2023年8月の東南アジア旅行記、ペナン編のPart2に続きパダンブサールからバンコクに戻る完結編・Part3になります。
パダンブサールに到着
Part2の最後で乗ったKTMコミューターでマレー鉄道北端の駅・パダンブサールにやってきました。この写真ではガラガラなように見えますが、列車が出るちょっと前はそこそこの混雑を見せていました。
パダンブサール駅はまだマレーシア領内ですが、マレー鉄道上の取り扱いではこちらが国境の駅となるためマレー鉄道とタイ国鉄の両方のチケットカウンターがあります。国旗で分かりやすくカウンターが分けられています。
出発ホームもマレー鉄道とタイ国鉄で分けられています。タイ行きのプラットホームに下りる通路の途中にマレーシアの出国審査とタイの入国審査を受けるエリアがあります。
ちなみにチケットカウンターの横の窓にはシャッターが下りていたのですが、寄りかからないようにという注意書きが貼られていました。思いがけず怒りマークを目撃して面白かったので写真を撮ったのでした。
私の乗る寝台列車までは多少時間があったので、駅の周辺を散歩してみることにしました。コンコースから駅の外に出る階段ではネコちゃんがすやすや寝ていました。8月のタイですから、ネコちゃんも比較的涼しい日陰でゆっくり眠りたいんでしょうね。
とはいえ、出入国審査の所要時間も読めないですし、不用意にタクシーに乗って出かけて列車を逃してしまうのも怖いので、駅の周辺をぐるっとするだけにしました。といっても、マレーシアの辺境ということもありそんなにいろいろあるわけではなく、目立つものはヒンドゥー教寺院があるだけでした。GWに行ったラオス・タイ国境そばのノーンカーイ駅の周辺と違って、食堂などもなさそうでした。Google Mapで見てみると、線路を挟んだ反対側には自動車や徒歩などのための国境検問所があるようですが、駅から直接そちら側に出る出口はなかったように思います。
プラットホームへ
駅の周辺を見たりしてしばらく時間をつぶしていると、タイ行きの列車に乗る人向けの出入国審査が開始されたので出入国審査を受け、プラットホームへと進みました。出入国審査を受けた後ということもあってか、特に売店などもないプラットホームになっています。写真の右側の建屋の中に出入国審査ブースがあります。
プラットホームに降りてしばらくすると、2番線にタイ領内のハートヤイ駅へのシャトル列車がやってきました。この写真の奥側がマレー鉄道のホーム、手前がタイ国鉄のホームですが、屋根を見ると駅の整備度合いの差が歴然ですね…
寝台列車に乗車
ハートヤイ行きのシャトル列車を見送ってからしばらく待っていても列車が来ないな…と思っていたのですが、発車時刻3分前になり、ようやく私の乗るバンコク行きの寝台列車がやってきました。ノーンカーイからバンコクまで乗った寝台列車は新型車両でしたが、今回は旧型車両でした。
行先表示板には”PA DANG BSEAR – KRUNG TIEP APIWAT CENTRAL TERMINAL”とあります。以前にも書きましたが、バンコク側の終着駅は以前はフアランポーン駅だったのですが、2023年に入ってから新しいターミナル駅、クルンテープ・アピワット中央駅に終着駅が変更になったのでした。
車掌さんの検札を受けて、いよいよ車内へと乗り込みます。さすがに時代を感じる車両ではありますが、きれいに整備されている印象です。
定刻を7分過ぎたところで、ようやく列車はバンコクに向けて出発しました。列車から外を眺めていると、結構な頻度で牛が見えました。耕作のために飼っているのでしょうか?
ハートヤイで晩ごはんを買う
列車に乗って1時間弱でハートヤイ駅に着きました。私が乗っていた列車より前に出たシャトル列車の終着駅でもあるここは、バンコクからのタイ国鉄南本線が私の乗ってきたマレー半島西岸側・パダンブサール方面へ行く支線と東岸側のスンガイコーロックへの本線へと分岐する駅でもあります。そのため、1枚目の写真の看板には”HATYAI JUNCTION”と記載があります。
ちなみに、ここから先のタイ国鉄南本線が通るパッタニー、ヤラー、ナラティワートの3県はタイ深南部3県と呼ばれ、イスラム教を国教としたパタニ王国が栄えていたエリアになります。そのような背景から、今でも仏教国のタイにあってイスラム教徒のマレー系住民が多数を占めるエリアであり、たびたびタイからの独立勢力によるテロが起きるエリアでもあります。日本の外務省海外安全情報でも、深南部3県に隣のソンクラー県の一部を加えたエリアは危険レベル3・渡航中止勧告が出ています。ハートヤイ駅もソンクラー県にあり、レベル3の指定からは外れていますがレベル2の指定はされているエリアになります。この旅行中、特に危険な目には遭いませんでしたが、もし参考にして訪問される方がいましたら、ニュースなどで適宜最新の情勢を確認する、人混みには不必要に近寄らないといった警戒は怠らないようにしてください。
先ほども書いたようにハートヤイは南部の2路線の分岐駅であることもあって、パダンブサールよるも規模の大きい駅になっています。プラットホームには飲み物や食べ物などを売るお店がいくつか出ていました。ハートヤイでは南本線から来た車両の連結、進行方向の切り替えのための機関車の付け替えなどがあるため停車時間が長く、ホームに降りて買い物をする余裕があったのでした。
車掌さんに発車時刻を聞いて下りたものの、それより前に発車しそうになって慌てて列車に戻ったりもしましたが、単に進行方向切り替えのための発車で、またすぐ停車したのでした。
列車の停車中に18時を迎えたため、タイではおなじみの国歌の放送を聞いたりしながら待っていると列車が再び動き出しました。ちなみにこの日の晩御飯は写真のもち米(カオニャオ)とスパイシーな手羽元です。チリソースが付いてくるあたりがいかにもタイです。
寝台列車の上段へ
ハートヤイを出て1時間ほどすると寝台のベッドメイクの順番が回ってきました。今回は上段を予約していました。通路の左右にある斜めになっている部分を倒して上段ベッドにする仕組みです。
車掌さんが順に回ってきて鍵を開け、ベッドを倒してシーツを敷いてくれます。荷物棚を兼ねたはしごを使って上段に移動すると、こんな感じの眺めです。うっかり落ちたりしないのか?と思ってしまいそうですが、通路側のベルトもありますし、実際は意外と怖くないのでした。また、カーテンがあるので夜間は暗くすることもできますし、壁側にあるポケットに小物を入れておくこともできます。ただ、新型車両と違ってコンセントは数が少なく通路にあるコンセントを共有することになるので、モバイルバッテリーを持っていく等の対策はした方がよいと思います。
寝台列車で朝ごはん
今回の寝台列車はパダンブサールを出発した翌日のお昼にバンコクに到着予定だったので、寝て起きてもまだまだ列車の旅が続きます。朝8時半ごろに車掌さんが寝台の片付けにやってきたので、下に降り、ベッドを椅子に転換してもらいました。それから少しするとペッチャブリー駅に到着し、駅で弁当売りが乗ってきたので朝ごはんを調達しました。ガパオライスです。弁当売りが列車に乗ってくるゆるいスタイルが今でもあるのは楽しいですし、あったかくてしかも本格的なタイ料理のお弁当が食べられるのはありがたいですね。ちなみにお値段40バーツで当時170円くらいと大変お安いのでした。
ペッチャブリーからさらにしばらく走ると、列車すれ違いのためなのか本来の停車駅ではないバーンクーブア駅で臨時停車しました。しばらくすると豚の串焼き、ムーピンを売る人が回ってきたのでつい買ってしまいました。
しばらくして運転が再開されてラチャブリー駅に着いたところで、通路を挟んでお隣の席に座っていたお兄さんがどこかに行ったと思ったらこのビーフン炒めのパックを山のように持って帰ってきました。どうも細かいお金がなくてたくさん買わされたらしく、私含めお兄さんの周辺の席の皆さんで分けて食べた1のでした。ガパオ、ムーピン、ビーフン炒めとさすがに食べすぎという気もしますが、どれもおいしかったです。
列車はさらにひたすらバンコクに向けて走っていきます。ちなみにこちらはトイレからの眺めです。トイレからでもこの壮大な眺めというのがまた面白いです。
ちなみに手洗い場にはまだソーシャルディスタンスに関する注意喚起の張り紙が残っていました。手洗い場も古さを感じるステンレス製ですが、きれいに整備されていました。使う人が増えるにつれビチャビチャになってはいましたが…
バンコクに到着
臨時停車もあったので途中30分ほどの遅延がありましたが、その後の力走でかなり巻き返し、お昼過ぎに列車はバンコク・クルンテープ・アピワット中央駅に到着しました。列車を降りていく人々をホームで見ているとスカーフを頭に巻いたイスラム教徒の方と思われる方も多くいました。ノーンカーイからのタイ東北本線に乗ってバンコクまで来た時は見かけなかったので、イスラム教徒の多い南部を走る列車の特徴かもしれませんね。
バンコクで昼ご飯
クルンテープ・アピワット中央駅からホテルに戻って一休みした後にお昼ご飯を食べに行きました。今回はラーマ9世駅そばのセントラルプラザでお昼ご飯を探そうと思ったのですが、入ってみると日産プレゼンツの日本をフィーチャーしたイベントが開催されていました。「おいしい」の看板がやや気になります。
中を歩いてみると「イラチャイマセ語」というのれんがかかっていました。一体何語なんでしょうか…
不思議日本ゾーンを抜けてフードコートに行き、何を食べようかと色々見たのですが、結局定番のカオマンガイをチョイスしたのでした。
ちなみにセントラルプラザの道路を挟んだ向かいにあるITモール、フォーチュンタウンにももちろん行きました。
4月のMFRangsitの際、GWの旅行の際に比べると日曜日だったからか開いているお店が多いように感じました。
残念ながら、2020年のMaker Faire Bangkokの時に工場を見学させてもらったGravitechの電子部品店、HOME OF MAKERは夏休み中のようでした。
その他、個人的に気になったのはこちらのカメラ照明のショールームです。昔からフォーチュンタウンにはカメラアクセサリーのお店はありましたが、ここまで本格的な照明専門店はなかったように思います。
サイケデリックなワットパクナム
フォーチュンタウンを出た後に向かったのは、こちらの大仏が鎮座しているワットパクナムです。この大仏は2021年に完成したばかりの大仏で、69mの高さを誇るそうです。
ちなみに境内にはこんな看板もあります。ここでもなんともいえなヘタウマな日本語字体が登場です。
このワットパクナムは先ほどの大仏に加えてもう一つ大きな見どころがあります。それがこちらのお堂です。内部は五重になっていて、それぞれのフロアには仏像などが展示されています。
そして最上階にはこちらの礼拝の間があります。このサイケデリックな光景と中央に鎮座するエメラルドの仏塔がこのお寺のもう一つの見どころと言われています。ちなみに天井画は仏陀の生涯と宇宙を表しているそうです。
余談ですが、このサイケデリックな空間がSNS映えすることもあり日本人含め観光客で賑わっていましたが、ノースリーブでやってきて喋りながら写真を撮るような観光客もいてちょっと幻滅したのでした。静かに見学させてもらうのは当然ですが、タイの寺院は一般にノースリーブやショートパンツなど、肌の露出の多い服装は控えるのがルールです。あくまで信仰や修行の場を厚意で見学させてもらっているということを忘れずに観光したいものです。
ちなみにワットパクナムまでの道中には何匹もネコちゃんがいました。首輪をつけてもらっているネコちゃんも多く、地域の皆さんにかわいがってもらっているようでした。
ワットパクナムから次のバンモーに移動するために、タクシーを捕まえやすい大通りへと移動する道中に川を渡りました。バンコクは河川があちこちに通っていて、今も船での移動が地元の人々の足になっている様子を垣間見ることができます。
バンモーをちょっとだけ覗く
ワットパクナムからタクシーで電気街のバンモーまで移動しました。しかしワットパクナムが中心地からちょっと遠いこともあり、バンモーに着くころには17時を過ぎていて、お店は閉店済みでした。
仕方がないのでMRTの駅に向かって移動しました。この時、サムヨード駅そばのオールドサイアムショッピングプラザのそばに街並みを描いた壁画があるのに気が付きました。ペナンほどではないですが、バンコクでもこういうストリートアートをたまに見ます。
新しい屋台街・ジョッドフェアーズへ行く
バンコクにはいくつも屋台街がありますが、ラーマ9世駅そばにジョッドフェアーズという新しい屋台街ができたと聞き、バンモーからMRTで移動して行ってみることにしました。あいにく雨が降っていましたが、そこそこの賑わいでした。また、新しいだけあってそれぞれの店舗が大き目できれいな感じです。
そろそろ晩ごはんの時間ということもあり、屋台でソムタム(パパイヤのサラダ)とホイトート(牡蠣オムレツ)をオーダーして食べました。この頃は火山スペアリブという、スペアリブを火山のように盛りつけた料理が流行っていましたが、さすがに一人で食べるものじゃないなということでベタなこれらの料理をオーダーしたのでした。
もちろんビールも飲みました。今回はLEOとチャーンです。ピリ辛のソムタムを食べつつビールでリフレッシュするのがまたいいのですよね。
アラブストリートでレバノン料理を食べる
ジョッドフェアーズを出た後、久々にナナ駅のそばのアラブ人街にも行ってみました。2017年にバンコクを訪問した際に行ったレストランをもう一度探してみようという魂胆です。しばらく歩いていると無事見つけることをができたので入ってみました。ピザはちょうどいいサイズだったのですが、シークカバブはおいしかったですがさすがに多すぎでしたね…何とか食べきって、ホテルへと戻りました。
香港経由で帰国
帰りも行きと同じく香港経由での帰国だったため、日中丸ごと移動という感じでした。そんなわけで朝からまずはBTSとARLに乗ってスワンナプーム国際空港に移動しました。寝坊したり前日の食べすぎが祟ってかお腹が痛くなったりとドタバタでしたが、なんとか香港行きの飛行機に乗ることができました。
帰りの方が乗り継ぎ時間が短く、香港は香港でお土産を買っていたらラウンジに行く時間もなく、慌ただしく再び飛行機に乗り込んで成田へと戻っていったのでした。
以上、2023年8月の東南アジア旅行記、Part3でした。突然の寝台列車旅でしたが、前回のノーンカーイ~バンコクと合わせて、鉄道でのタイ南北縦断を達成することができました。ノーンカーイはたどり着くまでがやや面倒ですが、時間がかかることに目をつぶればペナン~パダンブサール~バンコクの鉄道ルートは難易度は低いと思いますので、日本では少なくなった寝台列車の気分を味わうにはいいかもしれません。なお、次回は2023年10月のベトナム旅行記の予定です。お楽しみに!