2023年のゴールデンウィークに行った東南アジアの旅、ヴィエンチャン編Day2です。ヴィエンチャン編と銘打っていますが、国境を渡ってタイで寝台列車に乗るところまで書いていきたいと思います。
まずは朝の散歩
ホテルでGoogle Mapを見ていたら、サイゴン通りにハノイ通りと、ベトナムの地名が付いた通りがいくつかあったので、そのあたりを散歩してみることにしました。ちなみにラオスの小さい路地のローマ字表記は”Rue~”となっていました。フランス語そのままですね。
その道中で見かけたのがこの看板です。日本のパチンコチェーンのマルハンはラオスで金融事業をやっているんですね。知りませんでした…
さらに歩いていて見つけたのがこちらの”LAO JAPAN BUDO CENTER”です。説明書きによるとJICAの支援事業の一環で建設された武道場のようです。日本の海外支援事業にもいろいろな形があるんですね。
さらに歩いていると、日本国内では見なくなって久しい”FDi Station”の看板がありました。今でもここで現像をやってくれるのでしょうか…気になります。
ちなみにヴィエンチャンにはスタバもあればハードロックカフェもあります。なんだかんだマラッカにもありましたし、ハードロックカフェの海外展開もなかなかのものですね…
ヴィエンチャンは首都なので中心部には政府機関も多いのですが、散歩中に周囲の建物とは明らかに造りのきれいさが違うおしゃれな建物群が見えてきて、いったいどんな政府施設なのか?と思いました。しかし、看板を見てみたらばこれはブルネイの大使館だったのでした。さすがは産油国ブルネイ…と思いつつ、このあたりで一番おしゃれできれいな建物は他国の大使館か…と、ちょっと寂しくなってしまいました。
お寺を観光する
ワット・シーサケット
ホテルに戻って朝ごはんを食べた後はお寺の見学に出かけました。まず最初に行ったのはワット・シーサケットです。再建などを経ていない寺院としてはヴィエンチャン最古の寺院だそうです。
この寺院もタートルアンのように周囲に回廊があるのですが、その中の壁には小さな部屋が作られていて、それぞれの中に仏像が置かれています。ミャンマーのバガンでも似たような壁の中に置いてある仏像を見たのを思い出しました。
ワット・ホーパケオ
次に行ったのはワット・ホーパケオです。ここは現在は寺院ではなく、博物館になっています。写真に写っているお堂の中に、仏像などの宝物が展示されています。
室内は撮影禁止ですが、外部は撮影OKということで写真を撮りました。ここは1993年に修復工事がされているので、結構きれいです。
ちなみにこのワット・ホーパケオはもともと、ラオスにあったラーンサーン王国のセーターティラート王の治世のころ、エメラルド仏と呼ばれるヒスイ製の仏像を安置するために建てられました。
エメラルド仏はインドで作られた後にスリランカ、ミャンマーなどを経てラーンサーン王国の宝物となっていました。1560年にラーンサーン王国がルアンパバーンからヴィエンチャンに遷都するにあたり、この寺院が建立されたというわけです。
なお、その219年後、1779年にラーンサーン王国に侵攻したタイのタークシン王によってエメラルド仏は奪われました。その後タークシン王に代わってタイにトンブリー王朝を建てたラーマ1世により建立された現在のバンコクにあるワット・プラケオに安置されて現在に至ります。
ちなみにワット・ホーパケオの外には新型コロナウイルス対策を促しているであろう看板が設置されていました。またちょっと独特のテイストです。
ワット・シームアン
ワット・シームアンは前に紹介した2つとは少し離れたところにある寺院です。この寺院は割と金色の装飾が多く、日が出ていたこともありキラキラしていました。この獅子像はなんかちょっとファンシーな雰囲気がいいですね。
ここは観光客というよりは地元の方が多いように思いました。徳を積むための放鳥をするための鳥を売る屋台もありました。
お堂のギラギラ感もさることながら、独特の像たちが特徴的な寺院です。
お堂の中にはお坊さんがいて、お経を唱えていたり地元の方が参拝していたりしました。赤とオレンジがなかなかビビッドですが、ここも建立されたのは1500年代と、歴史のある寺院だそうです。(おそらく再建されているのだとは思いますが)
電気街・ドンパラン通りを調査する
さて、毎度おなじみの電気街調査にももちろん出向きました。パークソンの裏手にあるドンパラン通りがヴィエンチャンの電気街と言われています。行ってみるとHuawei、Oppo、Vivo、Appleなど各社のロゴを看板に掲げたスマートフォンショップが多数立ち並んでいました。何軒かテレビや洗濯機、照明器具などを売るいわゆる電気屋さんという感じのお店もあり、確かにこれは電気街だ、となりました。
先に書いたメジャーなブランドも興味深いところではあるのですが、この写真の真ん中に写っているTECNOというブランドに言及しておきたいと思います。このTECNOというブランドは中国のTranssion(伝音科技)というメーカーのブランドです。開発途上国を中心に展開する格安ブランドという立ち位置で、東南アジアでもシンガポールはもとより、タイ、マレーシアなどの比較的発展している国では売っておらず、主戦場はアフリカおよび東南アジアでも経済水準が比較的低い国というブランドになります。1中国の会社なのに中国でもTECNOのスマホは売っていないので、実際どんなものなのかと気になっていました。
そんなわけでTECNOのお店に入ってスマホを見てみました。1つ目の写真のPOP 7がエントリーモデルのようです。お値段約150万キープといいうことで、おおよそ1万円で買えるスマホということになります。ラオスの平均年収(年収!)は9万円程度ということらしいので、1万円のスマホでもかなりの贅沢品といえそうです。(もちろん平均年収は地方も含めた平均ですから、ヴィエンチャンではもう少し給与水準が高いのではないかと思いますが…)ちなみにこのPOP 7はTECNOがソフトウェアを独自に低スペック機に最適化しているためなのか、思いのほかスムーズに動作しました。また、せっかくなので記念に購入してしまいました。
ドンパラン通りもまた日陰がなく暑かったので、一通り調査をした後はパークソンに戻り、1階にあるJoma Bakery Cafeに行きました。ここはまた珍しいラオス発のカフェのようです。マンゴースムージーがひんやりして美味でした。
ワールドワイドなお昼ご飯
一通りお寺を見学した後はお昼ご飯を食べに行きました。ラオスはフランス領インドシナとしてベトナムとともにフランスの植民地とされていた影響か、ベトナムのバインミーのようなフランスパンのサンドイッチ「カオチーサイクワン」が名物とされています。Googleで検索したところ、この”PVO”のカオチーサイクワンがおいしいということだったので、行ってみることにしました。
シーリングファンがちょっとおしゃれな、広めの店内でした。割と入り口の近くの席に座ったので混んでいないように見えますが、この反対側にたくさん座席があり、それなりに混雑していました。
そしてもちろんカオチーサイクワンをオーダーしました。パンはバインミーよりももっちり成分多めという感じだったでしょうか。結構量が多くて、これだけでお腹いっぱいになってしまったのでした。
実際には次に書くバスターミナルや、前日に引き続きうろうろ歩き回ったタラートサオの後に行ったのですが、もう一軒お昼(?)ご飯を食べに行ったところがあります。この黒いスモークガラスで覆われた焼肉レストランです。
共産主義国のラオスで焼肉、ということで鋭い人は気が付くかもしれませんが、ここは北朝鮮政府が運営しているという噂のあるレストランです。以前、ハノイの北朝鮮レストランには行ったことがありますが、そこに続いて2軒目の北朝鮮レストランです。中は焼き肉用の換気ダクトが各テーブルに取り付けられていて、店員さんはハノイと同じような雰囲気の、おそらく本国から来ている方のようでした。
メニューを見るととんかつなどもありましたが、昼間に一人で食べるということでキムチと冷麺をオーダーしました。キムチがなかなか巨大で、PVOのカオチーサイクワンから少し時間が空いていたとはいえ、ちょっと食べすぎだな…という感じになってしまいました。
バスターミナルを眺める
Day1の方にも書きましたが、ラオスは北部で中国と国境を接しています。2021年には中国は雲南省からラオスのヴィエンチャンまで、高速鉄道が直通するようになりました。ヴィエンチャンの高速鉄道の駅はヴィエンチャン中心部から結構離れているので、タラートサオの裏手にあるバスターミナルから出ているバスで覗きに行けるかどうか、時刻表を見に行きました。残念ながらちょっと時間がかかりすぎて、国境越えが控えている状態で行くのは危なそうだったので断念しました。
バスターミナルはコンクリむき出しの屋根の下にバスが停車しているというシンプルな構成です。手前のバスは日本から寄贈された路線バスのお下がりのようですね。
トゥクトゥクで国境へ
さて、北朝鮮レストランに行ったりパークソンをうろうろしていたりしたら見事にバスの時間を逃してしまい、さあLocaで車を呼んで国境に向かうか…と考えていました。目の前に見えるメコン川の向こうはタイなのですが、ヴィエンチャンの中心部には橋がないので、橋のあるターナレーンまで何かしらの方法で移動する必要があります。そうこうしていると、「ターナレーンの国境に行くのか?」とトゥクトゥクの運転手さんが声をかけてきました。15万キープ、約1000円というオファーだったので、相場が今ひとつわかりませんが、万が一ぼったくられていたとしても1000円ならばいいかとトゥクトゥクで連れて行ってもらうことにしました。
バンコクで走っているトゥクトゥクはもともとトゥクトゥク用に作られた車両が多く、座席も運転手の後ろに並ぶように(進行方向を向いて座るように)配置されています。一方でラオスのトゥクトゥクはどうも二輪車を改造してリヤカーと合体させたような構造で、電車のロングシートのように進行方向から見て横を向いて座るような配置になっています。そして圧倒的に乗り心地が悪く、路面とエンジンからの振動が常にお尻に来るなかなかハードな乗り物でした。30分くらいの道のりなので、道中でガソリンの給油も挟みました。
ガソリンの給油は先に書いた通りなのですが、Google Mapを見ている限りもうそろそろ国境に着くだろうというタイミングで、またちょっとタイム!と言って運転手さんがトゥクトゥクを降りてどこかに行ってしまいました。この手の珍道中に慣れきってしまっているので、ここで置いていかれたらどうしよう…というようなことはもはや全く考えなかったのですが、トイレにしては長いなあと待っていたらボトルに入ったガソリンを持ってきて再びの給油でした。ボトルガソリン、恐るべし…
そんなわけでひたすらお尻に振動を受けつつ、スーツケースが飛んでいかないように押さえつつの30分の後に、無事ターナレーンの国境検問所にたどり着きました。人も車も多い中心部から緑の多い郊外までの移り変わりを風を受けながら走っていくのは楽しいのですが、またやりたいかと言われるともっと短い距離でいいかなぁと思ったのでした。2
バスで国境を渡る
さて、ターナレーンのラオス側のちんまりとした国境検問所を通過すると、メコン川にかかる橋の手前にあるバス乗り場にたどり着きます。ここでバスに乗って橋を渡り、タイ領内に入ることになります。バス乗り場で待っていたら写真の野良犬がふらふらと歩き回っていました。彼の辞書にはきっと国境という文字はなく、自由にタイとラオスを行き来しているのでしょう…
さて、我々が橋を越えるために最初に案内されたバスがこちらです。この薄緑色、そう、このバスは京都市バスのお下がりなのです。京都市バスのお下がりがここを走っていることは一部(?)では有名だったのですが、まさか自分がドンピシャで引き当てるとは思いませんでした。
外装こそラッピングされてしまっていますが、内部にはご覧の通り日本語の標示が残ったままです。おお、これはすごい…と思ったのもつかの間、人が多いからか機材トラブルなのか、一通り乗ったところで降りて別の大型バスに乗り換えろと言われたのでした。とはいえ、このバスに一瞬でも乗れたのはラッキーでした。
ちなみに国境にかかる橋のラオス側には写真のように、”ST. VEGAS”というカジノがあります。タイはカジノが禁止されている3ので、国境にカジノを開いてタイ人にお金を落としてもらおうという作戦だと思われます。同様のアプローチはタイ・カンボジア国境のポイペトなどでも見られます。
され、バスを降りて入国審査を通ればタイ側の国境の街、ノーンカーイに到着です。余談ですが、道路に関してタイは日本と同じ左側通行、ラオスは右側通行ということで、ラオス側の橋の入り口のところで左右がクロスするようになっています。
タイの入国審査のところで入出国カードを書いていたら午後6時になってしまい、タイの公共施設あるあるの国歌の放送に遭遇しました。4この放送の音量は大きいのに全く音が割れておらず、入出国審査施設の規模の差も含めて、タイとラオスの国力の差をまざまざと見せつけられたという感じがしました。対外的な見栄があるので、各国気合を入れるところではあると思うのですが…
国境のノーンカーイ駅
ノーンカーイの入出国審査施設を抜けて、今度はGrabでタクシーを呼んでノーンカーイの駅に向かいました。
駅名標の後ろに見える国王の写真で、ああ、タイに来たんだなぁと思うのでした。
ちなみに駅の待合室ではなかなかデンジャラスな方法でテレビの取り付け工事をしていました。安全第一でお願いします…
ちなみにノーンカーイ駅の時刻表はこれだけです。発着合わせて12便、そのうち4便はラオス側の国境、ターナレーン駅までのシャトル列車なのでタイ領内を走る列車は8便、つまり4往復のみということになります。私が乗るのは日に一本の特急、26番列車(左側の19:40発の列車)でした。なお、2024年7月に133番列車はラオス側のターナレーン駅までの直通運転を始めました。
先ほども書きましたが私がバスで渡った国境の橋には線路も引いてあり、日に4便、2往復だけシャトル列車が走っています。これもいつか乗ってみたいところです。
時間に余裕をもってノーンカーイ駅に向かったので、26番列車の前の133番列車が停車しているところを撮影したりしていました。こういう長距離列車のホームって、旅が始まるという独特のわくわく感がありますよね。
ちなみにホームの駅名標には隣駅としてターナレーン駅が書いてあります。他国に線路がつながっているというのも当たり前ですが日本にはないので、ちょっと不思議な感じです。
列車の窓をまたアクロバティックに拭き掃除するお兄さんもいました。ケガしないでね…
ご飯を食べて列車を待つ
さて、133番列車の写真を撮ってもまだまだ時間があったので、列車に乗る前に腹ごしらえということで、駅の道路を挟んだ向かい側の食堂でガパオを食べました。これがまた辛ウマでした!
さて、ご多分に漏れず食堂の近くにはワンちゃんがいます。この通り、テーブルのすぐそばをウロチョロしているのですが、みんなおりこうさんでした。食うに困ってないんでしょうね。
ちょっと面白かったのが、133番列車が出発するときに大音量でアナウンスが流れるのですが、駅前にいたワンちゃんたちはそれに反応して吠えていました。日に12便だと、さすがに慣れないんですかね…
そうこうしているうちに26番列車がやってきました。ガパオを食べた後ではありますが、飲み物とおやつなどを駅構内のコンビニで買って、乗車の開始を待ちました。
寝台列車に乗る
しばらくすると乗車が始まりました。あらかじめ買って印刷しておいたチケットを車掌さんに見せて乗り込みます。今回予約したのはこちらの2等寝台です。なお、26番列車はタイの中でも比較的長距離を走るためか、この編成は割と最近更新された新しい寝台車で運行されているそうです。寝台列車に乗るのは2018年のシベリア鉄道、記事にしていませんが2022年4月に乗ったサンライズ出雲以来の3回目です。
各座席には水が備え付けてあります。ロットファイ、タイ語で汽車という意味です。ラベルの絵はバンコクのフアランポーン駅ですね。
19時半発の列車なので、出発するとすぐに車掌がベッドメイキングに来ました。対面の座席をグッと引っ張るとあっという間に座面と背もたれが平らになり、一つながりのベッドになります。このような寝台をプルマン式寝台と呼びますが、プルマン式寝台の車両に乗ったのはこの時が初めてでした。身長180cmくらいまでの人であれば、特に頭をぶつけることなく足を伸ばして寝ることができるかと思います。
食堂車に行く
ベッドメイキングと前後してお弁当の注文を取るお兄さんが車両に回ってきましたが、そこをスルーして後で食堂車まで歩いていきました。シベリア鉄道でも体験しましたが、日本からはなくなって久しい食堂車があるのであれば行くしかありません。全体的に更新された編成であるためか、食堂車もシンプルですがなかなかきれいでした。
しかし食堂車に行っても結局出てくるのはお弁当なのでした。左上のマヨネーズのかかったサラダにはパイナップルが入っていて、思わぬ南国風味にびっくりしました。
食堂車でご飯を食べたり、車窓から見える途中駅の風景を眺めたり(特にウドンタニ周辺は栄えてる!大都会だ!と一人はしゃいでいました)しつつ、バンコクへ向かう車内で就寝したのでした。
以上、2023年GWの東南アジア旅行記、ヴィエンチャン編Day2でした。ここの陸路国境越えは難易度が割と低いわりにロマン(?)が詰まっていると思うので個人的にはおすすめです。次回はバンコク編の予定です。お楽しみに!