みなさんこんにちは。タイトルの通りではあるのですが、特区旅游ビザを使って中国広東省・深圳市に来ています。このBlogを以前から読んでいただいている方には余計な説明になってしまいますが、香港のお隣、中国の深圳には通り沿いにたくさんの電気街ビルが並ぶ、華強北という世界一の電気街があります。今回はこの深圳への渡航レポートになります。
特区旅游ビザ
さて、新型コロナウイルス流行前は日本人はビザなしでの渡航が可能であった中国ですが、2023年5月15日現在、新型コロナウイルスに関連した規制により中国への入国にはビザが必要となっています。日本国内で時間をかけてビザを取得するとなると、かなりの手間となります。しかし、深圳市内のみを観光するのであれば深圳到着時に特区旅游ビザと呼ばれるビザを取得することができます。
特区旅游ビザは、中国の経済特区内を観光するためのビザで、
Shenzhen Fan (こちらのサイトで特区旅游ビザの存在を知りました!)をはじめ、さまざまな方が取得レポートをすでに書かれています。今回私も特区旅游ビザの取得に挑戦し、無事中国に入国できました。
今回のルート
今回は久々に香港も観光したかったため、羽田空港から深夜発・早朝着便で香港へ飛び、香港に一泊したあとで深圳へと向かいました。後ほど詳しく書きますが、体力のある人なら香港での一泊は不要かもしれません。
香港から深圳に行くためのボーダー(口岸:コウアンと言います)はいくつかあり、その中の一部の口岸でのみ特区旅游ビザの発給を受けられることになっています。
今回はShenzhen Fanの記事と、香港在住の携帯電話研究家である
山根さんの記事 を見て、混雑して時間のかかりそうな羅湖(ルオフー)口岸を避け、個人的にもなじみのある皇崗(ファンガン)口岸を選択しました。
なお、実は今回香港から深圳に入るにあたり、偶然バスで前述の山根さんと乗り合わせたので、深圳の地下鉄に乗るところまでご一緒させていただきました。
皇崗口岸行きのバスに乗る
ここからは実際の移動記録です。状況は適宜変わるかと思いますので、あくまで参考情報としてください。
香港では九龍半島側の油麻地駅そばに泊まっていたので、ホテルをチェックアウトしてからまずは皇崗口岸行きのバスが出るバス停へと向かいました。バス停は地下鉄の旺角駅と太子駅の間くらいにあります。私は太子駅まで地下鉄に乗り、そこから徒歩でバス停へと向かいました。
周辺には皇崗口岸行きのバスだけでなく、広州市などその他の都市に行くバスが出るバス停もあるので、窓口や運転手さんなどに皇崗口岸行きのバスであることを確認してバスに乗車しました。なお、香港の交通系ICカードであるオクトパスカードで乗車することが可能です。オクトパスカードで乗車する場合運賃は35HKDで、チケットを買わずにそのままバスに乗り込んでOKです。
このバスは午前2時から午後2時までは30分に1本(毎時0分と30分)、それ以外の時間帯は20分に1本で運行されているようなので、時間を適当に調整して向かうといいかと思います。(多分、早めに行ってもバスに乗って出発を待つことができるような気はします。)
皇崗口岸のビザ発行所の営業時間は午前9時から午後4時半と聞いていたので、ビザ発行所のオープンに間に合うように、私は午前8時発のバスに乗車しました。乗客は10人いるかいないか程度でした。バスの中で、現在口岸で必要となる中国税関健康申告アプリ(WeChatのミニアプリです)に自分の健康状態を入力し、QRコードを表示できる状態にしておきました。
税関でつかまる
出発から35分ほどでバスは皇崗口岸の香港側施設に到着しました。ここで一度荷物を回収し、香港側の出境手続きを行います。コロナ前はそこそこ並ぶこともあったように記憶していますが、今回は私以外にパスポートで通過する方がおらず、さっと出境審査を通過しました。
…と、ここまではよかったのですが、その後の税関にて、いつものようにX線スキャナーに荷物を通していたところ、係員さんに呼ばれて別室へと連れていかれました。この時期に香港在住者でもない日本人がノコノコやってきたらまあ確かに怪しいので仕方ありません。係員さんは大変丁寧に対応してくださり、荷物を一通り開けた後、渡航目的と宿泊先などの質問と身体検査を終え、5分程度で無事解放されました。
皇崗口岸の香港側の施設を出るとまたバス停があり、そこから中国側の施設までバスで行くことになるのですが、税関でつかまっていたこともあり、香港からのバスに乗り合わせていた他の方は皆さんすでに中国側の施設に向かっていたようでした。バス停の前にいた係員さんに誘導され、運転手さんしか乗っていないバスに乗るとすぐにバスが発車し、あっという間に中国側の施設に到着しました。
ビザ申請をして待つ
中国側の施設の入口で、あらかじめ用意しておいた健康申告アプリのQRコードをゲートにかざし、ゲートを通ります。ゲートを通ってまっすぐ進むと入境審査ですが、そこへは行かず、ゲートを通ってすぐ左を向くと見えるビザ発行所へ向かいます。中国側の施設に着いたのが午前8時49分だったので、ビザ発行所はまだ開いておらず、山根さんと再合流して発行所のオープンを待ちました。
事前情報だと、多少申請者が並ぶようだとのことでしたが、雨の日曜日ということもあってか、私と山根さん以外のビザ申請者はおらず、その後ビザを発行するまで1人も他にビザ申請者は来ませんでした。なお、ビザの申請の際には写真撮影が必要で、ビザ発行所の隣に証明写真機が置いてあり、そこで顔写真を撮ることになります。真正面から写真を撮るために、上からカメラが降りてくるギミックがあり、なかなか面白い証明写真機です。
9時になったくらいのタイミングで、証明写真を撮り、機械から出てきた番号入りのレシートを受け取りました。ビザ発行システムと連動しているようで、ビザ申請時に番号入りのレシートを渡す仕組みでした。
その後、窓口が開きビザ申請書を入手できたので必要事項を埋めて、
申請書
証明写真機のレシート
香港入境時のレシート(空港でもらえる、パスポートのスタンプ代わりのやつです)
パスポート
を係員さんに出します。5分もあれば必要事項は埋められるかと思います。
5分、10分したところで係員さんがクレジットカード決済用の端末を持ってきたので、カードで係員さんにビザ代(168人民元)を支払いました。日本で使っているVISAのカードですんなり決済できました。そしてまたひたすら待ちます。そして午前9時33分、無事にビザが貼られたパスポートが戻ってきました。
そのあとは通常通り、入境審査場へ向かい、窓口の手前に置いてある入出国カードを書いてから、窓口にパスポートを出します。珍しく、過去の中国渡航歴を質問されました。また、中国に限らないのですが、私は肌が弱いせいか各国の入出国審査で使われる指紋スキャナーとの相性が悪く、延々と指紋をスキャンさせられました。しかしそれ以外は特に問題なく中国に入ることができました。この時点で9時50分となっていました。そこから雨の中、数分歩くと深圳地下鉄7号線の皇崗口岸駅に到着しました。
久々に深圳に行ってみよう
以上、私の香港→深圳渡航記でした。バスに乗るところからカウントすると約2時間で香港市街地から深圳まで行けるということになります。
今回はビザ発行所がガラガラでしたが、いつも空いているとは限らないことと、それなりに手続きに時間がかかることから朝イチで行くのが安全そうです。
先ほど書いた通り、ビザ発行所が開くのは9時なので、香港エクスプレスの羽田午前1時発-香港午前4時40分着便か、羽田午前2時20分発-香港午前6時着の便を使って、皇崗口岸に直行すればビザ発行所のオープンに間に合い、香港で1泊せずに深圳に行くこともできると思います。上記の便は寝不足になりがちなので、体力勝負にはなりますが…
また、追って詳細はレポートしたいと思いますが、コロナ禍で深圳を訪問できない間に、
華強北博物館 という華強北の歴史を紹介するミュージアムができたり、老街エリアにサイバーパンクな雰囲気のフードコートである「
深圳超級文和友 」が開業したりと、深圳には新たな見どころが増えています。日本から香港への飛行機もだいぶ増えてきているようですし、皆さんもぜひ深圳訪問にトライしてみてはいかがでしょうか。
(2023年7月17日追記)深圳から香港空港への行き方
先日、コロナ禍で開催されていなかったMaker Faire Shenzhen (MFSZ)が久々に開催されるとのアナウンスがありました。MFSZは日本から比較的近く、かつ大きいMaker Faireであることもあり、コロナ前から日本からの遠征組が多いMaker Faireでした。今回もNT(ニコニコ技術部)深圳 として、共同出展の募集が行われています(私も行きます!)。上記のWikiにMFSZ参加モデルコースがすでに記載されていますが、改めて私の帰りの深圳→香港空港のルートについてもここに書いておきます。5月時点の情報なので、各種運行状況は変更があるかもしれない点だけご容赦ください。
今回私が使ったルートは深圳湾口岸から香港空港へ直行するルートです。タイムラインは以下の表のような感じです。行きは特区旅游ビザを取得する都合上、使用する口岸が限られますが、帰りは制限はありません。今回はコロナ前によく使っていたという理由で深圳湾口岸を使用しましたが、NT深圳Wikiで言及されている蛇口港からフェリーで香港空港へ行くやり方を使うと、香港側のイミグレをスキップできる(蛇口港から直接香港空港の制限エリア側に入れる)ので、そちらの方が早いかもしれません。
時間
詳細
11:17
華強北でDidiに乗車(RMB46.29)
11:42
深圳湾口岸の入り口前駐車場で降ろされる
11:52
中国側の出境審査通過
11:57
香港側の入境審査通過(入境カード記載時間含む)
12:03
深圳湾口岸・香港側バス乗り場でバスのチケットを購入(HKD150)
12:16
バス乗車
12:32
バス出発
13:02
香港空港着
深圳湾口岸は地下鉄が乗り入れていないので、ライドシェアアプリのDidiを使って車を手配して華強北から向かいました。1000円かからないですし、地下鉄2号線とバスを乗り継いで向かうの半分の時間で済むので、Didiを強くお勧めします。
深圳湾口岸は非常に広く、駐車場から中国側の出境検査場までそれなりに歩かされます。ちなみにここでも乗り合いバンの案内のキャッチの人がいました。白タクかもしれないということと、以前乗り合いバンで詰め詰めに詰められた経験からバスがいいなあと思い、今回はスルーして検査場へ向かいました。
中国側の検査場は例によって健康申告QRを用意しておく点だけ注意が必要です。香港側も帰りは荷物検査には引っかかりませんでした。香港側で入境カードを手書きする手間こそありますが、パスポートで口岸を通る人がまだ少なく、ほぼ待たずに検査場を通過できました。
香港側の検査場を出ると目の前がバスターミナルになっているので、そこで香港空港行きのバスチケットを買いました。ここはオクトパスカードも現金の人民元も使用不可なことに要注意です(WeChat Payは使えるようでした)。自分は香港ドルを持っていたのでそちらで支払いました。
しかし今回はチケットを買ってからバスが出発するまで、実に約30分ほど待たされました。もしかすると12時ちょうどにバスが出た直後だったのかもしれないですが、空港に行く乗客がコロナ前に比べて非常に少ないので、本数が減っているという印象を受けました。実際、私の乗ったバスの乗客は私含めて2名だけでした。また、バスが来るまでの間は屋外で待つことになるのもちょっとツラいポイントでした。
バスが発車してからは30分ほどで香港空港に到着しました。深圳湾口岸から香港空港は直線距離は近いのですが、以前は深圳湾口岸を出て海を渡って香港側の屯門周辺に入ってから先、まっすぐに空港へ向かうルートがありませんでした。そのため深圳湾口岸からバスに乗ると盛大に大回りをして市街地の近くまで行ってから空港へ行くようなルートになっていました。しかし今回は屯門のあたりから2018年開通の港珠澳大橋の方へ抜けるトンネルを通るルートとなっていて、かなり時間が短縮された印象でした。
バスの本数がやや少なめという点がちょっと残念ではありますが、深圳→香港の移動に関してはビザの取得などもないのでさほど従来と変わらないといえそうです。MFSZを含め、今年久々に深圳に行ってみようと検討中の方の参考になれば幸いです。(MFSZ行く方は一緒にビールを飲みましょう!)