2025年4月のメキシコ・チリ旅行記、メキシコシティ編に続いてチリ・バルパライソ編です。バルパライソ編と銘打っていますが、ちょっと足を伸ばしてお隣の街、ビーニャデルマールにも行っています。

バスでバルパライソへ向かう

メキシコシティから8時間半ほど飛行機に乗ってまずはチリの首都、サンティアゴの空港に着きました。ただ今回は帰りのフライトの兼ね合いもあるのであえてサンティアゴの観光は後回しにし、サンティアゴから1時間半ほどの距離にあるバルパライソとビーニャデルマールという都市を観光する計画にしていました。そんなわけで空港からUberに乗り、直接バルパライソ行きの長距離バスが出るバスターミナルへと向かいました。

通路を通ってチケット売り場に行き、Google翻訳のスペイン語で何とかバルパライソ行きのチケットを購入しました。さらに進んでいくと、おそらく割と最近増築されたのであろうきれいなターミナルビルが現れました。なぜかクラシックカー1があったりと、なかなかおしゃれな雰囲気です。コンビニの類やファーストフード店もありました。

ターミナルビルの目の前はこんな感じでたくさんのバスが停まっています。写真にも写っているturbusというバス会社のバスでバルパライソへと向かいました。写真の通り、結構きれいな大型バスが沢山並んでいました。

チケットには乗り場の番号と時間が書いてあるので迷うことはないのですが、なにせ公用語がスペイン語のチリですからターミナル内のアナウンスもスペイン語です。間違ったバスに乗ってもだめだし、乗り遅れてもだめだし…とよく乗り場で目を凝らしてバスを待っていました。しばらく待っていると、ちょっと遅れ気味でしたが私が乗るバスがやってきました。私が乗るバスはダブルデッカーの大きいバスでした。正面に大きく行先表示があるはありがたいですね。

バスに乗り込みターミナルから出発してしばらくすると、バスは高速道路に入りバルパライソへと向かっていきました。車窓から見える自然の風景もさることながら、道路が私の想像よりはるかにきちんと整備されていたのが印象的でした。後から調べてみればチリは貧富の格差が大きいことが課題になっていたりはするものの、一人当たりGDPはメキシコより上、定義によっては先進国扱いされることもある国なのでした。こういう発見があるのはなんでも実際に行って見てみることのいいところですね。

バルパライソに到着

行程のうちほどんどはよく舗装された高速道路を走っていくというルートであったことと、朝6時台のサンティアゴ着だったこともあり車中ではぐっすりと眠ってしまいました。海外のバスで寝るのは治安面で不安がある場合もありますが、先ほどの写真の通りバスもかなりきれいですし、観光客半分、ローカルの客半分という感じだったので今回は大丈夫だろうと考えました。

さて、バルパライソのバスターミナルからは再びUberでホテルへと向かいました。まだ朝10時ごろだったのでとりあえず荷物だけ預かってもらうことにしました。ホテルの周りは上の写真のように洋風の装飾の建物が並んでいました。

駅に近いエリアだからなのか、ちょっと落書きが多かったりもしましたが、とはいえ装飾が立派な建物がちらほらとあるエリアでした。私の中の南米のイメージよりもかなりヨーロッパ調だなあと思ったのを覚えています。

丘の上の街並みを眺める

さて、ホテルに荷物を置いた後は、さっそく観光に出かけました。バルパライソは太平洋沿岸の街ですが、2枚目の写真の右上にちょっとだけ海が写っていることからもわかるように海のすぐ背後が丘になっているという地形の街です。丘の上まで行くために、今回はアセンソールと呼ばれるケーブルカーを使いました。

アセンソールはバルパライソにいくつも存在し、最も古いものは1800年代の建造と、かなりの歴史を誇るとともにバルパライソの特徴的な風景の一部となっています。市民の足としても使われるアセンソールですが、なかなか風情があって観光客にとってもなかなか面白いアトラクションでした。

さて、このバルパライソの街並みですが、実は歴史的な港湾都市の街並みということで世界遺産登録されています。確かに海からすぐのところの丘の斜面にカラフルな家が建ち並ぶ姿は壮観です。

いくつかあるアセンソールの丘の上側の乗り場の周辺は展望台も兼ねていたりして、しばらく風景を眺めながらのんびりしていました。すると写真のワンちゃんが寄ってきました。この子に限りませんが、チリのワンちゃんたちはなんだか穏やかな子が多かったように思います。みんなかわいがってもらっているんでしょうね。2

丘の上の展望台からの遠景でも街のカラフルさはなんとなく伝わったかと思いますが、コンセプシオンの丘と呼ばれるエリアは輪をかけてカラフルな街並みが広がっています。これを見るべく今回はバルパライソへと行くことにしたのでした。しかし、坂の向こう側に海が見えて、洋風かつカラフルな建物が建ち並ぶこの風景はなんだか南米というよりも南欧のイメージ3だなあと思ったのでした。この時は南半球の秋・4月の訪問だったので気候もいい感じだったのがまた良かったのだと思います。

坂の写真にもちらっと写っていますが、コンセプシオンの丘周辺の建物にはただカラフルに塗られているわけではなく、ウォールアートが描かれているものが多数あります。なんともインスタ映え、という感じであることもあり、この辺りは観光客で賑わっていました。

ウォールアートのテーマは場所により結構まちまちでした。最初の写真のように動物がモチーフのものもあれば、こちらの2枚の写真のようにマンガがモチーフのものもありました。ちなみにこちらの女の子のキャラクターは「マファルダ」という名前で、アルゼンチンの作家による同名のマンガのメインキャラクターだそうです。

レストランや日用品店などでは売っているものに関連したイラストが描かれていたり、お品書きを兼ねていたりと、アート一辺倒というわけでもなく実用性(?)も備えているウォールアートもありました。

ちょっとサイケな雰囲気ですが科学っぽいウォールアートもありました。さすがに科学テーマのウォールアートはここだけだったように思います。

さらっと電柱に飾られているレストランの宣伝の看板もカラフルでおしゃれです。街並みのカラフルさとも調和していて、ついつい写真に収めてしまいました。

お昼を食べる

コンセプシオンの丘の周辺をあちこち2時間ばかりうろうろしているとそろそろ12時、お昼の時間だということで、Googleマップで調べつつ見つけたレストランに入ってお昼ご飯を食べることにしました。”La Colombina“というビストロバーだったのですが、テラス席がまた快晴の中のんびりするにはとても良かったのでした。

朝はとにかくサンティアゴでバルパライソ行きのバスに乗るべし!という感じだったこともあり、サンティアゴ行きの飛行機で食べた機内食以来なにも食べていませんでした。そんなわけでしっかり食べるぞ!と思い注文しようとしたのですが、なんとランチは12時半からで、今はまだブランチメニューしかないよ、とのこと。お昼がゆっくりなのはスペイン語圏の文化なのでしょうか…?

気を取り直してブランチメニューのトマトとチーズを載せたバゲットを頼みました。これも結構食べ応えがあっておいしかったのでまあ結果オーライですね。

そしてこちらがこの時のもう一つのヒット、ホワイトビール…ではなく、パイナップルジュースです。酸味と甘みが絶妙でかなり気に入ってしまい、この後も見かけてはちょくちょくパイナップルジュースを飲んでいました。でも実はチリはパイナップルの産地というわけではないんですよね。南米ではコスタリカやブラジルが主要な産地のようです。

最後にコーヒーもいただいて一息ついてから、お店の横の細い路地を降りて行きました。お店を出るとき、人通りの少ないエリアではカメラを盗まれないように気を付けてね、と親切に店員さんが注意してくれました。この後ビーニャデルマールでも同じようにレストランの呼び込みの店員さんが危ないよ!と注意してくれたりしたので、それなりに治安には気を付けなければならないエリアでもあるのだなと思いつつ、チリの人々の親切さも感じたのでした。

港を歩く

お昼を食べてからもう少し丘の上をぐるぐると歩き回った後、再びアセンソールに乗って丘の下に降りてきて港のエリアへと移動しました。写真は港の手前にあるソトマヨール広場です。先ほども書きましたが、ここバルパライソは歴史的な港湾都市として世界遺産登録されているだけあって港の周りもなかなか立派な雰囲気です。銅像の奥に見える薄い青色のビルはチリの海軍司令部になります。海軍司令部と銅像の間のスペースではマーケットが開催されていました。快晴だったこともありマーケットもなかなかの賑わいでした。

ソトマヨール広場から埠頭を目指して歩いて行くと途中に電車の駅があります。後で電車に乗ってビーニャデルマールに行くつもりだったので、駅も覗きつつ埠頭まで行こうと歩いていると横断歩道を渡るワンちゃんがいたのでつい写真を撮ってしまいました。

ちなみにこのワンちゃんを撮っていたら急に向こう側から「アミーゴ!」と声を掛けられました。何事かと顔を上げてみると安全ベストを着たお兄さん3人組が俺たちも撮ってくれと言わんばかりにポーズを決めていました。絵に描いたようなラテン系お兄さん!と思いつつ写真を撮ったのですが、あいにく横断歩道の人波に遮られてイマイチな写真となっていました。お兄さんたち、すいませんでした。

日本風に言えば駅ビル、とでも言うのでしょうか、ホームの手前にある建物をちょっと覗いてみましたが、パラパラと店舗が入っていてちょっとしたショッピングモールのような雰囲気になっていました。ちなみにエスカレーターの下、1階部分をまっすぐ進んでいくと電車の乗り場にたどり着きます。

駅ビルを出てさらに海側へ進むと埠頭にたどり着きました。1818年のチリ独立から1914年のパナマ運河開通までの間、南米大陸を大回りする船の主要な寄港地として使われた頃がバルパライソの最も栄えた時期だそうですが、今でもまだまだ首都サンティアゴを含むチリへの海運の一大拠点となっているようです。写真にも写っているように、大量のコンテナを積んだ船や積み下ろしのクレーンなどもある一方で、手前に写っているように観光客向けの遊覧船やその遊覧船の客引きも多数見掛けたのでした。

埠頭をぐるっと回り終えたころにはホテルのチェックイン時間が近づいていたので、歩いてホテルへと向かいました。海側からふと丘を眺めてみるとビルとビルの間からびっしりと建てられた家々が見えたのでした。

こちらはホテルのすぐそばにあったトゥッリ時計と呼ばれるビルです。1923年に建てられたこちらのビルはバルパライソのランドマーク的存在の一つだそうです。

夜行便からバスに乗り継いで朝のうちにバルパライソへやってきたこともあり、ホテルにチェックインした後はしばらくお昼寝タイムとなったのでした。

電車でビーニャデルマールへ

昼寝から起きてそろそろ日が落ち始めるぞというタイミングで電車に乗ってビーニャデルマールへと向かうことにしました。ビーニャデルマールはバルパライソの隣町で、サンティアゴから近いビーチリゾートとして賑わっている街です。バルパライソからは電車で30分弱で着くので、再び港の近くの駅4へと向かいました。

写真のワンちゃんは駅の正面入口を入ってすぐのところで爆睡していました。結構往来があるというのにこれだけ堂々とスヤスヤ寝られるともう笑ってしまいますね。皆さん写真を撮りつつ起こさないようにそっと横を通過していたのでした。

さて、ビーニャデルマールまでの電車に乗るためには日本のSuicaのようなICカードを買う必要があります。親切な駅員さんがあれこれ説明してくれて無事にカードを買ってお金をチャージすることができました。

ICカードをタップして改札を抜け、ホームへと進むと電車がすでに停車していました。この駅は終点なので到着後、車内清掃が入るようでした。ICカード化されていたり、車内清掃があったりと、これまで訪問した国で乗った電車の中では割とモダンなシステムになっている電車だなという印象を受けました。

電車の内装はよくある欧米の近距離路線の車両という雰囲気でした。座席が一応布張りなのは一つの特徴かもしれませんね。始発駅で車内清掃直後ということももちろんあるのでしょうが、車両も新しく明るい雰囲気で、乗っている間ずっと気を張っていないといけない5という感じもありませんでした。

モアイ像を見る

外を眺めつ電車に揺られて30分弱でビーニャデルマールの駅に到着しました。日本だとあまり見かけない、電車が見えるところに上下線のホームをつなぐ階段があるタイプの駅でした。

駅から地上に出ると立派な教会がありました。この教会は1912年の建設だそうです。あちこちに残っている歴史ある立派な建物はバルパライソとビーニャデルマールの見どころの一つといえそうです。

駅からほぼまっすぐに北に向かってしばらく歩くと、博物館や図書館がある一角にたどり着きます。この写真の後ろの建物はカラスコ宮殿と呼ばれる邸宅で、2010年のチリ地震で被災したため現在修復中だそうです。ちなみに建物の前の彫刻はかのロダンが1878年に製作した「防衛」という題の作品です。

さて、わざわざここへ立ち寄ったのはカラスコ宮殿のお隣にある歴史博物館の横に鎮座するこちらのモアイ像を見るためでした。イースター島もチリですからね、納得です。…と書きつつ、モアイ像は2月に大英博物館でも見てたりするんですよね。

しかしこのモアイ像、屋外にぽつんと展示されているのでうっかりすると見逃してしまいそうな雰囲気でした。

ビーチを歩く

モアイ像を見た後はビーニャデルマールの目玉の観光スポットであるビーチへとやってきました。金曜日の夕方だからなのか、ビーチ沿いにクラフトマーケットが出ていたからなのか、ビーチ沿いの道は写真の通りローカルの人々でごった返していました。

ビーチ沿いを歩いていると、ホットドックの屋台があったので1本買ってみました。チリではホットドックが軽食としてとても人気だと聞いていたので、どんなもんかと食べてみましたが、確かになかなか食べ応えがあり、ソーセージもおいしいホットドッグでした。

ホットドッグをかじりながらビーチ沿いの道を歩き、少し開けたエリアにやってきました。もうそろそろ日没という頃でしたが、写真の通り皆さん思い思いに砂浜に座ってのんびりされていました。

ビーチのそばのレストランで晩ごはんというのも考えたのですが、結構混んでいそうだったので避けて、とりあえず近くにあったジェラート屋さんでジェラートを買って一息つきました。なかなか本格的なジェラートだったと記憶しています。

日が沈むと砂浜にいた皆さんも徐々に帰り始めました。なかなかきれいな夕焼けでしたが、また30分ほど電車に乗ってバルパライソへ戻らなければならないので、自分も駅に向かって移動を始めました。

ちなみにこの写真の中央左寄りに写っているお城のような建物はウルフ城という建物です。こちらは元々はドイツ系の貿易商の邸宅として1906年に建てられたものだそうです。

行きはモアイ像を見たかったので街の中を歩いて移動しましたが、帰りはせっかくなのでできるだけビーチ沿いを歩きました。河口のあたりにはヤシの木がずらっと植えられた一角があり、なかなかリゾート地らしい雰囲気でした。

それもそのはず、この河口の近くにはカジノホテルがあるのでした。外からスロットマシンが見えるような配置というのはちょっと珍しい気がします。

カジノホテルのそばにはこれまたワンちゃんがいました。どっしりと構えています。

さらに駅に向かって歩いて行くと”SUSHI”という看板を発見しました。日本から遠く離れた南米にもスシ・レストランがあるのはなかなかすごいことだよなあと思ったのでした。食べてはいないのできちんとここが日本人が認めるレベルの「寿司」を出しているかはわかりませんが…6

チリの海の幸を味わう

ビーニャデルマールからバルパライソへと鉄道で戻ってきた後、晩ごはんを食べるべくGoogleマップで見つけたホテルの近くのちょっとややローカル感のあるお店に入ってみました。

せっかく海沿いの街に来たのだからと海鮮を食べることにしたので、それに合わせて飲み物は白ワインをオーダーしました。割とお値打ち価格だったこともあり、ボトルでオーダーしたのですがこれが大変飲みやすく、きちんとボトルを空けて帰ったのでした。

料理はアバコア、いわゆるびんちょうまぐろのグリルと、サーモンとエビのセビーチェを頼みました。またどちらも白ワインに大変合う味わいでこのお店を選んで大正解だったなと思いながら海の幸とワインを堪能し、ホテルへと戻ったのでした。

サンティアゴへ向かう

翌朝、バルパライソから首都サンティアゴへと戻るバスは朝の便を予約していたので、早々にホテルをチェックアウトしバスターミナルへと向かいました。サンティアゴのバスターミナルに比べると古めかしいですが、ウォールアートと落書き(?)でそこはかとなくポップな雰囲気に装飾されていました。

単にサンティアゴからのバスの終着駅、というわけではなく、ここからサンティアゴ以外に行くバスもあるようで、ターミナルにはそこそこの数のバスが停車していました。

バスの出発時刻までは少し時間があったので、バスターミナルの周囲をぐるっと歩いて一周してみました。ターミナルを出て早々、すぐ横でこちらの立派な建物を見つけました。ここまで紹介してきた建物に比べると新しめでかつカクカクしたデザインということで、大学か何かだろうか?と思ったのですが、調べてみるとこちらは1990年にサンティアゴからバルパライソに移転してきたチリの立法府・国民議会が使う国会議事堂だったのでした。なるほど新しめの立派な建物というのも納得です。

ターミナルの周りを一周した後は、売店でエンパナーダを買って朝ごはんにしました。エンパナーダはスペイン語圏で幅広く食べられている具入りのパンの総称ですが、チリのエンパナーダはパイ生地に近いサクッとした生地の揚げパンでした。

その後しばらくしてバスに乗り込み、サンティアゴへと向かいました。行きもなんとなく気が付いていたのですが、バスの先頭部に現在の車速や運転手さんの名前を表示する電光掲示板が付いていました。あまり他の国では見かけない独特の装備という気がします。

以上、2025年4月のメキシコ・チリ旅行記、バルパライソ編でした。次回はサンティアゴ編の予定です。お楽しみに!

  1. どうやらクラシックカー博物館のようなところから出張展示していたようでした
  2. 旅行者は狂犬病のリスクもあるので距離は取りつつ観察するのにとどめておきましょう!
  3. 南欧行ったことないのであくまでイメージなんですけどね
  4. この駅はEstación Puerto、つまり港駅というそのものズバリな名前だったりします
  5. USの一部の路線とかはそういう雰囲気ですよね…
  6. 心が狭い、と言われそうですがこれは譲れないんですよねぇ…
公開日:2025/10/30