2024年7月の東アジア旅行記、青島・電気街&街歩き編に続いて、博物館見学編です。ビールフェスティバルは夜がメインなので、終日青島に滞在した2日目の日中は博物館を見学していたのでした。
青島極地海洋公園を歩く
次に取り上げるハイアール家電博物館に向かう際に立ち寄ったのがこちら、青島極地海洋公園です。この公園の敷地の隣にハイアール家電博物館があったのでした。
水族館を軸とした公園のようで、青島の中でもさらに海岸沿いのエリアにある公園です。私がよく行く深圳ではあまり海沿いのエリアには行かないこともあり、中国で見る海というのはなんかちょっと新鮮だなと思ったのでした。
そして公園にはビールに浸かっているシロクマのオブジェがありました。ここまでビール推しが強いと清々しい気がしてきます。
ハイアール家電博物館を見学する
極地海洋公園をささっと通ってやってきたのはこちら、昨今では日本でも安価な白物家電で有名なハイアールが運営するハイアール家電博物館です。青島はハイアールやハイセンスという世界でも有名な中国の家電メーカーの本拠地でもあるのでした。そこそこ大きな建物の一角にあり、なかなかの門構えです。しかし一緒に訪問していた高須さんが入場券を買おうとすると、受付のお姉さんが「大した展示は無いのだけれど本当にお金払って見るんですか…?」と正直すぎる質問をしてきたのでした。
受付のお姉さんをしてそう言わしめるほどの展示、どんなものなのだろうかとやや不安になりつつも館内に進んでいくと、まずは古い家電類の展示がありました。特にハイアール製品が並んでいるというわけではなく、ジャンル別に固めて通路に置いてある、という感じでした。
そしてさらに進んでいくとちょっと暗くなった部屋が連なったエリアに入って行きました。実用的なミシンの開発に貢献したシンガーに始まり、それぞれの時代の家電を軸にして当時の生活を描くというブースになっていました。ブースの端に展示された家電類の奥にはスクリーンがあり、それぞれの時代をフィーチャーした映像が流れていたのですが、本当の当時の映像と、外国人タレントを雇って撮りました!という感じの再現映像とがミックスされていました。
1960年代から先は10年ごとに区切ってそれぞれブースが設置されていました。ラバランプって1960年代からあったんですね…
ちなみに家電博物館、といいつつダグラス・エンゲルバートによるマウスの発明も紹介されていたりと、比較的扱うカテゴリは広めでした。
70年代のコーナーにはソニーのウォークマンもあり、木原信敏氏がフィーチャーされていました。ソニーの紹介となると創業者の井深氏や盛田氏が取り上げられることが多い気がするので、ちょっと珍しい感じがします。
こちらは1980年代のコーナーにあったワング・ラボラトリーズのPCです。当時、NECのPC-9800シリーズが着実にシェアを伸ばし一強の地位を確立していたこともあり日本ではあまり有名ではありませんが、ワングは電卓やワープロなどに始まり電子機器で一時代を築いたメーカーの一つです。創業者の一人であるアン・ワングは上海出身の中国系アメリカ人ということもあり、ワングのPCが展示してあったのではないかと思います。
そして80年代のコーナーにはハイアールの誕生と社長の紹介をするパネルもありました。青島が経済技術開発区に指定されたのも1984年なので、改革開放の流れに乗ってハイアールが誕生した、といえそうです。
1980年代のコーナーにはファミコンも置いてありました。ここのブースはなかなか日本風な雰囲気でした。
1980年代のブースを抜けて1990年代のブースに行くと、スマートフォンの先駆けともいえそうなIBMのPDA統合型携帯電話、”IBM Simon”やマイコン炊飯ジャーなどの展示がありました。
さあ2000年代はそろそろハイアールの快進撃がフィーチャーされるのだろうか…と進んでみると、なんと時代ごとの展示は90年代でおしまいだったのでした。ここからが見せ場じゃないのかーい!とツッコミを入れずにはいられませんでした。そして現れたのが正直なところありきたりなIoT家電の紹介コーナーでした。
IoT家電紹介コーナーを抜けるともうほぼ展示の出口にたどり着いてしまいました。出口のあたりには古い家電がまたどかどかっと置いてあるエリアもありました。年代ごとの展示はそれなりに凝っていて面白かったのですが、60元(約1260円)の入場料に見合う面白さかといわれると悩ましい博物館でした…
飲み物を買おうと博物館を出たところにあった売店を覗いてみると、青島ローカルのコーラ、崂山コーラが売っていたので飲んでみることにしました。なんというか、マズくはないのですが、駄菓子屋のコーラの味でした。
青島ビール博物館に行く
ハイアール家電博物館を見学した後は青島最大の観光スポットといっても過言ではない、青島ビール博物館にも行きました。それなりに混んでいましたが、めちゃくちゃ並ぶというほどでもなく入場することができました。
ここでは実際に醸造もしています。建物の上のタンクは青島ビールのパッケージに合わせたラッピングがされていました。
早速建物に入っていくと、これまでの累計の入場者数と今日の入場者数がそれぞれ表示されていました。累計1000万人強、この日だけでも5600人以上の入場者というのはなかなかの人気ぶりです。
入ってすぐのエリアには、青島がドイツ租界であった頃にビールづくりが始まったことに始まる青島ビールの歴史や、当時のパッケージや広告などを紹介する展示がありました。
パッケージなどの展示はビール工場あるある1ですが、少し進んでいくといかにも中国らしい展示が出てきました。「好人醸好酒(よい人が良い酒を醸す)」、いい言葉ですがなかなか中国っぽい標語だと思ったのでした。
中国とロシアが主導して設立した地域組織である上海協力機構のサミットが2018年に青島で開かれたこともあり、その際の外交の舞台でもビールが活躍しました、というパネルも展示されていました。パネル上の国旗は左からカザフスタン、中国、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンのものです。なかなかシブい2顔ぶれです。
もちろんビール工場ですから釜などの展示や製法に関する解説などもありました。
さらに歩いていくと「社会責任庁」という看板がありました。英訳の通り、社会貢献などのCSR(企業の社会的責任)について扱うコーナーなのですが、日本の官庁のような字面がちょっと面白かったのでした。
もっと進んでいくと試飲コーナーに出ました。ソウル・観光編にも書いた通り、この時は禁酒だったので私はお酒は飲みませんでした。試飲コーナーの端には青島国際ビールフェスティバルの紹介ブースもありました。
試飲はできないんだよなぁと思いながらぶらぶらしてると、ビール入りのアイスが売られていました。高須さんがアルコールは飛んでいて入っていないことを店員さんに確認してくださったので食べてみることにしました。なかなかやっつけなビール型のアイスです。味はパッケージの通り、さわやかなメロン風味でした。ビールの味はあんまり分からなかったですね…
試飲コーナーを抜けるとパッケージングラインやこれまた定番のミュージアムショップなどがありました。ミュージアムショップでは日本でも中華料理店などで見かける青島ビールのロゴ入りビールグラスが売っていたのでつい買ってしまいました。
一通り回って博物館の外に出ると、まだ飲み足りない人向けなのか、写真の通りビール販売店があったのでした。中国全土への配達も承りますという表示もあり、結構お土産にビールを買って帰る人もるのだろうなあと感じました。しかし「原漿」は無濾過の生ビールなので、温度管理なしに遠くまで送るとおいしくなくなるような気もするのですが、大丈夫なのでしょうか…?
青島ビール博物館を見学した後は一旦ホテルに戻り、一休みしてから次回紹介する青島国際ビールフェスティバルへと向かったのでした。
以上、2024年7月の東アジア旅行記、青島・博物館見学編でした。ビールフェスティバルもそうでしたが、ビール博物館に行っておいて試飲できないのはなかなかツラいものがあったのでまたリベンジしたいところです。というわけで、次回はいよいよ青島・ビールフェス編です。お楽しみに!