2024年1月の東南アジア旅行記、ホーチミンシティ滞在のPart1に続き主にプノンペンに滞在したPart2です。

国境を越える

Part1の最後で乗ったプノンペン行きのバスに乗って約2時間、バスはベトナム・カンボジア国境に到着しました。ここはベトナム側がモクバイ、カンボジア側がバベットという街になっています。日本人のカンボジアの入国はビザが必要ですが、事前にeビザを申請していたため、ベトナムの出国・カンボジアの入国ともにスムーズでした。ちなみにここでカンボジアに入国したことにより、ASEAN10か国1をすべて回ったことになりました。

国境あるあるですが、カンボジア側でバスに再び乗る手前のところに両替とSIMカードの販売をするおばちゃんがいたので、ここでSIMカードを調達しました。SIMカードスロットを開けるためのクリップまで常備しているあたり、おばちゃん、さすがです。

カンボジアの入国手続きを終えたところでバスに乗って、再びプノンペンを目指します。カンボジアに入ると急に看板に簡体字の漢字表記が増えました。また、上の写真右側に写っている小さい看板がまさにそれなのですが、カンボジア人民党のフン・セン氏2とヘン・サムリン氏3の顔が書かれた看板が道端に結構な頻度で現れるようになりました。国が変わるとこういうところに違いが出ますね。まあベトナムならホー・チ・ミン氏、タイなら国王と、この辺の国は誰かしらを看板に登場させがちではありますが…

そして10時過ぎ、国境を越えてからは初めての休憩が入りました。道路沿いの食堂にダイレクトにバスが乗り付けるスタイルです。

10時という微妙なタイミングでしたが、ご飯休憩ということだったので適当に料理をオーダーしました。バス会社の名前の横断幕があるので、提携(というか直営?)の食堂なんでしょうね。しかし時間帯が謎です。5時発の便だと8時くらいに到着するので朝ごはんとしてはちょうどよさそうですが…

食堂では冷たい飲み物も売っているのでベトナム統一鉄道旅行でもお世話になったレモンティーのC2を買いました。めちゃくちゃ甘いと何度か書いていますが、そういうものと分かって飲めば結構おいしいので毎回選んでしまいます。

みたび休憩

さらに走ってお昼12時前に再びロードサイドのお店に停車し休憩時間となりました。ホーチミンシティを出てから3回目の休憩です。高速道路はないですが、一般道のロードサイドに日本の高速道路のサービスエリアのような施設がちょくちょくあるのは面白いですね。

ここはひとつ前の休憩とは違い、食堂というよりは土産物センターという感じでした。ぐるっと回ってみたものの特に買うものもないので、トイレだけ済ませてバスに戻りました。

バスに乗って出発を待っていると、お店の前にニワトリとワンちゃんが登場しました。なんというかのどかな雰囲気です。

いよいよプノンペン到着

再び出発した後しばらくして、メコン川に架かる橋を通過しました。この橋はネアックルン橋、通称「ツバサ橋」という橋で、日本の無償資金協力により建設された橋だそうです。この橋から先は徐々に市街地の雰囲気が出てきました。道中、周囲に何もないエリアだと携帯電話の基地局のためだけに鉄塔が建っていたのが、街中になってくると建物を利用して地上高を稼いでその上に基地局が設置されるように変わっていったのが印象的でした。ある種の都市と郊外を分かつ境界線を見たような気がします。

ツバサ橋からさらに1時間ほどでいよいよプノンペンの市街地に到着です。

定刻の午後1時から40分ほど遅れたものの、バスは無事にプノンペン側のバス会社オフィスに到着しました。ちんまりしたオフィスの前にドカンとバスが停まるのはちょっと日本では見かけない風景なので新鮮です。

バスを降りた後はGrabでトゥクトゥクを呼んでホテルへ移動しました。東南アジア各国で使える配車アプリGrabですが、カンボジアではベトナムでは対応していないトゥクトゥクが呼べるのが面白いところです。タイやラオスで乗ろうとすると価格交渉が必須で面倒なトゥクトゥクですが、Grabで呼べることでその手間なくトゥクトゥクを体験できるのはいいですね。

余談ですが、心なしかカンボジアのトゥクトゥクやバイクは他の国のトゥクトゥクやバイクと微妙に減速の仕方が違う気がします。なんというか、加速してがっつり前との車間距離をいったん詰めてからフワッと減速して車間を調整するというか、そんな感じの走り方をするドライバーが多い気がしました。気のせいかもしれませんが…

ロシアンマーケットヘ

ホテルにチェックインした後はさっそく、電気街調査を兼ねた街歩きです。なにせ翌日の朝には次の目的地であるシェムリアップへ向かうバスに乗ってしまうので、残り時間があまりないのでした。電気街風のエリアがあるという噂を聞いて最初に向かったのはこちら、トゥールトンポンマーケット、通称「ロシアンマーケット」です。

入り口の近くはベトナムの市場でもよく見かけるような、衣料品やおもちゃなどを扱うお店が連なっていました。

しかし奥の方へ進んでいくと金物屋さんなどもありました。ソウルの工具店を見た時にも書きましたが、果たしてこれだけ積み上げてどこに何があるかお店の人は把握しているのでしょうか…?

そして私が最も面白いと思ったのはこちら、エンジン売り場です。いくつかの店舗が固まっておそらくバイクやトゥクトゥク用であろうエンジンなどを販売していました。街中を走るトゥクトゥクの数を見るに、こういうお店が成立するだけの需要があるのでしょうね。

トゥールスレン虐殺博物館を見学する

ロシアンマーケットから近かったこともあり、次に向かったのはこちらのトゥールスレン虐殺博物館です。名前からおおよそ想像がつくかもしれませんが、ここはカンボジアのポル・ポト政権時代に政治犯の収容所として使われた施設です。

ここはポル・ポト政権による市民の農村への強制移住に伴って使われなくなった学校を政治犯収容所に転用したという経緯があり、外から見る雰囲気は学校のような雰囲気が今でも残っています。しかし中庭には収容された政治犯を物理的に吊るし上げる拷問に使う器具があったり、建物の中には教室を改造した牢獄、刑罰を行う部屋などがあったりと、当時の悲惨な状況が残っていました。ちなみにここは入り口で各国語のオーディオガイドを借りることができるます。日本語版もあるのですが、最初のオーディオプログラムが「あなたはこの見学を終えた後、何事もなくこの収容所の外に出ることができますが、当時ここに収容された人々は二度と外に出ることはありませんでした…」というような語り出しになっていて、非常に重々しかったのをよく覚えています。

トゥールスレン虐殺博物館を出た後は、プノンペンに着いてから何も食べていなかったので目の前の食堂で一旦休憩です。まずはマンゴースムージーを飲んで涼みました。

そして料理も頼みました。カンボジアの名物料理である「ロックラック」です。甘めのタレをかけた牛肉にブラックペッパーベースのソースをかけて食べる料理です。目玉焼きとご飯も相まって、食べながらこれは焼肉定食ではないか!と思ったのでした。同時に目玉焼きがちょっと不思議な味付けだな…とも思ったのですが、この時は気にせず食べてしまったのでした。

オルセーマーケットに行く

ごはんを食べた後に向かったのはこちらのオルセーマーケットです。ここも電気街っぽいお店があるという噂を聞いて訪問することにしたのでした。

ここも入り口付近はよくある市場という印象でした。

中に入っていくと調理器具を売るお店などが並んでいました。アパレルというよりは日用雑貨が多めという印象でした。

さらに歩いて行くと電球や電源タップ、電撃ハエたたきなどを売るちょっと電気っぽいお店も出現しました。

電気関連…に分類するかは悩ましいところですが、LEDを使った仏具が煌々と輝いていてやたら輝度の高い仏具店もありました。

さらにマーケットの中をうろついてようやく電子部品店を発見しました!上からぶら下がっているのはオーディオアンプの基板のようでした。高出力のオーディオアンプがなぜかやたら売っているのは東南アジアあるあるですね。

HOSAWA(?)のPRESTOというはんだごても売っていました。これはどう見てもHAKK○さんのはんだごてのコピー品ですね…その下にXLRコネクタやWD-404が並んでいるのも味わい深いです。

タイのバンモーのお店のようにショーケースの中にコネクタや電池がずらっと並んでいたり、カウンターの後ろに小さい部品用の引き出しがあったりと、ザ・電子部品店という雰囲気を出しているお店が何軒か並んでいました。

ちなみに近くにはスマートフォン用のアクセサリーを扱うお店もありました。ロシアンマーケットに比べると、こちらの方が電気街っぽい雰囲気だったという印象です。(とはいえロシアンマーケットのエンジン売り場というのもなかなかのインパクトでしたけどね!)

王宮周辺を歩く

オルセーマーケットを駆け足で調査した後は、王宮に向かったのですが残念ながら時間切れ、閉館時間を過ぎてしまっていて中を見学することはできませんでした。王宮の見学はまたの機会に取っておくことになったのでした。

王宮の周辺は歩行者専用道路になっているエリアがあり、そのあたりをぐるっと歩いてみました。橙色の袈裟を着たお坊さんが歩いているのを見ると、ああ仏教国(特に上座部仏教の国)に来たなあとしみじみ思うのでした。

王宮の見学時間は終わってしまいましたが、王宮前の広場には地元の方々やワンちゃんなどが集まっていました。思い思いにのんびりと過ごす公園のような場所なのでしょうね。ここに面したところにある、王宮の正門となる建物はなかなかの威厳でした。

ワット・プノンの丘に登る

次に向かったのは王宮から1.5kmほど離れたところにある小高い丘の上に建つ寺院、ワット・プノンです。東南アジアの上座部仏教国でよく見るタイプの仏塔が丘の上に建っています。こちらはプノンペンで最も高いところにある寺院だそうです。

仏塔のそばの本堂には黄金に輝く仏像が鎮座しています。東南アジアの仏像は日本のそれとはまた顔立ちが違うのが興味深いところです。

丘を降りていくと、竹材か何かで編まれたウサギのオブジェが鎮座していました。2024年の頭の訪問だったので、おそらくこれは2023年の干支を表すウサギなんでしょうね。ちなみにウサギの後ろには芝生を使った大きな時計が設置してありました。

ちなみにワット・プノンの丘は円形になっていて、周囲をぐるっと回れるようになっていました。上の写真は正面の入り口です。階段の左右を守る蛇神ナーガの像がなかなかの迫力です。

プノンペンのイオンを覗いてみる

ワット・プノンの後に向かったのは一気に趣向を変えてこちら、イオンモールプノンペンです。イオンは東南アジアの各地にショッピングモールを展開していますが、これまで行ったことがなかったのでお土産を探しがてら行ってみることにしたのでした。

食料品などを扱ういわゆるスーパーマーケットのようなエリアには木組みの飾りがついていたりして、ちょっとだけ東南アジアっぽい雰囲気を醸し出していたのでした。天井の配線などがむき出しなのは日本のイオンとはちょっと違うところですかね。このイオンに限らず、東南アジアのショッピングモールはこんな感じの天井のところが多い気がします。

歩き回っているとタイが本社の和食レストランチェーンのFujiがありました。ちなみにこれを書くにあたり調べたところ、Fujiはタイが本社ですが、社長は日本人だそうです。タイでもショッピングモール内でよく見かけますが、カンボジアにも進出していたのですね。

吹き抜けのところから写真を撮ってみると、日本では見かけないブランドの看板などがなければ日本のどこかのショッピングモールと言われてもわからなさそうな雰囲気でした。

ちなみにちゃんとしたアーケードゲームを置いているゲームセンターもあります。

こちらのPDAproというお店は看板の取ってつけたような「プロ」の味わいがなんともいえません。

さすがはイオンモール、日系のお店もOWNDAYS、ダイソー、ノジマと色々あります。ちなみにノジマはモールの端の方にあったのですが、近くには貸会議場と思われるホールの案内がありました。イオンモールに会議場が併設されているのはちょっと新鮮でした。

ビールを飲む

イオンモールを覗いた後はホテルの近くに戻って晩ごはんを食べつつビールを飲みました。カンボジアはビールが安いと聞いていましたが、ビールに限らずごはんも結構安い印象でした。もちろんラオスなど、東南アジアの中でも物価の安い国は他にもあるのですが、牛肉を使った料理やアメリカンな料理も割安感があるのはカンボジアの特徴かもしれません。

ひとしきりビールを堪能してからホテルに戻る道中、コンビニに寄ったところ中国の「茶π」が売っているのを発見したのでつい買ってしまいました。カンボジアに入った途端にたくさんの簡体字を目の当たりにした時にも思いましたが、隣国であるタイやベトナムに比べるとカンボジアは中国との経済的な結び付きが明らかに強いという印象を受けました。こういう中国の飲食料品がダイレクトにコンビニで売ってたり、というのはタイやベトナムだと見かけないのですよね。この辺はまあいろいろと各国事情があるところではあるのですが、国が変わるとこの辺りの関係性も変わるというのを実感できるのは、実際に各国を歩いてみることの醍醐味の一つだと思っています。

出発前の散歩

翌朝は朝8時半のバスでシェムリアップへと向かう予定だったので、少し早起きして街を散歩しました。写真は繁華街に出ていた屋台です。ベトナムの路上に出ている屋台よりも大きめで、バイクと一体化しているタイプが多いように思いました。

最後に、王宮の近くですが初日には訪問できなかったノロドム・シアヌーク前国王像のある広場にも行きました。ノロドム・シアヌーク国王はフランス領インドシナ時代に始まり、フランスからの独立、その後のポル・ポト政権時代、そして内戦の終結後と激動の時代を過ごした国王です。目抜き通りの広場に像は静かに立っていました。

さらにまっすぐ歩いて行くと独立記念塔にたどり着きました。こちらは1953年のフランスからの独立を記念して建てられた塔です。上部の装飾が独特の雰囲気でした。

シェムリアップへ

独立記念塔を眺めた後には一度ホテルに戻り、チェックアウトしてバス会社のオフィスへと向かいました。ホーチミンシティからのバスとは別の会社のオフィスです。こちらは大き目のガレージといった趣のオフィスでした。

ガレージの横の小さな建屋にバスの予約のバウチャーを出したところ、引き換えに渡されたのがこちらの紙でした。高校の文化祭か?というシンプルなチケット(?)です。ミャンマーのバガンを訪問する際に空港に行ったら発券済みの搭乗券の束からスタッフさんが私の搭乗券を探してくれたり、帰りのフライトが自由席だったりしたのに並ぶゆるい雰囲気の搭乗手続きにちょっと衝撃を受けました。

ちなみにチケット(という名の紙切れ)に書いてある通り、3番の座席が割り当てられました。例によって2席-1席の座席構成のバスなので、先頭の一人席でした。早々に乗り込んだはいいものの、ホーチミンシティからのバスと異なり今回はなかなか乗客が集まらなかったのか、バスは10分ほど遅れてバス会社のオフィスを出発し、シェムリアップへと向かったのでした。

以上、2024年1月の東南アジア旅行記、Part2でした。次回Part3はついにアンコールワット観光の拠点・シェムリアップに到着です。お楽しみに!

  1. 私の訪問順で書いていくとベトナム・マレーシア・タイ・シンガポール・ブルネイ・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア
  2. 38年間にわたりカンボジアの首相を務めたことで有名です
  3. 反ポル・ポト派政権の立役者ですね
  4. 日本でいうKURE 5-56のような防錆潤滑スプレーです
公開日:2025/01/07 最終更新日:2025/01/10