概要

深センで売っているホバーボードの電池をバラしてみる」に引き続き,高須(@tks)さんに頂いていたBluetoothスピーカ電球(?)を分解しました.他の参加者の方からも色々なものを頂いているのですが,最近買った分解用工具がまだ届いていないので簡単に分解できそうなこれをチョイスしました.

注意

本分解レポートは分解を推奨するものではありません.また,このレポートを参照した結果生じたいかなる損害についても筆者は責任を負いません.

外箱

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このガジェットに関しては外箱付きで頂いたので,まずは外箱から見ていきたいと思います.

外箱の裏面を見ると,どうやらBluetooth 4.0+EDRに対応していて,LEDの電力が6W,アンプの出力電力が3Wだということがわかりました.dsc01555

ちなみにこの電球を制御するためのアプリをダウンロードしてみたところ,なぜか日本語ローカライズが行われていました.

また,口金についてはE27口金と書いてありますが,私がノギスで測ったところ,日本で普通に使われているE26(口金の直径が26mm)口金の電球より0.2~0.3mmほど大きいだけで,口金の直径は27mmはありませんでした.E26口金に刺すだけ刺してみましたが,普通に刺さってしまいました.

“Specifications”は全体的にやたらと細かい(合っているのかどうか,買った人はふつう確かめようがないような)項目が書いてありますが,個人的には”LED color:2805″と”RGB:5050″が面白かったです.それぞれの数字は使われているLEDのサイズを示しているのだと思ったのですが,5050(5.0mm×5.0mm)はフルカラーの表面実装LEDによくあるサイズなので良いとしても,2805(2.8mm×0.5mm)はあまりに細長くなってしまうので,おそらく何かの間違いだろう,と思いながら箱を開けました.
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箱を開けるとこのように割ときちんと梱包されていました.

ここから電球を取り外すと,7cm×9cm角くらいの折りたたまれたマニュアルが出てきました.

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どうやらこの電球の型番はBL-08Aであり,BL-05,BL-06Aという姉妹機種があることがわかりました.

本体外観

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本体上部の銀色の部分はプラスチックですが,表面はツルッとしていてきれいに塗装されています.白いケース部や光を拡散する部分に関しては無塗装のプラスチックになっていますが,こちらもかなりなめらかな質感になっていて,塗装だけでなく成形工程のクオリティもなかなか高そうに見えました.また,中央のスピーカネットは金属製のようでした.

意外と簡単に外れた先端部dsc01564

さて,いよいよ分解ですが,電球の分解のお約束としては,口金はかなり頑丈なので,上部から攻めるというものがある(と,私が思っているだけですが)ので,銀色のパーツとその下のパーツの間にヘラを突っ込んでこじってみたものの,どうも接着や爪での取り付けのような感触ではなかったので,もしやと思って半透明の部品を右回りに回すと,カチッという音とともに簡単に半透明の部品が外れ,LED基板が出てきました.

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LED基板はネジで4点留めされていました.基板のシルクには”BL-08A_LED_V2.2″とあるので,この製品のために設計されたもののようです.

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ネジを外すと,スピーカとLEDが取り付けられた銀色のパーツがまるごと外れました.dsc01568

スピーカには”3Ω 3W”の表記がありました.普通は4Ω,8Ω,16Ωあたりが多いと思うので,ちょっと意外です.若干雑ですが,スピーカの一番出っ張っている磁石の部分には絶縁用の高耐熱なポリイミド(カプトンは登録商標です)テープが貼ってありました.

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銀色のパーツから伸びているケーブルはその下の基板にコネクタで接続されていたので,この2つのコネクタを引き抜き,銀色のパーツを本体から完全に分離しました.

LED基板部

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LEDとスピーカが付いている銀色のパーツの全体はこんな感じになっています.スピーカは接着剤での取り付けのようです.また,見たところスピーカのコードはJSTの2.5mmピッチのXHコネクタ,LEDの配線は同じくJSTの2.0mmピッチのPHコネクタでした.どちらも正規品ではなくコピー品だとは思いますが…
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dsc01593次に銀色のパーツからLED基板部を外しました.隙間にまたヘラを差し込んで外そうとしたのですが,放熱用シリコーンでくっついていただけのようで,ちょっと力を加えただけで全部はがれてしまいました.放熱用シリコーンを使うのはいいのですが,放熱先の銀色のパーツはプラ部品なのであんまり意味が無いように思えるのが残念な所です.

LED基板の外周の大きいLEDは箱の記述の通り5050サイズのRGBフルカラーLEDで,5個ずつ直列接続されたLED4組の計20個(×各色)から構成されていました.内側のLEDは白色LEDで,同じく5個ずつ直列接続されたLED3組の計15個で構成されていました.このLEDはノギスで計測した所3.5mm×2.8mm程度だったことと,Webで検索した結果を総合すると2835と呼ばれている(3528とは別の)タイプのLEDのようでした.箱の”2805″という記述は打ち間違いだったのでしょうか.
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その後,手で基板側に張り付いていた放熱用シリコーンを剥がしました.どうやらLED向け基板ではよくある熱伝導率の高いアルミ製基板のようでした.配線部以外のレジスト(配線部の酸化を防ぐために基板表面に塗られるコーティング)を極力剥がしておくことで熱伝導を妨げなくするような努力がなされていますが,残念ながら放熱する先はプラスチックです.
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基板裏面のシルクには”17V,W,G,R,B”とあります.17[V]を5で割ると3.4[V]となり,白色LEDや青色LEDが要求するLED1つあたりの電圧と大体同じ値となります.また,この基板は各色のLEDの組の+側が共通で,-側が各色ごとに独立していているタイプであることがわかります.

制御基板部

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LED基板部を取り外した本体部分にはこのように制御基板が入っています(ピンぼけですみません).下側のコネクタ(XHでした)を外し,上下のネジ2本も外すすと簡単に取り外せました.

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基板のおもて面は今までの中で一番部品の密集度が高そうです.右側にある上と左右にパッドが出ているモジュールも本体基板も2層基板のようでした.右下のアンテナパタンはモジュール基板側ではなく,本体基板側のパタンです.

今回は部品数が多いのでまずはICだけを見ていきたいと思います.

Bluetoothオーディオモジュール

右側のモジュールは”@BT4.0″との記述があるのみで,モジュール全体の型番らしき記述はありませんでしたが,後述するメインのSoCであるATS2805Bの名前で検索するとまったく同じモジュールを販売しているAlibabaのページがヒットしました.また,同じモジュールを使用したと思われる製品の回路図に,簡単なモジュール内の回路図が載っていました.

モジュール基板の上部にあるQFP(Quad Flat Package,今回のものは0.4mmピッチ64ピンのようです.)の大きなICがメインのSoCであるActions TechnologyのATS2805Bです.Actions Technologyはマカオの隣,中国本土の広東省珠海市を本拠地とするファブレス半導体企業です.中華Androidガジェットを数年単位で追いかけている方にはもしかすると2013年頃に出た,中華タブレットの中ではそこそこベンチマークが良かったクアッドコア ARM Cortex-A5 SoCのATM7029というチップのメーカとして有名かもしれません.

ATS2805BはBluetoothスピーカー用に設計されたSoCで,データシートを見ると,

  • MIPS32 M4Kプロセッサ(CPU)搭載
  • MP3を含む各種オーディオフォーマット向けデコーダ搭載
  • SDカード/マルチメディアカードが接続可能(ただし1bitモード)
  • オーディオ入出力用AD/DA内蔵(I2Sでの外部接続も可)
  • USB2.0ホスト/デバイス機能を内蔵

という特徴があるようです.

MIPSプロセッサはARMと同じく,設計情報の形で半導体メーカへ販売されるプロセッサです.そのため,MIPSプロセッサは様々な企業の製品でプロセッサとして使われています.最近はARMプロセッサに対してかなりの劣勢を強いられていますが,過去にはSGI(Silicon Graphics International,MIPSの開発元のMIPS Computer Systemsを買収してMIPS Technologiesに改組・子会社化したりした時代もありましたが,09年に倒産しました.)のCG用ワークステーションの他,身近なところではニンテンドー64やPlayStationとPlayStation2のCPUがMIPSを採用していました.最近ではマイコンの世界シェア3位のMicrochip社が販売するPIC32シリーズや,Seeed Studioが販売しているLinkit Smart 7688に搭載されている台湾のMediaTek社のMT7688A SoC等に採用されています.

個人的な偏見かもしれませんが,中国の半導体メーカはプロセッサとしてARMでなくMIPSを好む傾向があるような気がしています.最近は随分と減りましたが,数年前に中華タブレットをAliExpress等で検索すると1割以上はMIPSを搭載したSoCが搭載されているタブレットがヒットしていたように記憶しています.ライセンス料の都合かなとは思うのですが,それ以外にも何か事情があるのでしょうか.詳しい方がいらっしゃったら是非教えていただきたい点です.

また,中国とMIPSといえば,過去には中国科学院が主導して設計していたCPU「龍芯(Loongson)」がMIPSを開発しているMIPS Technologiesが持つ命令セットに関する知的財産を侵害しているとの報道があったりもしました.(その後正式にライセンスを取得したようですが.)

さて,大幅に脱線しましたが,上に書いたようにメインのSoCであるATS2805BにはBluetoothの送受信を行う能力はありません.その機能を担っているのは台湾RealtekのRTL8761AT(Not for public releaseな簡易版データシートしか出てこなかったのでリンクしていませんがググればすぐに出てきます)です.このICはシリアル通信の信号線経由でATS2805Bに接続されているようです.このチップは足のないQFN32パッケージになっています.

本体基板:IC

次に本体基板を見ていきます.

MD25D80は「深センで買った700円アクションカムをバラしてみる」でも登場したGigaDeviceのフラッシュメモリです.分解レポート3つ目にして2回目の登場です.おそらくATS2805Bのプログラムを格納しているものと思われます.こちらも内容を吸い出してみましたが,今のところ特に面白いデータは見つけられていません.

NS4158はスピーカ用のD級(デジタル)オーディオアンプICです.こういう所にちょっと載るアンプもデジタルアンプ化が進んでいることがうかがい知れます.もしかすると,電球という高温になりがちな環境下でできるだけ発熱が少ないアンプICを選びたいという理由から効率が良いデジタルアンプを選択したのかもしれません.

TD1509はDC-DCコンバータICです.後述する電源基板から得られる17Vからアンプ用の5Vを生成しています.このICとコイルの周辺には接着剤が塗られていました.おそらく,コイルが鳴いてしまうのを防ぐためのものだと思われます.

最後に14ピンのICですが,チップ表面には1ピンを示すくぼみ以外は何もなく,削られた形跡もありませんでした.最初はフルカラーLED駆動用ICのWS2801かと思ったのですが,パタンを追跡していくとどうやらWS2801ではなさそうだということがわかりました.そもそも,RGB LEDに加えて白色LEDの制御を行う必要がありますから,フルカラーLED駆動用ICでは1チャネル足りないはずです.パタンを追った限り,このICが4色(RGB+White)を駆動しているのは確実なのですが,対応するピン配置のICを見つけることは出来ませんでした.単純な機能のICなので,パッケージを割ってみるかどうかは微妙なところです.(気が向いたら試して追記します.)

本体基板:その他部品

ICは一通り解説が終わったので,その他の3ピン以上の部品の解説に移ります.

おおよそ反時計回りに解説していきます.

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まず,右上の”VS20″というマーキングのトランジスタ(型番は分かりませんでした)とそれに隣接した”1AM”というマーキングのNPNトランジスタであるMMBT3904LがLEDを駆動する回路を構成しています.見て分かるように,同じトランジスタが4個並んでいて,RGBと白色LEDを個別に駆動できるようになっています.

MMBT3904Lの入力(ベース)は前述の14ピンのマーキングのないICに接続されていて,出力(コレクタ)は型番不明の”VS20″へ接続されていました.”VS20″の別の端子はその上の5ピンのLED基板へのコネクタに接続されていること,それなりの電流量を小さいパッケージで取り扱う必要があることから,”VS20″はおそらくNチャネルMOSFETであると考えられます.LED駆動ICは後述の調査により3.6V程度で駆動されているようなので,そのままではMOSFETを駆動しきれないために間にNPNトランジスタが挟まっていると考えられます.

“LD3″というマーキングの部品はBAT54Sというショットキーダイオードが2個連なっている部品です.マーキングのないICに接続されています.用途はおそらく電源関係だと思いますが,ちょっと眺めた感じでは詳しくは分かりませんでした.

“5916”というマーキングの部品は部品名は突き止められませんでしたが,マーキングのないICや,モジュールのリチウムイオン充電池向け電源入力に接続されている端子があること,TD1509のそばにあることなどから,3端子レギュレータではないかと推測できたので,Bluetoothモジュールのアンテナをカットし,電波の出ない状態にしてから通電してみた所,TD1509の生成する5Vから3.6Vを生成していることがわかりました.(TD1509の出力電圧もこの時判明しました.)

右端の2つの水晶についてはATS2805Bのデータシートやモジュールの回路図から,40MHzの水晶はRTL8761AT用,細長い水晶は32.768kHzの時計機能用水晶と考えられます.不思議なのはATS2805Bに接続される外部水晶が32.768kHzしかないことです.CPU用の高速なクロック源をチップに内蔵するのは珍しくないことですが,RTL8761ATとの通信が非同期のシリアル通信で行われているため,そのような通信タイミングの正確性が要求される場合は外部水晶をクロック源とすることが多いように思います.近年ではシリアル通信の際に自動でキャリブレーションを行う機能が実装されていたりする場合もあるので,そのような機能のおかげで問題ないのかもしれません.

さて,最後は3つの未実装のコネクタです.見た感じ,LEDへのコネクタの隣の未実装パタンはXHコネクタ用,残り2つはPHコネクタ用か直接配線するためのパタンに見えます.右側の水晶の上のパタンには”J1″,右隅のパタンには”TF1″,LEDへのコネクタの隣のパタンには”J2″とのシルクが書いてあります.これら3つのパタンが何者であるかのヒントについては基板裏面にあったのでここで基板裏面の観察に移ります.

本体基板:うら面

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本体基板うら面はいわゆる受動部品が中心で,部品としてめぼしいものはありませんが,なかなか興味深いシルク印刷がされています.最初に目につくのは基板の型番と思われる”YHW_BL_06A/08A_V1.2 2015-4-8″というシルクです.どうやら最初に述べたBL-06Aと基板を共有しているようです.

さて上で述べた3つの未実装パタンの話に戻ります.基板を裏返したのでそれらのパタンは左端下に来ています.水晶のすぐ上にあった4ピンの”J1″の部分には,”5V”,”DM”,”DP”,”GND”とあります.”DM(inus)”,”DP(lus)”と来て,それを5VとGNDが囲むパターンといったらUSBがパッと思い浮かびます.USBと予想してから,パターンを追いかけてモジュールの回路図と照らし合わせた所,やはりUSBの信号線のようでした.

次に”TF1″という表記のあった6ピンのパタンですが,うら側には左から”V”,”CMD”,”VCC”,”CLK”,”GND”,”DAT”とのシルクが印刷されています.”CMD”と”DAT”に”CLK”とくれば,おそらくSD/MMCのインタフェースと想像できます.また,microSD規格をSanDiskが提唱した際の名称が”TransFlash”であったことから,”TF1″というシルクの表記にも符合します.パターンを追ってモジュールの回路図と照らし合わせた結果も同様でした.

最後に,”J2″という表記のあった4ピンのコネクタですが,こちらは左から”5V”,”A10″,”A11″,”GND”という表記がありました.ATS2805Bおよびモジュールのデータシートに”GPIOA10″と”GPIOA11″があることを確認したので,チェックしてみた所真ん中の”A10″と”A11″はそれらのピンに接続されていることがわかりました.最初はデバッグやプログラム書き込み用のピンかと思ったのですが,データシートを見るとこれらのピンは汎用入出力以外には7セグメントLED/LCD駆動用の機能しか割り当てられていないようなので,何らかのインジケータ等をつなぐためのピンだと思われます.オシロスコープで当たってみた所.3.3V程度が出力されているだけなので,ソフトウェアシリアル通信等が実装されているわけでもなさそうです.

その他,興味深い点としては”C3″のシルクが挙げられます.C3のおもて側の写真を下に示します.

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おもて側には”C20″という表記とともに,表面実装用の電解コンデンサを実装するためのパタンが用意されています.その時々の入手性によって,足つきの電解コンデンサを使用するか,表面実装用の電解コンデンサを使用するか選択できるようにする工夫だと思われます.

電源基板部

さて,長々と制御基板部を解説していきましたが,制御基板を外した後の部分には下の写真のように基板がまだ残っていました.ネジを2本外すと基板と本体は分離しましたが,この基板からは口金への配線が伸びていましたので,ニッパーを差し込んで切り離しました.

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衝撃の広告

さて,上の写真ではピンぼけなのでわかりにくいのですが,基板中央近辺に気になるシルクがありました.基板を本体から取り外してシルク部分を拡大した写真が以下になります.

 

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なんということでしょう,型番らしき”XFS-1700700-F18 VER1.8″という表記と並んで,”www.szxfdy.com“,”TEL:13923719641″の文字が並んでいます.こんな電球の奥にURLと電話番号を書いておくとは,まるで分解されるのを待っていたのではないかと思ってしまいます.上記URLにアクセスしてみた所,Shenzhen SUNFENG Electronic(深圳市炫锋电子有限公司)というACアダプタなどの電源回路専業メーカのようでした.この電源回路基板はどう見ても球内への組み込みを意図した形状をしていると思うのですが,ここに電話番号とURLを書いたことの広告効果がどのくらいあるか気になる所です.

電源基板の回路について

電源基板の回路については,よくあるスイッチング方式のACアダプタという雰囲気でした.

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基板は片面だけが配線面になっていました.先程言及したシルクの横の角丸長方形のエリアは長穴になっていて,そこを境界として上が商用交流の入力に,そこから下が降圧後のエリアに分かれています.ある程度絶縁に気を配っているようです.

また,配線面に表面実装部品は実装されていますが,曲がって実装されている部品が多く,あまりクオリティが高いとはいえなさそうです.

右上に見える黒い四角形が商用交流100V~240Vを整流するブリッジダイオードです.部品の表記はMB10Fとなっていました.
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その他,”70rEc”という表記の5ピンのICがありました.正式な型番は分かりませんでしたが,その他にICがないことからスイッチング電源用の制御ICだと思われます.
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電源基板の口金側の面はこのように足つき部品が並んでいます.よくある電球向け電源基板という感じです.dsc01615

1次側のスイッチングを担っていると思われるトランジスタは”HW2N65“というNチャネルMOSFETでした.データシートの用途欄にも”LED power supplies”とあるのでバッチリの用途です.このMOSFETはDong Guan Ling Xun Electronics(东莞市凌讯电子有限公司)という半導体メーカのもののようです.东莞(東莞)市は深セン市の北に位置する都市で,深センとともに世界の工場として有名な都市です.

所感

最初に書いたように,今回は簡単に分解できそうだからとこれをチョイスしたのですが,分解は簡単だったものの予想以上に制御基板にいろいろなものが詰まっていたためかなり長い記事になってしまいました.記事を書くための調査をしている過程で,様々な製品が同じBluetoothオーディオモジュールを使用していることが判明したり,LEDの基板やBluetoothオーディオモジュールを載せる基板はこの製品(とその姉妹製品)のための専用設計としつつも,電源基板は別会社のLED電球向け汎用品らしきものを使っていたりすることが分かり,流通しているモジュールをうまく組み合わせて製品に仕上げるというスタイルを実感することが出来ました.

その他にもメインのSoCの開発元は珠海市,電源モジュールの製造は深セン市,そこに搭載されているトランジスタの製造元は東莞市と,深センだけでなく周辺の都市が関係している部品が多いことも,珠江デルタ地帯の強さを感じさせる興味深い点でした.

所感の最初にも書きましたが,機械的な構造の分解はかなり簡単な部類に入りそうです.LEDを覆う半透明の部品は回すだけで取れましたし,内部のネジは8本のみで,接着剤での接合はスピーカとそのネットだけでした.全体的に樹脂成形部品のクオリティも荒いと感じるところはなく,制御基板のクオリティと合わせて中華ガジェットと言えどしっかり出来ているという印象でした.その一方,LED基板はアルミにもかかわらず放熱用シリコーンで接着されている先がプラ部品だったり,電源回路の部品の取り付けが雑だったりと,若干の詰めの甘さが感じられる一品でした.

2016/10/19追記:LED駆動用ICの正体を探る

先日温度調整可能なヒートガンを購入したので,正体不明だった14ピンのLED駆動用ICを基板から取り外し,シリコンダイを取り出してみました.

基板からの取り外しだけでなく,シリコンダイの取り出しもヒートガンを使用しました.シリコン台の取り出しは,ヒートガンを400度設定にして,ICのパッケージを1~2分程度まんべんなく加熱してから,水の中に突っ込むという作業で行いました.急冷することでヒビが入るのと,加熱で樹脂がもろくなっているために,手とペンチで簡単にパッケージを割ることができました.

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シリコンダイはこんな感じでした.集積回路の具体的な構造と配置になるともはや門外漢ではありますが,規則正しい格子状の構造が見えるエリアが3つあるのはおそらくSRAM,プログラム用ROM,EEPROMではないかと思います.

また,外部への足と接続されていたであろう写真下部の左右に見えるパッドの周辺に大型の(大電流が流せる)トランジスタが集積されているような雰囲気もなさそうなので,LEDの駆動を前提としたICというよりはいわゆるワンチップマイコンなのではないかと思います.

チップ上にメーカーなどのヒントになりそうな文字が書いてあるかと期待しましたが,40倍の双眼実体顕微鏡では全体を眺めるのが限界でした.より高倍率での観察は今後挑戦する予定です.