ニーハオ!8/16は旅行5日目,ツアー2日目でした.

いきなりアクシデント!

さて,ツアー2日目も9時半にシェラトン集合だったのですが,

起きたら朝10時でした.完全に寝坊です.

うはーやってしまった~と携帯を見ると,高須さんや渡邊先生,高校の同級生で今回のツアーに参加している松田くんなどから

起きてるかの確認の旨のメッセージが入っていました.

高須さんからはお昼ごろに「柴火創客空間*1」で合流しよう,との連絡があったので,

ひとまず寝坊で遅刻である旨を参加者のWeChatグループに投稿し,身支度をしました.

とりあえず朝ごはん

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柴火創客空間へは1号線の僑城東駅から徒歩で向かうと大体電車の時間も含めて30分ちょっとということが分かり,合流までの間に時間もあったので

とりあえず朝ごはんを食べることにしました.

朝ごはんには前日に渡邊先生からもらったカップラーメンを食べることにしました.先生は晩ごはんを食べそびれた時のために買ったそうですが,

箸がないことに気がついて食べるのを断念していたとのことです.私は13日に箸を買っていたので,

ならば食べられるだろうともらっていたのでした.

ロビーの朝ごはんの時間は過ぎているだろうということもあり,ありがたくこのカップラーメンを頂くことにしました.

さて,お湯も湧いたし蓋を…

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フ ォ ー ク 入 っ て る じ ゃ な い か !

よく考えたら2014年にサイゴンでホテルのミニバーの出前一丁を食べた時も箸を持っていないのに食べていたはずで,

もっと言うとこの時のラーメンは日清食品の香港法人の製造だったので,その場でよくよく思い出せば箸がいらないことに気がつけたような気がします…

味の方は日清食品の製造ですし,ごく普通の味でした.

僑城東へ

朝ごはんを食べ終わったあと,最寄りの駅から1号線に乗り僑城東駅へ向かいました.

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電車の中はこんな感じで,タイのBTSや香港MRTなどと大差ありませんでした.日本のラッピング電車は外装だけですが,内装側をラッピングした電車が走っているのは面白い点でした.*2

椅子は樹脂製の硬い椅子ですが,端から端まで乗ってもせいぜい2時間弱でしょうから問題はないかと思います.

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今回乗った地下鉄にはSNH48とコラボしたらしいアプリの広告が出ていました.

「SNH48 女子偶像組合」と書かれると何か生活協同組合感が出ますね(?)

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僑城東のあたりは高層ビル街というよりはすこし落ち着いた感じがしました.

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僑城東駅から柴火創客空間への道中ではトランプに興じるおじさんたちも居ました.16日は平日で,特に中国も祝日ではないと思いますがなぜトランプをしているのかは謎です.*3

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そのほかにもお台場などにあるようなレンタサイクルもありました.空き具合を見ると結構人気なようです.

 

柴火創客空間へ到着

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そんなこんなで11時前くらいに柴火創客空間に到着しました.まだツアーの一行は到着していなかったので,

柴火創客空間の管理人であるVioletさん*4に事情を話してメイカースペース内で待たせてもらいました.

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ちなみに柴火創客空間の前にはDEFCONのミートアップの告知が出ていました.Fab方面だけでなく,

こういうふうなソフトウェア方面のミートアップもやっているというのは柴火創客空間のコミュニティの広さを示しているように思います.

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また,高須さんのツアーのメンバーだと伝えた所,高須さんの著書であるメイカーズのエコシステムを渡されました.

電子版で全部読んだのですが,紙版は初めて見ました.

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柴火創客空間自体はさほど広くないのですが,なかなかおしゃれに作ってあります.ロフト部分の看板は去年のMaker Faire Shenzhenの看板だそうです.

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いろいろなガジェットが飾ってありました.RAPIROなど日本のキットもいくつかありました.

 

お昼ごはん

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お昼はそばのミスト付き扇風機のミストが強烈なレストランで食べました.あと何故かMusic Restaurantということで店内ではカラオケ大会が開かれているようでした.(我々はテラス席でした)

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こういうランチョンマットにWiFiのID,パスワードやWeChatのIDが書いてあるのはさすが中国です.

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Violetさんに注文していただき,水煮魚や麻婆豆腐が出てきました.花椒が効いていてさすが中国で食べる中華料理という感想でした.

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インパクトがあったのはマッシュチキンでした.桶に焼いた鶏が簡単に切り分けられた状態で入って出てくるのですが,

これを店員さんが棍棒のようなものでガシガシと押しつぶしてくれました.

このチキンはシンプルな味付けでしたがとても美味しかったです.羅湖で食べた北京ダックもそうですが,鳥料理は中華料理の中でも特にハズレが無かった気がします.

まあインパクトがあるのは味よりも頭のフライが入っている点なのですが…

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その後,バスの運転手さんがご飯中ということで,柴火創客空間の周辺のお店を散策したりしていました.

柴火創客空間の周辺はLOFT(華僑城創意文化園)というエリアとして整備されているため,セレクトショップやギャラリーがありました.

写真の猫はその近辺のオフィスからツアーの参加者の北さんが連れだしてきた猫とのこと.このあと北さんに抱えられて戻っていきました.

Makeblockを間近にしてアクシデントその2&その3発生

その後再度柴火創客空間を少し見学し,次の目的地であるMakeblockのある南山智園へ向かいました.

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しかし我々ツアーの参加者は目的地に到着する前にアクシデントに遭遇したのでした.

写真の南山智園の入り口は本線からかなり急なカーブを通って入るようになっているのですが,入り口の警備員のおねえさんはここは大型バスじゃ無理!と

言う中,運転手さんは進入を強行.おねえさんめっちゃビビってました.日光の観光バスドライバー*5顔負けの

見事な切り返しテクニックでうまく入っていきましたが,ちょっとミスったら警備員の詰所を破壊していたように思います.

 

やっと一安心…といったところで次のアクシデントが.

入り口が細いだけでなく,その先の道路も片側一車線の細い道路になっていました.しかし,左側の車線は路上駐車(なぜか途中で車が向き合っている)

で埋まっていました.その状況で何故か向こう側からパッシングをしながら一切停まる素振りを見せずにセダンが走ってきました.およそ理解不能です.

バスにこの状況でどう避けろというのでしょうか…

結局バスはどうにもこうにも避けられないので,路駐の隙間にうまくセダンが入り込み,バスが先に通りぬけ解決しました.*6

入り口の件とこの一件でツアー参加者の中でこの運転手さんの評価が猛烈に上がったのは言うまでもありません.

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路上駐車の中には五菱という某社を3で割って5を掛けたような会社の車もありました.さすがです.

Makeblockに到着

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その後は流石になにもなく,ビルの目の前までたどり着きました.

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Makeblockが入居しているビルは清華大とUCBの共同研究拠点が入っているビルでした.*7

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1階のエントランスにはお昼ごはんの配達用ロッカーがありました.配達員さんはここにお弁当を入れ,

注文した人が指定のロッカーから取り出すようです.なかなか便利そうです.

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Makeblockはロボットを製作するためのアルミフレームと基板や,それらを組み合わせたキットを販売している企業です.

上の写真はその一つのmBot(オプション付き)です.深セン発のベンチャー企業の中では資金面(10億ドル超),人材面(従業員200人超)ともにかなり大きい部類に

入る企業と言えます.

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Makeblock自体は知っていましたが,正直もっと適当な作りだと思っていたので,社内に置いてあるいろいろなデモのクオリティの高さに驚いてしまいました.

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綺麗に初音ミクを描くマシンもありました.

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Makeblockのアルミフレームを見てみると,フレームの端面にネジが切ってある他,各々の溝や,側面に一定間隔でネジが切ってあるなど,

かなりよく出来ているのが分かります.溝のネジに関しては溝の各側面の一点だけでネジが接するので,まっすぐに溝を入れるだけで良いとはいえ,

なかなか凝っているなという印象です.

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その他,ツアー参加者の多くが最も感心していたであろうポイントがここで,200人の大きな企業となっても,延々と試作をする人たちがきちんと居て,

試行錯誤を繰り返していました.また,写真の奥に見えるように,物撮り用スタジオがあるのもよくわかっているなあと感心させられた点です.

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さらに,おしゃれな事務オフィス部分でもMakeblockを使ったノートPCスタンドがあり.良いドッグフーディング*8をしているなあと思いました.

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見学の後,下に降りるとジャック・マー*9等の似顔絵が塀に書いてあるのを発見しました.他にもいろいろなIT企業の有名人の似顔絵がありました.

(名前を忘れましたがテンセントの社長の似顔絵もあったはず.)

本日最後の見学地,JENESISへ

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Makeblockを出て,空港のある宝安区の方へバスで移動し,JENESISへ向かいました.

JENESISは藤岡淳一さんが経営されている,深センで日本向けのEMS*10を中心としたサービスを展開している企業です.

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最初に代表の藤岡さんに会社の紹介をしていただきました.

JENESISは非製造業の法人向けのICT/IoT製品の受託生産が中心で,その他にスタートアップ向けの製造支援*11

深セン現地工場への品質管理員等の派遣・品質管理と検査の代行等の事業を行っているとのことでした.

JENESISは深センだけでなく,東京と宮崎にも拠点を持っていて,受託元,すなわち日本で実際に機器を使用する企業に製品が渡った後に故障があった場合のアフターサービス等は

宮崎で行うことで迅速なサービスを提供しているとのことでした.

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このプレゼンをしていただいた会議室の後ろにはJENESISが製造した機器類がずらりと並んでいました.

 

その後,検査施設や製造ラインの見学へ移動しました.

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振動試験機や高温,低温の試験機や,エージング用の高温多湿環境を作ることのできる部屋など,一通りの検査ができる設備が整っていました.

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製造設備ではありませんが,興味深かったのは,工員さんのための食堂部屋が用意されていたことです.調理設備はないとのことですが,お昼時には業者が来て,

ランチを販売してくれるとのことです.高須さんの著書「メイカーズのエコシステム」には藤岡さんが深センでの

体験を寄稿している章があり,そこも事前に読んでいたのですが,その中にあった「取引先の工員がへそを曲げて出勤してくれず,老板(ボス)を探して現金を渡して交渉した」

というエピソードが非常に印象的でした.この食堂部屋も決して華々しくない,地味な環境の整備ですが,前述のエピソードのような様々な経験があるからこその環境整備と考えると

その重要さが理解できたような気がしました.

 

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さて,いよいよラインに入るところまで来たのですが,ラインに入るに当たり,お約束の帽子,白衣,靴袋の3点セットを装備しました.

帽子に関しては今までの帽子と違い,この帯状のものの真ん中を裂くと帽子として使えるというタイプでした.

また,ここまで書いてきませんでしたが,私は足が大きい(30cm)なので,ここでは靴袋を片足に2個使うという形で対応することになりました.*12

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ラインのある部屋には5S「整理,整頓,清掃,清潔,素養(躾)」の文字が貼りだされていました.各作業机の前には作業指示書が貼ってあり,

比較的きれいだと感じたSeeedのアジャイルマニュファクチャリングラインよりも数倍はきれいで整頓されたラインになっていました.

また,静電気防止のためだと思いますが,加湿器もいくつか設置してあり,日本企業の高い品質要求に応えるための体制がしっかりと整っているという印象を受けました.

 

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ラインの先の部屋にも必要に応じてエアシャワーが設置されていたり,

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資材の積み上げ高さの限界ラインが示してあったり,

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部屋への持ち込み禁止品目の表示があったりしました.

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品質保証室では壁面にカメラのテストパタンが貼ってありました.

 

いろいろあった晩ごはん

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見学を終えた後,JENESISのそばのレストランで藤岡さんも交えて晩ごはんを食べました.

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飲み物は安定の青島ビールでした.

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この鳥の丸焼きは鳩だそうです.うずらの丸焼きは食べたことがあったのですがハトは初挑戦でした.

特に臭みもなく,骨ばかりというわけでもなく美味しかったです.

 

料理も大変良かったのですが,それ以上に面白かったのは藤岡さんの話とアクシデントその4でした.

藤岡さんによると,正直なところベンチャーの製造委託を受けるのは大して儲からないとのことでした.

さらに秋月やRSの品番がずらっと並んでいる部品リストをもらって,これをどうやって深センで作るのか…とがっくり来ることもあるとのことでした.

しかしそれでもベンチャーからの製造委託を続けるのは,JENESIS以外では相手にされない小ロットの需要というものが

確実にあり,その駆け込み寺となっている部分があることや,将来的に彼らが成長した時にきちんとしたお客さんとして

また一緒に何かできれば,という思いがあってのことということでした.

深センのエコシステムを活用するだけでなく,そのエコシステムを成長させていきたいという心意気を感じました.

 

また,深センにはありとあらゆるモジュールが流通しているからこそ,何でも作れてしまうとおっしゃっていました.

また,現在の深センの最低賃金は月額2080元(約3万2千円)とのことで,これは中国の他の都市とくらべても決して安い水準ではないということでした.

さらに,深センで働く労働者は基本的に出稼ぎ労働者であるため,できるだけ早く稼いで地元に帰りたいと考えている人々であり,

仕事が終わって寮に帰ったところでさしたる娯楽もない,ということで残業をしたがる傾向があるそうで,

離職されても困ることもあり残業をしてもらうことが多いそうです.

その結果,従業員には残業手当を含め合計で3,4千元程度を支払うことになることが多いそうです.

それを考えると,単に安価な労働力で生産ができる,という点では深センで生産を行ううまみは(日本より安いとはいえ)ないというのはうなずけます.

来てみないと,単に中国で生産すれば安いんでしょ,くらいの感覚にしかならないかと思いますが,

実際に深センに来て,華強北を見た上で現地でEMSを経営されている方からの声を聞くと,「なぜ深センなのか」という点について,

単に安いから,ではないということがよく分かりました.

藤岡さんにはこの他にもオフレコな面白い話も含め,いろいろなお話をしていただきました.

 

アクシデントその4:驚愕!移動するテーブル

ここまでであれば,単に興味深い話を聞きながらみんなでわいわいと晩ごはんを食べたという話で終わるのですが,

そう簡単にはつつがなく終わらないのが旅の醍醐味というものです.

我々は大人数でレストランに入ったこともあり,お店の前の路上に出ていた円卓に座っていたのですが,

1時間ほど経過した頃,お店の前に公安のおじさんが2人やって来ました.

どうも店員と何か話しているな…と思っていると,どうやら路上で営業していた点が問題のようで,

店内に移動することになりました.お皿などは各自が持って移動するんだよな…と考えていると,

中国語を話せる参加者の方が店員さんとやり取りした結果,どうやらその必要はなさそうだとの返事.

一体どうするのかと思っていたのですが,そうこうしているうちに店員さんが路上へ出てきて円卓を持ち上げ始めました.

あーテーブルごと動かしちゃいますかそうですか…

店員さんの手慣れた様子とテーブルの土台と天板が簡単に分離するようになっている*13構造を見るに,

どうやら日常茶飯事のようでした.動画の通りツアーメンバーは爆笑しながら動画を撮っていましたが…

移動が終わり,なんとか無理やり店内に全員収まって食事をしました.

我々は最後まで店内で食事をしていたのですが,食事の途中,公安が去った後に隣のレストランは再度テーブルを外に出していました.

さすがは上に政策あれば下に対策あり,と感心したのもつかの間,30分ほど経過した頃に再度公安が戻ってきて

隣のレストランは再びテーブルをしまっていました.面白すぎです.

 

食事の後は福田区・華強北方面に帰る人達でタクシーに相乗りし帰りました.

この際のタクシーは滴滴*14で高須さんが捕まえた車だったので我々は問題なかったのですが,

他の参加者で緑色のタクシーに乗った方は目的地までの途中で降ろされたようでした.緑色のタクシーは

経済特区には入れないため,境界のところで経済特区に入ることができる赤色のタクシーに乗り換える必要があったようです.

華強路駅周辺で降り,そこから再度地下鉄に乗り宿に戻りました.

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その時乗った地下鉄はどうやら新しい車両のようで,路線図がLCDで表示されていました.なかなかの分かりやすさ.

 

いろいろなことがありすぎて記事が毎回長くなってしまっていますが,なんとか次回はツアー最終日というところまで来ました.それではまた!

*1:チャイフオメイカースペース.Seeedが中心となって設立された深セン初のメイカースペース

*2:ホームドアなので外装ラッピングはあんまり意味が無いというのもあると思いますが

*3:香港や華強北の方では中国将棋をやっている人を見たのでまあよくある光景だとは思います

*4:この時点では誰がVioletさんか分かっていませんでしたが…

*5:いろは坂を綺麗に登るのは技術が要るので栃木県外の観光バスドライバーは苦戦する,って昔聞きました(?)

*6:通るときにすごい音がしたのはきっと気のせいではないはず…

*7:Makeblockが先に入居していたそうです.政府の働きかけでここに研究拠点が誘致されたとか

*8:自社の開発中の製品を自分で使うこと.Windowsの開発メンバーが開発中のWindowsを使って開発作業をしたというエピソードが有名

*9:アリババCEO

*10:Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託生産

*11:代表の藤岡さんはKDDIのアクセラレーションプログラムであるKDDI∞Laboのアドバイザーもされています

*12:ご迷惑をおかけしました…

*13:というか天板は土台に載っているだけだった

*14:ディーディー:滴滴出行.中国版Uber

公開日:2016/08/16 最終更新日:2019/10/17