪ねる

白石洲からの帰りは少し歩いて、深圳の夜景の撮影に挑戦しました。これは最初に地下鉄に乗る前の世界之窓駅周辺の歓楽谷という遊園地の看板です。ちょっとレトロな雰囲気があっていいですよね。

その後車公廟駅で降りて再度写真を撮影して歩き始めました。このあたりはもう高層ビルがひしめいてギラギラしていますね。

こちらはだいぶ離れて福田駅そばの深圳証券交易所ビル前のモニュメントです。財産の守り神とかそういうやつなんでしょうか…

そしてこちらはホテルに戻ってきた後の写真です。サーチライトを焚いているビルがあるんですね…

歩いてホテルに戻る前にコンビニで買った飲み物ですが、この「茶π」は何と読むのが正しいのでしょうか…味は蜜桃烏龍茶と書いてあるとおりピーチティーでした。

「私達はみんな深圳人です」

散歩の道中、香蜜湖駅そばの工事現場に面白い看板が掲げられていました。

上記のように「我来自(省名・地名)」(訳すと「私は〇〇出身です」というところでしょうか)と書かれた看板がいくつも並んでいました。

順番に眺めていくと「我来自…」という看板の後に、

「我们都是深圳人(私達はみんな深圳人です)」という看板が掲げてある、という続き物の看板でした。深圳は昔は小さい漁村でしたが、鄧小平による改革開放政策に伴う経済特区指定を受け、香港の後背地として輸出品を製造する工場の役割を担いながら急成長したという経緯があり、工場などへの出稼ぎ労働者により作り上げられた都市であるといえます。そのため深圳には「来了就是深圳人(深圳に来たらあなたも深圳人)」というスローガンがあります。この看板もそれを踏まえたものだと思いますが、深圳を象徴する面白い看板だと感じました。

大寛の蘭州拉麺を食べる

2017年にも行った蘭州拉麺店で蘭州拉麺を食べました。蘭州拉麺はキッチンで手延べした麺を使うため、太さのリクエストができます。このときはせっかくなので一番太い「大寛」をオーダーしてみました。太くても食べやすい拉麺でした。

CE Chinaへ行く

滞在期間中に福田区の会展中心でCE Chinaという家電見本市が開催されていると事前に情報を仕入れていたので、事前に登録して訪問してきました。

写真のように、小さいODMメーカーやデザインハウスなどが軒を並べるエリアもあれば、ハイアールのような大手メーカーが大々的ににブースを出しているエリアもありました。

蘇寧電器が運営している蘇寧易購のブースでは無人店舗風の展示がされていました。この頃にはじわじわと無人店舗が流行り始めていましたね。

その他面白かったのはこのリップスティック形モバイルバッテリーです。よく出来てるなあとは思いつつも、モバイルバッテリーとしては中途半端なサイズだよな…と感じました。

こちらは会展中心から戻るときに遭遇した警備犬です。疲れちゃったんですかね、お勤めご苦労さまです。

DJI旗艦店に行く

会展中心からホテルに戻り、チェックアウトしてから南山区のOCT HARBOUR(歓楽海岸)にDidiで向かいました。ここはOCT(Overseas Chinese Town:華僑城)の海寄りのエリアにショッピングモールや映画館などを総合的に開発した公園になっています。華強北から見ると香港へ向かうための深圳湾口岸までの間に位置するため、試しに行ってみることにしました。

スーツケースを引きつつやってきた2のはここでのお目当て、DJI旗艦店です。建物自体がかなりサイバーな感じになっていて、Mavicなどの主力機種の実演ブースもありましたが、どちらかというと買いに来る場所というよりはショールームに近い印象でした。

DJI旗艦店だけ見てそのままDidiを再度捕まえて深圳湾口岸に向かっても良かったのですが、せっかくだし反対側の出口まで歩いて歓楽海岸を観光してみようと歩いていたところ、「原宿」という名の日本料理レストランを見つけました。

地獄のラーメンも超カツも気になりましたがここはスルー…

その後見かけたマンゴー小屋(ド直球のネーミングですよね!)でマンゴースムージを買い、反対側の出口を目指したのでした。

深圳湾口岸から香港へ

歓楽海岸からは再びDidiを拾い深圳湾口岸へ向かいました。今回は香港島側のホテルに滞在する予定だったので、香港島側まで移動できる環島のバスに乗ることにしました。特に予約はせず、現地でチケットを購入しました。

イミグレを通ってからバスに乗り、あとは先日も使うことになってしまった上環のフェリーターミナルまで数十分の旅となったのでした。

以上、2018年GW珠江デルタの旅、深圳(+マカオ&香港)編でした。みなさんもフェリーの最終便の時刻には気をつけましょう、と言いたいところですが、今は港珠澳大橋ができて24時間営業で連絡バスが走っているはず3なのであまり困る人はいないかもしれません。深圳には港珠澳大橋がつながっていないので、港珠澳大橋があっても結局香港経由になる面倒さはあるかもしれませんね。次は最終回・香港編になります!お楽しみに!

 

 

  1. ASIC:Application Specific IC(特定用途向けIC)
  2. 戻らずに深圳湾口岸に行くつもりだったのでwith スーツケースです
  3. 記事執筆時点ではCOVID-19で営業停止中だとは思いますが…
公開日:2020/07/25