2025年2月のヨーロッパ旅行記、ロンドン編に続いてブリュッセル編です。ロンドン編に書いた通り、ただでさえ弾丸旅行のところに半ば強引にねじ込んだブリュッセル訪問だったことと、後述のトラブル(!)の関係で短めの記事になります。
いきなり転ぶ
ロンドンのセント・パンクラス駅から乗ったユーロスターは途中停車駅のフランス国内にあるリール・ヨーロッパ駅を経由して2時間ほどでブリュッセル南駅に到着しました。今回はブリュッセル南駅のすぐそばにホテルを取っていたので、とりあえずホテルに向かおうと駅舎を出たところで悲劇が起きました。
カナダに引っ越してから車通勤になり歩く量が減っていたにもかかわらず、前日に夕方ロンドンに着いてからいきなり2万歩も歩いたこと、たまたま今回乗ったユーロスターは対面座席1だったため、足を伸ばせず変に力を入れた状態で2時間ほど座っていたことなど、いろいろな背景はあると思う2のですが、駅の目の前の横断歩道で足がもつれて派手に転んでしまいました。漫画のように正面にがっつり転んだので周りから見ても派手だったらしく、近くを歩いていた小さな男の子がとても心配そうな顔をして”Ça va? (サヴァ?:元気?)”と私に尋ねてくれました。正直めちゃくちゃ膝が痛く元気ではなかったのですが、オーケーオーケー!と言って立ち上がり、とにかくホテルへと向かったのでした。”Ça va?”は汎用的に挨拶として使えるフランス語なので、皆さんもぜひ機会があったら使ってみてください。(文字通り転んでもタダでは起きない、をモットーにしております)
足を引きずりつつホテルに着いて膝を見てみると、ズボンは破れていないもののズボンの中で膝が擦れて派手な擦り傷ができていました。これはマズいということでシャワーで傷口を洗ってから再び駅へ向かい、薬局で特大サイズのばんそうこうを買ってきて貼ったのでした。旅行から1週間経って今この記事を書いていますが、さすがに痛くはなくなったもののまだ傷口は治りかけだったりします。トホホ…
アトミウムに行く
着いて早々のトラブルで盛大にタイムロスした上、さすがに転びたて(?)はかなり足が痛く、できるだけ歩かずに移動しようということで、Uberタクシーを拾って郊外のヘイゼル公園にあるモニュメント、アトミウムの見学に向かいました。ブリュッセルは2018年2月に続き2度目の訪問ですが、1度目に行くことができずちょっと心残りになっていた観光スポットの1つがこちらのアトミウムなのでした。アトミウムは1958年のブリュッセル万博のために建てられたモニュメントで、鉄の結晶構造(体心立方格子)を拡大した形状をしています。
このアトミウム、入場券を買って中に入ることができます。結晶構造では原子の場所にあたる球状の部分には展示室があり、柱の中を通る階段やエスカレーターを使ってそれぞれの球の間を移動することができます。この階段やエスカレーターがなかなかレトロフューチャーな雰囲気だったのでした。照明はLED化されていそうだったので1958年の万博当時そのままではないのでしょうが、雰囲気は昔からこんな感じだったのかもな、と思いました。
低層階はブリュッセル万博やアトミウムの設計についての展示がされているのですが、上の方の球3の中はアーティストによるインスタレーションの会場になっていました。インスタレーションもなかなかレトロフューチャーな雰囲気になっていて面白かったです。
下りのエスカレーターもご覧の通りピカピカと光る仕様でした。そんなにあれこれ見るものがあるわけではありませんが、独特の雰囲気があるおもしろいモニュメントでした。
楽器博物館へ行く
アトミウムを見た後はもう一つの前回訪問時に見学できなかった楽器博物館へと向かうべく、ブリュッセルの王宮にほど近い芸術の丘へとやってきました。中央に見える高い塔はグランプラスに建っているブリュッセル市庁舎のものです。高い建物がなく空が開けているからこその光景ですね。
芸術の丘の周囲にはいくつも博物館がありますが、その中でも目を引くおしゃれな見た目のこちらの建物が楽器博物館です。元々こちらはデパートが入居していた4建物で、1899年に建てられたものだそうです。
地下1階から地上3階までが楽器が展示されているエリアになっていて、その上にはオフィスやコンサートホール、レストラン(お休みでしたが)があります。地下1階は他のフロアの分類に収まらない楽器群ということなのか、機械仕掛けのオルガンやオルゴールと、現代の電子楽器が展示されていました。電子楽器のコーナーには日本のシンセサイザーメーカー、KORGの名機、MS-20も展示してありました。
ちなみに古い建物だけあって、この博物館のエレベーターもサンディエゴで見たような手動の引き戸が付いたクラシカルなエレベーターでした。ドアの周囲の装飾が素敵です。
1階より上は弦楽器、管楽器、鍵盤楽器など楽器の種類別にコーナーが分けられて展示されていました。1枚目の写真のバンドネオンも2枚目の写真のハープシコードも、今ほど大量生産されていなかったこともあってか、かなり装飾が凝っているという印象を受けました。
こちらはリュテアル(Luthéal)と呼ばれる弦を押さえるレバーが付いたピアノです。手前に飛び出しているノブを引っ張ることで、弦を押さえたり離したりすることができ、音色を変えることができる仕組みになっています。モーリス・ラヴェルの一部の作品ではこちらのリュテアルを使っているようです。
友人とご飯を食べる
楽器博物館を見学した後は現地に住んでいる友人と晩ごはんを食べに行く約束をしていたので、お土産を取りに帰るべく一度ホテルに戻りました。しかしホテルから再びUberタクシーを呼んで待ち合わせ場所に向かおうとしたところ、ラッシュに当たってしまったのかなかなかUberタクシーが捕まらなかったのでした。やっぱり電車で行った方がいいか、と思い駅に向かってみたものの、待ち合わせ場所の近くまで行くトラムの停留所が分かりませんでした。到着時に転んで膝が痛いままだったので、あちこち階段を上り下りするのもまた辛いし…と右往左往してしまい、待ち合わせに盛大に遅れてしまったのでした。元々はみんなでビールを少し飲んでからレストランへ行こうと言っていたのに、結局私はレストランに直接向かうことになったのでした。(S夫妻、その節は大変失礼いたしました…)
ともかくレストランでは合流でき、友人夫妻おすすめのメニューをシェアしつつ、ビールも楽しんだのでした。2枚目右側の料理はジャガイモの山に目が行ってしまいますが、牛肉のビール煮込みです。クリーミーな味わいがなんとも美味でした。こういう味わいの食べ物、カナダにはあんまりないんですよね…
美味しいベルギー料理とビールを堪能した後はグランプラスやその近くのおすすめのショコラトリーの”Elisabeth“に案内してもらったり、グランプラスと同じくブリュッセルの観光名所であるギャルリー・サンチュベールを歩いたりしました。Elisabethのチョコレートはバジルを使ったチョコレートだったり、フレーバーの工夫が光るチョコレートが多かったのがなかなか良かったです。この記事を書いている間も、お土産で買ってきたElisabethのチョコレートを食べたりしています。いやー、カナダで買うチョコレート味のお菓子とは天と地の差(比べるようなもんでもない気がしますが)がありますね…
その後友人夫妻にお土産を渡し、ブリュッセル中央駅で別れてホテルに戻っていったのでした。
朝のグランプラス周辺を歩く
翌朝は午前9時前のユーロスターでロンドンに戻る予定でしたが、早く起きることができたので前日に見逃した小便小僧などを見に行くべく出歩くことにしました。寝て起きるとさすがに大分膝の痛みは落ち着いていたので、少し歩いて前日に見つけられなかった駅をなんとか見つけ、トラムでブリュッセルの中心部へと向かっていったのでした。
たまたま新しい車両だったからというのもありそうですが、トラムはなかなかシックな雰囲気のおしゃれな車両でした。警備員が車内を巡回しているので、治安も悪くなさそうです。
トラムを降りたところにはこちらの立派な建物がありました。オペラハウスか何かかなと思っていたのですが、Googleマップで確認してみたところ、証券取引所のようです。
そして証券取引所のあたりから最初に歩いてやってきたのがこちら、青色に照らされる小便小僧ならぬ「小便犬」です。小便小僧の他に小便少女がいるというのは結構有名だと思うのですが、小便犬はちょっとマイナーなのではないでしょうか。私も小便小僧と小便少女の像は2018年にも見ているのですが、その他に小便犬がいるとは当時は知らなかったのでした。1600年代に設置された小便小僧、1980年代に設置された小便少女からさらに時代が下って、1999年に設置された彫刻だそうです。青色の照明でなかなか寂しげな雰囲気になってしまっていますが、ブリュッセルの人々の小便小僧とそのパロディに傾ける情熱を感じる彫刻でした。
そう遠くないこともあり、小便犬を見た後はまだ薄暗い街の中を歩いて小便小僧へと向かいました。こういう街中の何気ない看板や、バルコニーのフェンスの装飾なんかにそれぞれの国・街の雰囲気が出るよなあと思いながら写真を撮っていたのでした。
そして10分ほど歩くと小便小僧にたどり着きました。朝も早くから元気に用を足していました。さすがに冬の午前7時台だと小便小僧といえど他に観光客は居なかったのでした。
ブリュッセルは結構あちこちに石畳の道が残っていて、道沿いに建つ古い建物と併せてなかなかいい雰囲気を醸し出しています。ただ、今回Uberタクシーに乗って分かりましたが、車にとってはでこぼこした道が多くて厳しい環境かもしれませんね。
さらに歩いてふたたびグランプラスにもやってきました。夜は結構観光客であふれていますが、朝はお店が開いていないからかこちらも閑散としています。ライトアップされているグランプラスを撮るのであれば、冬の朝は十分暗いので狙い目かもしれません。寒いですけどね…
前日に覗いた時には記念撮影の人だかりが少しできていたセルクラースの像も、ご覧の通り撮り放題・右腕触り放題(?)といった状況でした。右腕触り放題、と書きましたが、こちらの像は腕の部分に触れると幸運が訪れる、また旅行者が触ると再びブリュッセルに戻ってくることができるという言い伝えがあるのでした。2018年の訪問の際も像に触れていたので、今回再びブリュッセルを訪れることができたのはこの像のご利益かもしれませんね。
ギャルリー・サンチュベールもご覧の通り前日の賑やかさが嘘のような静けさです。完全消灯するのではなくて、通りの照明や店内の照明の一部が点灯したままなあたりがまた独特な雰囲気を醸し出していました。
ギャルリー・サンチュベールの写真を撮ったあたりでそろそろユーロスターの時間が迫ってきていたので、帰りはブリュッセル中央駅から国鉄に1駅だけ乗りブリュッセル南駅へと戻りました。その後ホテルで荷物をまとめ、再びブリュッセル南駅へと戻り、EUの出国審査およびイギリスの入国審査(ここでまたしても自動化ゲートが使えず…)を受けてユーロスターへと乗り込んだのでした。ユーロスターの搭乗待ちの間に朝ごはんのサンドイッチは食べたのですが、ベルギーに来たのにワッフルを食べていないことにユーロスターに乗る直前に気が付き、急遽駅の自販機でワッフルを買ったのでした。でもやっぱりベルギーに行ったなら出来立てアツアツを食べたいところですね。セルクラースの像にも触れたことですし、またゆっくりベルギーを訪問する機会があると信じています。
以上、2025年2月のヨーロッパ旅行記、ブリュッセル編でした。いきなりのトラブル(自爆ですが)があったりと災難でしたが、友人に会うことができたり、2018年の訪問時に心残りだった場所に行けたりと、ポイントは押さえられたブリュッセル訪問だったと思っています。
さて、この記事を書いている時点ではこの旅行が最も最近行った旅行で、ついに旅行先のストックがなくなりました。前回ストックがなくなったのは新型コロナウイルス禍でどこにも行けずに記事を書いていた2021年1月だったので、4年ぶりということになります。旅行先という意味ではストックがないのですが、せっかく日本を離れてバンクーバーで生活している今日この頃なので、またどこかに行った際(5月にもヨーロッパに行く予定ですしね!)には旅行記を書くとともに、不定期にバンクーバー周辺の観光記なども書いていこうと思います。(そうしないとカナダだけなんか不公平な感じもしますし…)それでは皆様、次回をお楽しみに!