2018年2月EUの旅、いよいよ最終回のパリ最終日編です。パリ滞在の最終日、2月26日は午前中にルーブル美術館に行き、午後はシテ島周辺を観光してシャルル・ド・ゴール空港へと向かいました。

ルーブル美術館へ向かう

この日の夜にはシャルル・ド・ゴール空港からドイツ・フランクフルトへと向かわなければならなかったので、朝のうちにホテルをチェックアウトし、最初にパリ北駅のコインロッカーに荷物を預けました。シャルル・ド・ゴール空港へはパリ北駅からRER1 B線で向かうことができるので、ここに預けておけばスーツケースを引っ張り回さずに済むだろう、という算段です。

しかしパリ北駅も重厚な作りです。ターミナル駅が方面別に複数存在するからとか、長距離路線専用の駅だから、というような理由はあると思うのですが、パリは重厚な作りの駅舎が多くて見ごたえがあります。

そしてパリ北駅の写真にも写り込んでいますが、この当時はパリでもシェア自転車のMobikeがサービスを提供していました。2017年に上海でMobikeに乗っていたこともあり、スマホにアプリが入っていたため、ルーブル美術館を出た後に今回も少し乗ってみたりしました。街並みを眺めながら移動できるのはメトロにはない利点ですね。2020年現在もサービスは提供されているのでしょうか…?

駅からすでに美術館

さて、パリ北駅からメトロでルーブル美術館へと向かい、ルーブル=リヴォリ駅で下車しました。実は現在のルーブル美術館入り口への最寄り駅はルーブル=リヴォリ駅ではなく、隣のパレ・ロワイヤル=ミュゼ・デュ・ルーブル駅ですが、よく分からずルーブル=リヴォリ駅で降りてしまいました。

ルーブル美術館は1980年代に当時の大統領、フランソワ・ミッテランが主導した「グラン・プロジェ」と呼ばれるパリの再開発プロジェクトの一環として改築が行われました。そのため、それ以前は美術館入り口の最寄りは長らくルーブル=リヴォリ駅だったのですが、入り口が移動し、パレ・ロワイヤル=ミュゼ・デュ・ルーブル駅が美術館の最寄り駅となったそうです。

そんな経緯から、駅開業当時はルーブル美術館の最寄りであったこの駅には美術館同様に彫刻が並んでいます。少し暗めでシックな雰囲気もあって、駅がもうすでに美術館の中であるかのようでした。

さて、パリの2月の朝、氷点下3度という大変な寒さの中を少し歩くと有名なガラスのピラミッドのあるルーブル美術館・中央入口に到着です。このガラスのピラミッドも先程書いたグラン・プロジェでのルーブル美術館改築の際に造られたものだそうです。

また、この広場を歩いていたところ、署名を求める子供に呼び止められました。そもそも街頭での署名活動には基本関わらないのですが、ましてや海外、無視して歩いていたら手を掴まれ、とっさに大声で怒鳴って手を振りほどいてその場を去りました。背後からお手本のような罵声を浴びせられましたが、多分あれは署名詐欺1とかそういう類だったのでしょうね…みなさんも気をつけましょう!

オルセー美術館のときにも書きましたが、ルーブル美術館は建物も見どころの一つといえます。オルセー美術館は旧駅舎ですが、ルーブル美術館は王政時代の宮殿が元になっています。

ルーブル美術館の収蔵品を見学する

ガラスのピラミッドを通って地下部分へ行き、チケットを購入して入場すると、シュリー翼、リシュリュー翼、ドゥノン翼の3つの建物への階段が見えてきます。ミーハー感丸出しではありますが、なんといってもまずはモナ・リザが見たい!ということで物の本(Webサイトですが)とモナ・リザはこちら、という看板1を頼りに見学をしていきました。

モナ・リザがあるドゥノン翼2階2へ行くまでにも様々な有名な作品が展示されていました。上の写真はもはや説明不要、ミロのヴィーナスです。

こちらはサモトラケのニケです。開けた階段のある空間の最上部に展示されていました。紀元前200年ごろの作ということらしいですが、その時代にすでに彫刻で服のしわの表現がされているとは驚きです。ちなみに、このサモトラケのニケのモチーフとされている勝利の女神・ニケはスポーツ用品メーカー・ナイキ(Nike)の名前の由来となっています。またこの像の翼を広げた姿がナイキのロゴのモチーフになっている、という話もあるようです。

こちらはジャック=ルイ・ダヴィッド作の「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」であります。この絵は2枚あり、最初に描かれたのがこちらのルーブル美術館に収蔵されている絵になります。もう一枚は現在はベルサイユ宮殿に収蔵されているそうです。

そしてお待ちかね、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」であります。上の「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」などに比べれば小さい絵画ですが、展示室の混み具合、絵画の前に取り付けられた防弾ガラス、そして写ってはいませんが防弾ガラスの周りを更に取り囲むように張られたガイドポール、どれをとっても格別という他ない扱いを受けていました。

その後も引き続き絵画を見学していました。この天井はドゥノン翼1階のミュージアムショップの天井です。こういう建物と一体化した天井画が残っているのは元宮殿ならではといったところでしょうか。

ルーブル美術館に限らず、今回訪れた美術館では模写をしている方3がいる一方で、写真撮影OKだったり、子供連れでラフな格好で来られている方がいたりと、じっくり腰を据えて絵に向き合うぞ!という人もいれば日本で美術館に行くのよりも気軽な感じで来ている人もいたのがとても興味深かったです。

 

そしてドゥノン翼1階ミュージアムショップの隣はフランス絵画の展示室で、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」が展示されている部屋だったのですが、なんと訪問した2月26日の翌日、2月27日までリノベーションのため閉鎖中となっていました!残念!

回廊の天井の彫刻も凝っていて、こちらは犬が彫られていました。かわいい…!

ルーブル美術館は西洋の作品だけでなく、上の写真のスフィンクスの参道のような古代エジプト美術、古代オリエント美術、イスラム美術なども展示されていて収蔵品の幅が大変広い美術館でした。広くて1日ではじっくり見て回れない、というのは知っていましたが、パリ滞在のスケジュールの都合もあり、今回は半日の見学で精一杯でした。全く見学できていないエリアもあるので、再訪したいところです。

シテ島へ向かう

ルーブル美術館を午後になってから出て、Mobikeを使ってシテ島周辺へ移動しました。シテ島にはサント・シャペル、ノートルダム大聖堂という二大観光スポットがあります。

しかしルーブル美術館を出た時点で午後になっていましたし、荷物を預けたりなんだりで朝ごはんを食べそびれていたこともあり、まずは腹ごしらえとしました。結局ここでも肉です。この時点で14時半になっていて、いろいろまだ回りたいのに時間がないなあ…と地図を見ながら考えていました。

…と言いつつ、デザートまでしっかり食べたのでした。フランスはスイーツもバリエーション豊富でいいですね…

サント・シャペル

さて、シテ島最初の見学はサント・シャペルです。サント・シャペルは中世にルイ9世が建設を命じて建てられた礼拝堂です。入るためには行列に並ぶ必要があるという、大人気のスポットです。

サント・シャペルは2層構造になっており、上の写真は下層の礼拝堂のものです。ここだけでも十分に荘厳な雰囲気でしたが、こちらは使用人などのための礼拝堂だったそうです。

そしてこちらが上層の礼拝堂の写真です。ご覧の通り、精密かつ色とりどりなステンドグラスが空間を彩っている、まるで異世界のような空間です。ケルン大聖堂を始め、この旅行中にはいくつもの教会・礼拝施設でステンドグラスを目にしましたが、サント・シャペルのステンドグラスはぶっちぎりの第一位という印象です。

礼拝堂に入った瞬間に本当に息が止まるかと思うような美しさです。実はパリに来る前はサント・シャペルを知らず、着いてからGoogle Mapで調べて行くことにしたという経緯があるのですが、これはもし行かずに帰国していたら後悔していたな…と思いました。

ノートルダム大聖堂

サント・シャペルの次はノートルダム大聖堂です。ノートルダム大聖堂は2019年4月に火災で一部が焼失してしまいました。写真はそれよりも前の姿、ということになりますね。自分が行った場所が災害に遭難したのを見るのは悲しい気分になりますね…

大聖堂の中はこのような感じでした。サント・シャペルのようにステンドグラスで明るい雰囲気というわけではなく、光は入るものの石造りのアーチが中心で明るすぎない静かな空間が造られていました。

そしてノートルダム大聖堂でも懲りずに行列に並んで最上部まで階段で上りました。鐘のサイズが大きくインパクト抜群でした。ヴィクトル・ユーゴーの「ノートルダムのせむし男」の主人公はここに幽閉されていた、という設定なわけですね…1

最上部からの眺めは大変良かったです。凱旋門に上った際にも書きましたが、高い建物が中心部にないので空が開けていていいですね。写真中央ずっと奥に見える高層ビル群はラ・デファンスと呼ばれるパリ郊外の再開発地区です。

駆け足でポンピドゥー・センターを見学

さて、フライトの時間が刻一刻と迫っていて、サクレクール寺院、モンガレ1とポンピドゥー・センターのどれかを選ばないといけない…という状況になってしまい、最もシテ島から近かったポンピドゥー・センターへ向かいました。ポンピドゥー・センターは第19代フランス大統領であるジョルジュ・ポンピドゥーが設立に尽力した近代美術館を中心とした総合文化施設です。

屋内に入ると広い空間が広がっていて、天井の青色の空調配管とトラス構造がアクセントになっていました。写真左側の肖像画はジョルジュ・ポンピドゥーですね。

近現代のアートが中心ということで、この通りアンディ・ウォーホルの作品(”Ten Lizes”)も展示されていました。その他、メディアアートのインスタレーション展示なども多いのがポンピドゥー・センターの特徴といえると思います。

そしてこちらはマルセル・デュシャンの「泉」と「自転車の車輪」のレプリカです。便器じゃん!というお約束のツッコミ1をしたくなりますが、芸術的な意味での「レディ・メイド」という概念を成立させたデュシャンの代表的な作品として意義のあるものだそうであります。

シャルル・ド・ゴール空港へ

さて、ポンピドゥー・センターを駆け足で見た後はフライトまでの残り時間が少なかったこともあり急いでパリ北駅へ戻り、RER B線でシャルル・ド・ゴール空港に向かいました。しばらく乗っていると遠くからスピーカーでBGMを鳴らしながらアコーディオンを演奏する一団が迫ってきました。列車の車内、それも空港行き路線でこれをやるのか…と驚いてしまいました。

日本で言うなら京成線とか京急線でいきなり大音量で演奏し始めるというようなところだと思うのですが、こんなことしたら100%運転見合わせになるよなあ…という雰囲気でした。そんなことを考えているうちに近くまで来て案の定チップをねだられましたが、無視したらばあっさりと通り過ぎていきました。ストリートミュージシャンならいざ知らず、逃げ場のない列車で聴きたいとも言っていない音楽を聴かせてお金を集めるとはもはや押し売りですよね…

そんなこともありつつ、列車は無事にシャルル・ド・ゴール空港に到着しました。出発案内の表示板がカーブを描いていて実におしゃれでした。

無事チェックインして制限エリアに行き、晩ごはんをどうにか食べなくては…とフードコートらしきエリアへ行ったのですが、制限エリア内でもご覧のような本格的なカウンター形式のレストランがあり、さすがは美食の都…と感心してしまいました。

きちんとしたお店にはビビってしまい1、生ハムをガッツリ挟んだサンドイッチを食べて晩御飯としました。これも大変美味しいサンドイッチでした。

しかし優先搭乗が終わったら列に並ぶかーとのんびり構えながらこのサンドイッチを食べていたところ、呼び出しを食らってしまいました。同じ番号の搭乗ゲートにAとBがあり、私が列を眺めていたのはB、私が並ばなければならなかったのはAの列だったようで、さっさと乗ってくれ!と急かされてしまいました。いやあ恥ずかしい…

そして搭乗すると並び席が良いという方のリクエストで座席変更になっていました。パリ~フランクフルトという、二時間も乗らない便だったので特に断る理由もなく、元の席と同じく窓側だったので快諾しました。窓側席だったので、機内から空港に保存してあるコンコルドを眺めたり、離陸してからは夜景を眺めたり…としていたらあっという間にフランクフルトに到着し、フランクフルト編の最後の通り東横インへと向かったのでした。

以上、2018年2月EUの旅、パリ最終日編でした。これで2018年2月EUの旅Blogは完結となります。最後までご覧いただいた方ありがとうございました!

  1. イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網:パリ都心から郊外までを接続している中距離急行路線。ディズニーランド・パリやシャルル・ド・ゴール空港、オルリー空港などとパリ中心部を接続しています。
  2. フランスの階数表記は地上が0階なので、日本式表記だと3階になります。
  3. なお、ルーブル美術館での模写は1年に250人までと限定されているようです!
公開日:2020/07/24